シルクスクリーンによるポップで楽しいイラストレーションから出発し、立体やインスタレーションなどさまざまな展開を見せる森迫暁夫さんの作品が、札幌芸術の森美術館の中庭に登場です。
作風が一変しました。丸っこくてかわいらしい人物や模様が画面のすみずみまで覆っていたこれまでの作品とはがらりと変わり、木片や長靴に鮮やかな色を塗った、ワイルドな巣箱が、棒の上に取り付けられ、庭に林立しています。これまでの作風を放棄したわけではないと思いますが、森迫さんの作品としては異色なのは間違いありません。
美術館のサイトにはこうあります。
美術館中庭に森迫暁夫(1973-)のカラフルで楽しげな鳥の巣箱が約50戸登場!お気に入りの巣箱の所有権(会期中のみ限定の所有権)を買い取ることができます(1戸3,800円、9月7日販売開始)。森迫暁夫お手製のミニ表札が巣箱に取り付けられて、さらにオリジナルTシャツもプレゼント。
ロビーと展示室を結ぶ廊下の、はめ殺しになっているガラス窓にもいろいろな絵が貼ってあります。
1戸3800円の所有権って高いなあと思うかもしれませんが、オリジナルTシャツ代と考えれば安いのではないかと。
ところで、この巣箱にほんとうに鳥は入ってくるのでしょうか?
あんまりそういうふうには見えません。
森迫さんの近年の作品には、一見実用的に見えて、実際には実用性をスルリとくぐり抜けるところがあると思います。「実用」と「非実用=純粋鑑賞用」の二項対立を無効化してしまうんですね。
昨年暮れ、北広島での「はこ展」で発表した作品もそうです。大きなドアノブがついているから、衣装ケースみたいにとびらが開いて中が見えるのかな~と思ったら、ノブは飾りで、どの面も開かないのです。
ほかにも、こういった作品を、森迫さんの個展ではちょくちょく目にします。
(もちろん、先日、紋別で開かれた藤沢レオさんとの2人展の出品作のように、いすとして十分に使える作品もあるわけですが)
なので、実際に小鳥がやってくるかどうかは、この作品の評価を左右するものではないのです。
見た目は異なりますが、楽しいということでは、森迫さんらしいと思います。
2010年7月31日(土)~11月7日(日)午前9時45分~午後5時、ただし8月30日(月)~9月6日(月)、10月25日(月)~10月29日(金)休み
会場:札幌芸術の森美術館 中庭
「ウラニワ ノ ソフボ」 (紋別市立博物館)
■アートとの対話~森迫暁夫&藤沢レオの場合~ 鉄筋布張り住宅(2010年10月)
■草のはえた屋根裏庭展 森迫暁夫 (2010年3月)
自販機芸術が琴似にもあった
■はこ展(2009年11月)
■ART! MEET! MART! (2009年11月)
■森迫暁夫 何本かの木と絵展(2009年8月)
■森迫暁夫個展(2008年12月)
■道都大学中島ゼミ版's展@狸小路 第1週・一文字Tシャツ展(2008年7月)
■第44回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって(2007年)
■第42回道都大学中島ゼミ展 版と型をめぐって(2006年)
■道都大学中島ゼミ展 森迫さんの作品
■第37回道都大学中島ゼミ展(2003年、画像なし)
■花鳥風月のアンティーク・ルームと森迫暁夫の絵(2003年、画像なし)