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■屋中秋谷個展 意象の調べ (2018年6月26日~7月8日、札幌)

2018年07月07日 00時19分43秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 木工人もくびとを名乗り、木工に取り組む札幌の屋中秋谷さん。
 筆者の記憶する限りでは、ト・オン・カフェでの展示は初めてだ。

 木工だから、木からかたちを掘りだすオブジェ(冒頭画像の中央は「朋ト休息」)や、盆などの作品は、当然あるのだが、今回は壁一面に展開された「漂ウ小宇宙」のシリーズ全20点が、屋中さんの真骨頂を示していると思う。



 遠目には、横長の板に、二つないし四つの小さな円が点在しているように見える。
 



 ところが、近づいてみると…。




 それぞれの数センチの円の中に、さまざまな濃淡の茶色が細かい模様を作り出している。

 これらは着彩したのではなく、クルミやケヤキ、クリなど樹種の違いを生かし、小さな木片を組み合わせてはめ込んだものだ。「合わせ象嵌」という手法だ。

 小さな円に大きな宇宙がある。そう言いたくなるような作品だ。




 もうひとつ、別の作品を拡大してみた。




 テーブル上に置かれた「弧ノ線」という台状の作品の左側に、同じく合わせ象嵌で作った「木の中の小宇宙」が3点あり、ルーペも置かれている。




 窓際に並んでいたお盆。
 左は「和ミ」(クルミ)、「想景」(ケヤキ)。
 この右側にクリとタモの作品もあり、木の種類が違うことをいとわない屋中さんらしい。


 「漂ウ小宇宙」の下、床の上に並んでいた小品。17個あった。
 

 カウンターの壁にかかっていた「原象」。タモで作られている。

 画像では見づらいが、ほぼ中央にゆるやかなS字型カーブが上下に走っており、表面には波紋のようなわずかな凹凸が広がっている。

 作為をもってこしらえたというよりも、木がもともと持っていたかたちを探り当ててそれを静かに引き出したかのような、そんな自然なありかたを感じさせる。



2018年6月26日(火)~7月8日(日)午前10時半~午後9時半(日曜~午後8時)、会期中無休
TO OV cafe/gallery(札幌市中央区南9西3 マジソンハイツ)


http://www.ryokusha.com/
□屋中さんのブログ http://syukoku.jugem.jp/

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