くぬぎのたろぐ

くぬぎ太郎の日常的視点

パラグライダー体験記

2008-03-08 18:30:58 | Weblog
先日、Tさんの妹がパラグライダーをしてみたいということで、
K君にお願いして体験させてもらうことになった。
K君は家で文鳥を飼育するほど空が好きで、
4年くらい前からパラグライダーをやり始めた。
以来週末になると欠かさず遠くの山まで飛びに行っている。
ただ、今は山が雪に閉ざされているため、
パラグライダーはオフシーズンらしく、
平地からでも離陸できるモーターパラグラダーというものを体験した。

パラグライダーとは巨大な凧のようなもので、
これをまさしく凧揚げの要領で空中に浮かべて、
人がぶら下がっていくというシンプルな構造になっている。
山の斜面であればそのまま風にのってゆっくりと山のふもとへ下って行くが、
何かしら推進力があれば平地からでも飛び立てるらしい。

飛び立つ場所は家から意外と近所にあって、車で20分程で到着した。
田園地帯の奥にある枯れ草しか生えていない小さな台地に
朝からすでに数人の人達が集まっていて、
なにやら見慣れぬ機材が所々に並べられていた。
モーターパラグライダーといってもモーターはどこにも見当たらず、
長さ1.2mくらいのプロペラが付いたエンジンを背中に背負って、
その推進力で飛んで行くもののようである。
その辺でおじさんが背中にエンジンを背負って
ブイ~ン、ブイ~ン!と勇ましくエンジンの調子を確かめている。

常連であるK君が校長と呼ばれる人物と何やら手続きをしている間、
私とTさんとTさんの妹は、
飛び立って行くパラグライダー、着陸してくるパラグライダー、
地上で操作を練習しているパラグライダーなど、
初めて見る珍しい光景を観察していた。
ブンブン!と原付のような音を響かせながら
人々が空中をフワフワと飛んでいる姿は大きなハエのようだなと内心思いつつ、
「あの人はうまい」「あのひとは下手だね」などと
何もわからないくせに3人で一丁前に批評をしていた。

体験といってもいきなり一人で飛ばされるわけではなく、
校長が二人用のパラグライダーで空に連れて行ってくれるものらしい。
早速Tさんの妹は専用のハーネスを身につけ、機材の準備も整ったが
校長はその辺のおじさんとおしゃべりをしているし、
K君はいつの間にかインストラクターになって初心者の指導を始めていて、
いつになったら空へ連れて行ってくれるのだろうと不安になったころ、
「そろそろいこうか!」という校長の大きな声がかかった。

Tさんの妹は校長の前にくくりつけられ、飛び立つ際の手際を教えられる。
横に2歩蟹歩きをして、正面を向いて数歩走ったら飛び立つらしい。
何度か練習していよいよ本番。
Tさんの妹と校長の呼吸は全く合っておらず、
二人で何やらバタバタとしているうちに、
エンジンの轟音と共に枯れ草を巻き上げて、
あれよあれよと二人は空高く飛んで行ってしまった。

二人は地上200mくらいのところをフワフワと飛んでいる。
無線を通して、「左に伊勢湾があって空港が見えますよ」と
K君が特に名所のないこの辺の地理を案内し、
それに対してTさんの妹からハシャいだ調子の声で返事が返ってくる。
写真が趣味であるTさんの妹は、空から地上を撮影していたようで
着陸してからも上機嫌で話していた。
風の具合によっては飛べない可能性もあったが、
天気も風も申し分ない絶好の日に体験飛行をすることができ、
喜んでもらえたようで何よりであった。

その後、K君は道具を持ってきていなかったため飛ばず、
高所恐怖症のTさんは地上でパラグライダーの操作を体験し、
高所恐怖症で面倒くさがり屋の私は
何も体験せずに数枚写真を撮って帰路についた。
せっかく行ったのだから何かすればよかったかもと、後で少し思った。