くぬぎのたろぐ

くぬぎ太郎の日常的視点

新しょうが酒

2007-06-17 16:19:34 | Weblog
去年の梅雨時に漬けた梅酒と新しょうが酒、
そろそろ漬けてから一年が経つので一応飲めるくらいにはなっているはずである。
この一年の間に引っ越しがあったので、
押し入れの奥にしまっておいた梅酒と新しょうが酒の姿を見たこともあったが、
漬けてから一年後に再会する約束を守るべく、その時は口をつけなかった。

今はキッチンの下にある収納を寝床としている梅酒と新しょうが酒を引っ張りだす。
大きい瓶に漬けた梅酒、小さな瓶に漬けた新しょうが酒、
どちらもなかなかいい色に出来上がっているようで、見た目には及第点をつけてもよい。

まずは梅酒から試飲してみる。
大きな赤いプラスチックの外蓋を回して開き、柔らかいプラスチックでできた内蓋をはがし、
お玉に少しすくってグラスに注ぐ。
少しにおいをかいでみると、梅酒の懐かしい香りがする。
一口飲んでみると思っていたよりも味が浅い感じがしたが、味の方向性は間違っていない。
あとは時間が解決してくれる気がするので、またしばらく寝かせておくことにした。

さて、いよいよ新しょうが酒の番である。
梅酒の瓶と同様に赤いプラスチックの外蓋を開ける。
こちらの瓶は小さいため、内蓋に注ぎ口がついている。
スライド式の注ぎ口を開けて、新しょうが酒をグラスに注ぐ。

おもむろににおいをかいでみると、
レモンと新しょうがの香りが絶妙にブレンドされて、目が覚めるようなさわやかな香りがする。
暑い夏のイメーキにぴったりとはまるさわやかさな香りである。
これは大成功に違いないと思い、期待に胸を膨らませて一口飲んでみる。

一口飲んでみて、何かが足りないと直感した。
まるでだし汁を飲んでいるようだ。
香りには人を引きつける魅力があるのに、なんとも味気ない。
何かを足して飲まなくてはならないことは直感的にわかったがいったい何を足せばよいのだろうか。
これまでの経験から、酸味と甘みが足りないと推測した。

試しに砂糖をいれてみたが、味が単調でおいしくない。
蜂蜜を入れてみてもあまり変化はない。
よくよく考えてみたら、砂糖も蜂蜜も新しょうが酒を漬ける時にブレンドしているのだから
いれてみたところで大した変化はないわけである。

次に酸味という着眼点から米酢を入れてみたが、手を抜いた酢の物の汁みたいでおいしくない。
試しに塩を入れてみると、幾分味がはっきりした。
それではと、調子にのって醤油を少し入れてみると、一気にまずくなった。
とても飲めたものではないので、もったいないけど流しに捨ててしまった。
新しょうが酒の高い潜在能力は感じるのに、何を足せば美味しくなるのかわからない。
素質ある子供をどう育てるか悩む、コーチのような心境になってくる。
やればできる子なんだけどね。

新しょうが酒のパートナーを探し続けて幾日か過ぎたある日、
日頃ドレッシングに混ぜているりんご酢が目についた。
米酢はだめだったけど、りんご酢はジュースっぽい性格もあるから美味しくなるかもしれない。
さっそく混ぜて飲んでみると、なかなか美味しかった。
さらに砂糖を足すと、より完成に近づいたような気がする。

一年という月日が無駄になったかと一時は心配もしたが、何とか肩の荷がおりた気がした。
毎日飲みたくなるほど美味しいというわけでもないのだが、
何とか客に出しても恥ずかしくないレベルにはなったようだ。
何事も諦めないことが大事である。
いつか花開くときはくる。
先生は信じていたのよ、あなたはやればできる子なんだって!