ヤングキングアワーズ 2014年4月号より
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
アウステルリッツ後。
フランクフルトへ入るフランス軍でしたが、
そこでは、ナポレオンが戦死したという情報が流れていたため、
住人達は大喜びしていたものの、逆の結果だったことに困惑・・・
なんて話から始まりつつ、今回は、アウステルリッツ後の欧州情勢が描かれています。
まず描かれたのは、フランクフルトでの一幕。
ナポレオンは、よほど腹に据えかねたようで、フランクフルトの住人達から金貨を徴収。
けっこう根に持つというか、好き勝手やっちゃってますね~陛下。
指揮を執ったのはオージュローでしたが、奥方の病気を知り、
早々に帰国したいがために、取り立てをまけていたのは、フランクフルトにとって幸いか。
だけど、オージュローの愛妻家ぶりには、しみじみしちゃいましたね・・・
アウステルリッツ後の欧州情勢。
あの大会戦の影響が、いかに大きかったかがよくわかりますね~。
主にオーストリアの勢力が削られ、神聖ローマ帝国が地図上から消えてしまったと・・・
そして【大陸軍戦報】によれば、「ヨーロッパに初めて、独りの帝王が君臨する体制が出現」
する可能性が示されたとのことで、これがナポレオンの野心に火をつけたということは、
なかなか興味深い話でした。
ナポレオンと、タレーランとの溝。
ナポリの処遇をめぐって、対立する2人。
親英派の王妃マリア・カロリーネについて、寛大な措置を求めるタレーランでしたが、
すげなく拒絶するナポレオンと、その考えには大きな隔たりが・・・・・・
タレーランにしても、情にほだされて進言したわけではなく、
フランスの覇権確立、平和のために必要と考えてのことなだけに、
せっかくの助言を無視されたことは、いろいろ思う所があるようで、不穏な気配。
このあたりから、皇帝陛下との間に溝ができてきたということでしょうか。
タレーランは私欲にまみれているし、仕える対象を次々に変えては、
軽快に政界で踊りつづける“怪物”ではありますけれど、
祖国への忠誠と平和の希求という点では、一目置くべき人物でもあるのですよね~。
それにしても、ナポレオンはアウステルリッツ後、
外交を私物化しているという評価もされいて、まさにその通りな所が絶頂期といった風です。
そして、ウジェーヌの結婚。
ナポレオンの命により、バイエルン国王の長女オギュスタ・アメリーと結婚するウジェーヌ。
このあたり、ナポレオンのよる欧州制覇のためのシステムに組み込まれていはいますが、
どうもこの2人の結婚は、ウジェーヌくんの人柄もあってか、良好だったようですね。
それにしても、本作品のウジェーヌくん、面白すぎます(´▽`;)
鷲の彫像に乗っかって、恐怖を克服しようとしていたり、
結婚を「試練」と受け取っていたり、しかし、そのことに悩んでいる所へ、
タレーランから示唆を得るや、彼を師と呼んだりと、
何だろう、真面目なだけに可笑しいキャラクター像が、本当に映えてますよね。
最後、彼の血脈に関する説明が、良い余韻になっていました。
などなど、アウステルリッツ後の欧州情勢が描かれた今回。
次は、第4次対仏同盟との戦いに突入するのでしょうか?
それとも、別方向からのアプローチがあるのかどうか・・・
いずれにせよ、今後も楽しみです!