スキャナーで古いフィルムを整理していると、弟子の村山君(故村山聖九段)を大阪城の梅林で撮ったのが出てきた。六段に昇級昇段したときの写真だ。もっと大事に保管しておけばいいのだが、まあこれがいいのだろう。
もともと村山君は「写真は魂を抜かれます」と言って、撮ろうとすると顔を隠していた。「好きで撮るのじゃない。将棋世界の編集部に頼まれた仕事だからな」そう言って、強引に連れ出したのだ。初めは憂鬱そうだったが、次第にあきらめたのか、呆れたのか、そのうち自然ないい表情になった。憂いの顔が笑顔に変わる。
今思うと、このときが村山君の29年の生涯で、数少ない安堵の表情を見せたときだったかもしれない。かなりな枚数をポーズを取らせているうちに、村山流の警戒心が薄れたのか、あるいは眠かったのだろうか(?)懐かしくもちょっぴり寂しさを感じてしまう一枚一枚だ。
「森先生、酔っ払って演説するのだけは辞めて下さい」村山君に言われたことは今もなるべく守っている。
時を刻む時間は風化していくが、写真は時間が経つごとに忘れえぬ記憶を確実に刻んでいる。
☆HP「森信雄の日々あれこれ」のフォトギャラリーにこの写真を掲載しました
もともと村山君は「写真は魂を抜かれます」と言って、撮ろうとすると顔を隠していた。「好きで撮るのじゃない。将棋世界の編集部に頼まれた仕事だからな」そう言って、強引に連れ出したのだ。初めは憂鬱そうだったが、次第にあきらめたのか、呆れたのか、そのうち自然ないい表情になった。憂いの顔が笑顔に変わる。
今思うと、このときが村山君の29年の生涯で、数少ない安堵の表情を見せたときだったかもしれない。かなりな枚数をポーズを取らせているうちに、村山流の警戒心が薄れたのか、あるいは眠かったのだろうか(?)懐かしくもちょっぴり寂しさを感じてしまう一枚一枚だ。
「森先生、酔っ払って演説するのだけは辞めて下さい」村山君に言われたことは今もなるべく守っている。
時を刻む時間は風化していくが、写真は時間が経つごとに忘れえぬ記憶を確実に刻んでいる。
☆HP「森信雄の日々あれこれ」のフォトギャラリーにこの写真を掲載しました