今年も柿が実りました。
父が植えてくれた柿の木です。
今年は実の数が少なかったせいか、いつもの年より大きな実になりました。
まるで、桃の様な形です。
まだ柿の木の葉っぱがたくさん残っているのに、柿の色付きが、あっという間に進んだので、
もいで渋抜きをしました。
一番姿かたちが良く、大きなものを選んで、今日墓参りに行って柿を供えました。
“今年も、柿がなりました”
と、報告し、
“一緒に、食べましょう”と、生きている人に言うように語りかけて、柿を食べました。
《うん。甘いな》
父がそう言ったような気がしました。
見上げると青い空が。
新幹線も走って行きます。
父が あちらへ逝って50年経ちました。
こうして、墓参りをしますと、父を身近に感じるのです。
あちらが近づいて来たものか、私が近づいて行くのは、
どちらからとも、判然としません。
でも、心は安らいでいます。
連れ合いや、近くに住む娘が、
“お墓まで、クルマに乗って行ったら”
と、言ってくれるのですが、いつも お断りしています。
バスを乗り継いで、郊外の景色を眺めながら、一人故人を偲ぶのもいいものです。
故人と会うための、アプローチロードですから。
『素朴な琴』
八木重吉
このあかるさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐へかねて
琴はしづかに鳴りいだすだらう
高台にある お墓の坂を、ゆっくり ゆったり降りてきました。
振り向いて、
「命日の日に、また来るね」
と、言って、「琴の音」に耳を澄ませました。
秋日和です。
〈ゴマメのばーば〉
父が植えてくれた柿の木です。
今年は実の数が少なかったせいか、いつもの年より大きな実になりました。
まるで、桃の様な形です。
まだ柿の木の葉っぱがたくさん残っているのに、柿の色付きが、あっという間に進んだので、
もいで渋抜きをしました。
一番姿かたちが良く、大きなものを選んで、今日墓参りに行って柿を供えました。
“今年も、柿がなりました”
と、報告し、
“一緒に、食べましょう”と、生きている人に言うように語りかけて、柿を食べました。
《うん。甘いな》
父がそう言ったような気がしました。
見上げると青い空が。
新幹線も走って行きます。
父が あちらへ逝って50年経ちました。
こうして、墓参りをしますと、父を身近に感じるのです。
あちらが近づいて来たものか、私が近づいて行くのは、
どちらからとも、判然としません。
でも、心は安らいでいます。
連れ合いや、近くに住む娘が、
“お墓まで、クルマに乗って行ったら”
と、言ってくれるのですが、いつも お断りしています。
バスを乗り継いで、郊外の景色を眺めながら、一人故人を偲ぶのもいいものです。
故人と会うための、アプローチロードですから。
『素朴な琴』
八木重吉
このあかるさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐へかねて
琴はしづかに鳴りいだすだらう
高台にある お墓の坂を、ゆっくり ゆったり降りてきました。
振り向いて、
「命日の日に、また来るね」
と、言って、「琴の音」に耳を澄ませました。
秋日和です。
〈ゴマメのばーば〉