色づき始めた………。
三日程前、そんな情報に せきたてられて、出かけてきました。
磐梯山麓、裏磐梯方面へ。
晴れ、どこまでも晴れ。
だから、心も晴れ。
磐梯山は、しっかりと、秋の佇まいで、すっくと そこに在りました。
いつも立ち寄る裏磐梯高原ホテルのロビーで、ケーキセット。
ドトールよりは お高くつきますけど、高村光太郎が、詩「山麓の二人」の中で、
『二つに裂けて傾く磐梯山の裏山は
険しく八月の頭上の空に目をみはり
…………………………………………
と詠んだ磐梯山と、弥六沼を借景とした中庭を望んでのコーヒーです。
少々、お高いのは場所代と思うことにします。
沼のほとりの木と木の間に、ハンモックが吊ってありました。
ハンモックに寝転んで、色づき始めた葉っぱから溢れ降り注ぐ木漏れ日を浴び、
私は、しばし うとうと、と。
光太郎のことなどを思っていました。
『半ば狂へる妻は草を藉いて坐し
わたくしの手に重くもたれて
泣きやまぬ童女のやうに慟哭する
…………………………………………
わたくしは黙つて妻の姿に見入る
…………………………………………
この妻をとりもどすすべが今は世に無い
わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し
…………………………………………』
と、その時、
“そろそろ帰るよ”
と、言って近づいて来た連れ合いの姿に、
一瞬、とまどいながら、現実の秋の日の中に私は戻りました。
秋の日暮は、釣瓶落としで早くやってきます。
〈ゴマメのばーば〉
三日程前、そんな情報に せきたてられて、出かけてきました。
磐梯山麓、裏磐梯方面へ。
晴れ、どこまでも晴れ。
だから、心も晴れ。
磐梯山は、しっかりと、秋の佇まいで、すっくと そこに在りました。
いつも立ち寄る裏磐梯高原ホテルのロビーで、ケーキセット。
ドトールよりは お高くつきますけど、高村光太郎が、詩「山麓の二人」の中で、
『二つに裂けて傾く磐梯山の裏山は
険しく八月の頭上の空に目をみはり
…………………………………………
と詠んだ磐梯山と、弥六沼を借景とした中庭を望んでのコーヒーです。
少々、お高いのは場所代と思うことにします。
沼のほとりの木と木の間に、ハンモックが吊ってありました。
ハンモックに寝転んで、色づき始めた葉っぱから溢れ降り注ぐ木漏れ日を浴び、
私は、しばし うとうと、と。
光太郎のことなどを思っていました。
『半ば狂へる妻は草を藉いて坐し
わたくしの手に重くもたれて
泣きやまぬ童女のやうに慟哭する
…………………………………………
わたくしは黙つて妻の姿に見入る
…………………………………………
この妻をとりもどすすべが今は世に無い
わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し
…………………………………………』
と、その時、
“そろそろ帰るよ”
と、言って近づいて来た連れ合いの姿に、
一瞬、とまどいながら、現実の秋の日の中に私は戻りました。
秋の日暮は、釣瓶落としで早くやってきます。
〈ゴマメのばーば〉