ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

心の古里を失ったような、

2015-10-03 06:19:39 | 日記
海へ行って来ました。
太平洋。
福島県浜通り地方の海へ。
数日前、山形県の酒田へ行った時も、日本海の「海」に会いたかったのですが、
時間がなくて心残りのまま帰って来たのです。

やっぱり、海が呼んでいるので、出かけました。
高台に立って、波打ち際で、
四年半前の「あの日」に波にさらわれて逝ってしまった方たちを思い浮かべて合掌しました。

千切れ雲が あちこちに飛んでいて、
ざんぶり ざざぁー ざんぶり ざざぁー
何ごともなかった様に海は、白波を、打っては打ち返していました。

多くの家屋が、とてつもない大波にさらわれてしまった海辺の町には、
被害の後に修復された家屋や、新築の家なども建っていました。
空き地の雑草の陰に、かって建っていたであろう家屋の土台石が見え隠れしています。

工事用のトラックや、クレーン車があったり、コンクリートなどの建材が置かれていて、
復興のさなかにあるように見受けられました。
復興して行く様子を見るのは嬉しいことです。
逝ってしまった方たちは戻っては来ませんが、残った家族が生活を取り戻していけることは、
故人も安らぐのではないでしょうか。

でも、過去にクルマを走らせた海沿いの道からは海が見えません。
防潮堤が築かれているからです。
震災前までは、春や秋には、海を眺めながらドライブを楽しんだ道です。
津波の災禍から家々や人命を守るためには、大切な防潮堤でしょうが、
なんだか違和感を覚えてしまいました。

そんなことが言えるのは、被害に遭わず、ただ海を眺めにやってきた人間の
我がままだったかもしれません。
新築あるいは改築された家々の窓からも、かつては見えた海原や、沖を行く船は、
見えなくなってしまっているのではないでしょうか。

以前、海を眺めながらコーヒーを飲んだ店の窓からも海は姿を消し、
白っぽい防潮堤の連なりが…………。
ふるさとではありませんが、心の古里を失ったような淋しさを覚えました。

ふっと、
 ♪海は広いな大きいな
  月が昇るし日が沈む
などと、口ずさんでみました。
                                    〈ゴマメのばーば〉
コメント
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