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ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

これこそ『純愛』

2014-09-09 07:21:28 | 日記
またまたNHkテレビ小説「花子とアン」に関してです。
毎日、朝の日課のように観るものですから。
それに、時代背景が自分の子どもの頃と重なるので、懐かしんだり、これちょっと違うんじゃない、
などと思いながら楽しんでいるのです。

懐かしくはあっても、白エプロンに「大日本婦人会」の襷をかけた国防婦人会の姿は思い出したくない、
というより虫唾が走ります。
自分たちこそが正義の権化のように思い込み、他を糾弾する あのしたたかさに嫌悪感を抱いて
しまうのです。

当時、水商売と呼ばれる飲食店で働いている女性たちも、出世兵士の見送りなどには動員されて
いたようです。
一般家庭の婦人たちが、そうした女性たちを蔑視していた様子も目にしました。
私も、よく日の丸の旗を振って参加。
   ♪勝って来るぞと勇ましく
    誓つて故郷(くに)を 出たからは♪ と。

8日放映のなかでも、
「皆さん、おしろい塗って、御商売している方が お似合いですよ」
などという言葉を浴びせるシーンがありました。
いつの時代でも差別はあるものです。

壇密が演じる雪乃に、
「私たちだって日本の女です。お国のために尽くしたいんです」
言わせていますが、春駒という名の娼妓がモデルとか。
1926年に刊行された『光明に芽ぐむ日』を改題して発行した『吉原花魁日記』(森光子 著 朝日文庫)。
『光明に芽ぐむ日』には、連子さまこと、白蓮・柳原子も「序」を記しています。

『鬼追い・続 昭和遊女考』(竹内智恵子著・未来社刊)の中から少々の引用を。
―――甘い夢見せてもろた―――より
《東部三十一部隊に属する兵隊さんの一人が、休日の第二土曜日には必ず廓にやって来る。
出身であるその兵隊さんは、隊で いじめに遭っていた。
「隊は地獄じゃ、話す相手もなし、上等兵に俺だけ往復ビンタ、いつも俺だけ……」

その兵隊さんが、ある時、いつも通ってくる妓に甘納豆を買ってきてくれる。
その妓は、甘納豆など食べたことがなかった。
「俺一ッ、お前二ッ、二人で口に入れちゃ顔見合せて笑ぅて――楽しかったねぇ」
「半年の間、夢見せてもろぅた。甘い夢をネ」

その兵隊さんが戦地に行ってしまう。
「人に隠れて泣いたっけ」
やがて、兵隊さんの部隊が中支で全滅したと聞く。
「悲しかったけネ、でも泣かんかったさネ、泣けば戦死されたこと信じなかないもんネ」

「こん年になったて、甘納豆みると、甘い夢見せてもろたこと思い出して、胸あったかくなって、
胸チクンと痛むわネ」
「一っところの廓に居通したのは、あの兵隊さんが、ひょっこり訪ねて来なさるかも分からん思うて、
居通したのが、ほんとの気持」
「これは、だぁれにもいわん私のたった一つのヒミツだわんネ」
という、一人の廓女。》

私は、これこそ『純愛』だと思っています。
                                   〈ゴマメのばーば〉
コメント (2)
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