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in Switzerland  酪農場の国にて

ただいま、復興支援中。
このブログは著者の恩師・知人・家族への近況報告です。

Corail Murder(2) 届かぬ言葉

2010年10月04日 | Haiti
週が明けた月曜日、他機関や、事務所内の他部署の面々に詳細を問われ、何十回と説明する。警察の調査が終わるまではっきりしたこといえないが、うちの機関が狙われたわけではないこと、事件はCorailの工事現場から数キロはなれた所で起こったこと(工事関係者や工事自体には支障がなかったこと)、亡くなったDは銀行で出金後に現場に戻る途中で襲われたこと、などを伝える。

一方で、Corailの現場で働いていたスタッフ4名は事務所で待機させる。こちらが見ているのも辛いぐらいふさぎ込んでいて、どう話しかけて良いかわからない。こんな時に英語で話しかけても何も彼らに届かない。

午後から、MINUSTHAの心理カウンセラーJ氏に出向いてもらい、カウンセリングを通して今回の事件に対して、彼らの思いや話を聞く。セッションはフランス語で行われ、息咳切ってとりとめもなく話す者や、二言三言話しては流れ出てくる涙を抑える者、始終黙っている者、詳細は(後にカウンセラーに英訳してもらうまで)わからなかったが、その場に居るだけでとても辛かった。カウンセラーJ氏には上司の自分が同席するだけでも、彼らのためになると言われた。不眠や低食欲といった体調の変化、D遺族への懸念が彼らから挙げられた。

J氏には「Dを面接で採用した自分にも負い目を感じる」と個人的に漏らすと、「失業率が高いハイチで、仕事の機会を与えたことはDとその家族のためになった。今は、Dの遺族に何ができるかを探ったほうがよい」と即答された。