朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

「夢をまことに」(山本兼一著)

2013-06-26 | もろもろの事
京都新聞朝刊に連載中のこの小説が、今月いっぱいで終了します。

滋賀県長浜近くの国友村で鉄砲鍛冶として優れた仕事をした一貫斎の伝記小説です。国友一貫斎は、鉄砲作りで優れた腕を発揮するのですが、常にその技術を磨くために四六時中、頭を使い、実験を続けました。鉄砲だけだなく、万年筆に相当する「御懐中筆」(墨を閉じ込めた金属の筒に毛筆をつけた)や、「玉燈」(油灯へのサイホン式自動油さし機構)などを発明します。

最後には、輸入されたオランダ製「テレスコッフ」(反射式望遠鏡)を見せてもらってからは、長年その複製に大変な努力をして、現物よりも性能の優れたテレスコッフを作り上げました。


(引用:京都新聞記事「反射望遠鏡、市文化財に 長浜出身の国友一貫斎作」)

小説の中では、外国から到来した軍艦への防御策として、潜水艦の発想を得て琵琶湖畔で漁船をひっくり返して実験したり、空を飛ぶための仕組みを考察して試してみるなど、実に積極的に行動した人物です。

日本の「ものづくり」産業の原点みたいな人です。

長浜市に「国友鉄砲の里資料館」があるので、一度行ってみなくては。http://www.kunitomo-teppo.jp/

山本兼一氏は、小説「火天の城」では織田信長に突飛な城作り(安土城)を命じられた宮大工の仕事ぶりを書き上げました。職人の工夫や努力をうまく物語にする作家さんです。

7月1日からは、この連載小説の後に、五木寛之氏の「親鸞 完結篇」が始まります。

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