朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

ボストン美術館展

2013-06-07 | もろもろの事
大坂市立美術館で開催されている「ボストン美術館 日本美術の至宝」を見て来ました。



明治時代初期に吹き荒れた廃仏毀釈により、仏教に関する美術品や資料が廃棄されたり二束三文で売り払われました。

その時期に、お雇い外国人教師として米国より来日していたフェノロサがその美術的重要性に気がつき収集をはじめました。フェノロサが東京大学で講義していたのは、政治学、哲学、経済学などでしたが、かれは日本美術の素晴らしさに触れて美術研究に転じていきました。



その活動に賛同した岡倉天心が目利きをし、ボストンの裕福な医師ビゲローが資金を出して多数の貴重な美術品が散逸を免れて、現在はボストン美術館に収められています。

快慶作の弥勒菩薩立像は、シンプルな姿の中にも凛とした尊さが感じられました。金箔の色も見事に残っています。

吉備大臣入唐絵巻はユーモラスな物語になっていて、日本マンガの原典のひとつでしょう。二度も唐に渡った吉備真備は一旦唐の役人に捕らえられますが、鬼となって現れた最初の留学生仲間の阿倍仲麻呂の助けを借りて無理難題の課題を解決していくお話です。

調べてみると、この国宝級の絵巻は昭和初期に正当な商取引として米国に流出しました。その事件がもとになって翌年「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」が成立したそうです。

先日、吉備真備の塚を奈良教育大キャンパスで見学したばかりだったので、とりわけ興味をひかれました。

平治物語絵巻(三条殿夜討巻)も赤と黒の色鮮やかな絵で迫力ある場面を描いています。

伊藤若冲の鸚鵡図も精密に描かれてすばらしい。(上記玄関の写真で右の黒い柱の上部にある模様)

尾形光琳の松島図屏風のデザイン性は現代画のようでした。(同上写真の左の赤い柱の下部の模様)

長谷川等伯の竜虎図屏風、その虎のが可愛い。恐らくその時代、虎の実物を見たことなかったと思いますが、猫をモデルに大きくして描いたのかもしれません。

曾我蕭白の雲龍図、1911年ボストン美術館に収められたときから、襖から剥がされた状態で保管されてきた巨大な龍。今回の修復作業により公開が可能となりました。

その絵が、ポスターに描かれている龍です。
コメント (2)
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