朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

松尾塾子供歌舞伎

2010-11-30 | 伝統芸能
本格的に寒くなってきました。昨日11月29日早朝は気温2.9度まで下がりました。大原あたりでは初霜も降りたのではないでしょうか。


しばらく記事にしていませんが、9月下旬から毎週月曜日夕刻に京都造形芸術大学で「日本芸能史」を聴講しています(エクステンション会員)。今年度後期のテーマは「聖と俗」の後半「人を中心にして」で昨日は第七回。

松尾塾子供歌舞伎の教室を、22年間に亘って続けてこられた松尾昌出子塾長の講演でした。

引用:機関紙「たまごとひよこ」38号(2010-9-29)

長崎県の出身、明治生まれの母上松尾波儔江さんが子供芝居からスタートし歌舞伎、女役者として一座を組んで活躍し48歳で引退してから、なんと85歳になった時、普通の子供たちに本物の歌舞伎を教えたいと私塾を始める決意を固めました。反対もあったけれど、娘の昌出子さんが大阪新歌舞伎座社長であった縁もあり、周囲の支援のもとに「松尾塾」が大阪で創設されました。

「歌舞伎を通して子供たちに親孝行・感謝・義理人情など日本人の心を伝えたい」



衣装、化粧、鬘、大道具、小道具、地方など、公演には全て本物を使う。塾生の費用は一切不要です。

1991年に先代や支援者の踊りの師匠などが亡くなられたので解散するつもりであったが、松尾波儔江初代塾長・藤間良輔講師追悼公演だけはやることにしました。その公演が成功し子供たち親たちから継続を求められて今日に至ったとお話がありました。

今回は松尾塾長のお話とスライドが中心。公演練習の様子をドキュメンタリーとして記録したビデオや名場面集の映像を鑑賞しました。



入塾できるのは3歳から8歳まで、塾生でいられるのは中学2年までだそうです。年2回の公演を目指して稽古する、公演前には月15回練習するそうです。

本職の衣装さんが子供の寸法に合わせて、演目と役により定められて伝統様式の衣装を縫い直す、鬘もそのサイズで作る、地方さんの演奏、大道具小道具の準備などなど。子供たちはそんな裏方の活動を身近に見て、感謝、義理人情を直接感じ取ります。子供への施しだけではなく、逆に大人、親や指導者、支援者も思わぬ産物を子供たちから得ることがあり、責任感、協調性、助け合い、自己管理、自分で考え行動する、親子の関係を認めあう、などです。

松尾さんが主宰する財団、支援企業、文化庁・地方公共団体等の助成金などで支えられているとはいえ、本当にすばらしい社会貢献だと感動しました。

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今回のお話で知ったのですが、各地に子供歌舞伎は地道に活動されているようで、その全国公演が「全国子供歌舞伎フェスティバルin小松」として石川県小松市で毎年開かれています。これも素敵なことですね。


コメント (2)
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