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私の仕事・群馬県立自然史博物館23.常設展示・自然界におけるヒト23(現代人の起源と進化)

2010年07月12日 | C1.私の仕事:群馬県立自然史博物館[My

 今回は、「現代人の起源と進化」をご紹介します。現代人の起源と進化については、1987年にハワイ大学のレベッカ・キャンさん達が世界中の現代人のミトコンドリアDNAを分析した結果、現代人の起源は、約20万年前のアフリカであることが判明しました。

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群馬県立自然史博物館135.「現代人の起源と進化」展示全景(*画像をクリックすると、拡大します。)

 多地域進化説もアフリカ単一起源説のどちらも、最初のヒトは、アフリカであると考えています。下の緑の部分は、アフリカの大地溝帯で誕生した最初のヒトを意味します。

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群馬県立自然史博物館136.「現代人の起源と進化」・多地域進化説1

 多地域進化説では、その後、原人(ホモ・エレクトス)の段階で、アフリカから中近東・アジアへ広がったと考えます。下の緑の部分は、原人の広がりを意味します。

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群馬県立自然史博物館137.「現代人の起源と進化」・多地域進化説2

 多地域進化説では、その後、原人から旧人段階になり、さらに、ヨーロッパ・アジア・オーストラリアと、広がったと考えます。下の緑の部分は、旧人の広がりを意味します。

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群馬県立自然史博物館138.「現代人の起源と進化」・多地域進化説3

 多地域進化説では、アフリカから広がった、原人が旧人を経て、それぞれの地域で、新人(ホモ・サピエンス)に進化したと考えます。下の緑の部分は、新人が世界中に広がったことを意味します。

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群馬県立自然史博物館139.「現代人の起源と進化」・多地域進化説4

 アフリカ単一起源説でも、多地域進化説と同様に、最古の人類はアフリカで誕生したと考えています。

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群馬県立自然史博物館140.「現代人の起源と進化」・アフリカ単一起源説1

 その後、原人段階で、アフリカ各地に広がっていきます。このパネルでは示していませんが、この原人段階でアフリカからその他の地域へ拡散します。しかし、多地域進化説では、各地に広がった原人が各地で原人から旧人へ、そして新人へと進化したと考えますが、アフリカ単一起源説では、各地に拡散した原人はそこで絶滅したと考えます。

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群馬県立自然史博物館141.「現代人の起源と進化」・アフリカ単一起源説2

 旧人段階では、アフリカ全土に広がります。このパネルでは示していませんが、この段階では南北アメリカや極地方を除く場所に、すでに人々は拡散しています。しかし、アフリカ単一起源説では、これらの人々は現代人の祖先では無いと考えます。やがて、約20万年前頃、アフリカのサハラ砂漠以南で、新人が誕生します。このグループこそ、現代人の起源だと考えています。

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群馬県立自然史博物館142.「現代人の起源と進化」・アフリカ単一起源説3

 アフリカのサハラ砂漠以南で誕生した新人は、やがて、世界中に広がり、現代人となりました。つまり、現代人の起源は、古いものではなく、比較的新しいということになります。

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群馬県立自然史博物館143.「現代人の起源と進化」・アフリカ単一起源説4


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