人類学のススメ

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私の仕事・群馬県立自然史博物館28.ネアンデルタール人の謎展1(第7回企画展)

2011年02月06日 | C1.私の仕事:群馬県立自然史博物館[My

 群馬県立自然史博物館の第7回企画展『ネアンデルタール人の謎』展は、1999年3月13日(土)から同年5月9日(日)まで開催されました。私は、この企画展を主担当で行いました。

 展示構成は、6つのコーナーに分けました。ネアンデルタール人だけでは、広い企画展示室を埋めることはできないので、人類進化と併せて企画しています。

1.ネアンデルタール人の謎

2.霊長類への道

3.ネアンデルタール人への道

4.ネアンデルタール人の世界

5.ネアンデルタール人の運命

6.日本人が調査したネアンデルタール人

 今回は、「1.ネアンデルタール人の謎」と「2.霊長類への道」をご紹介します。

 導入部の派手なデザインは、入札で落札した業者によるものです。人類進化の古書の中から、ネアンデルタール人の頭蓋骨が光を放ちながら顔をのぞかせています。ちなみに、この古書は私の個人所有のもので、イギリスの著名な人類学者、アーサー・キース(Arthur KEITH)[1866-1955]が書いた『The Antiquity of Man』を使用しています。この本は、1915年の初版と1925年の改訂版とがあり、私はどちらも所有しているのですが、このデザインでは1925年版のものを使用しました。

 また、ネアンデルタール人の頭蓋骨は、私の人類学の師・鈴木 尚[1912-2004]先生が 1961年にイスラエルのアムッド洞窟で発見したアムッド1号頭蓋骨です。これは、模型ですが、私が撮影した写真が使用されています。

 入口部にある、胸像は、ドイツのクランツ社製のネアンデルタール人の胸像です。

Neandertal1

ネアンデルタール人の謎展1.入口部(*画像をクリックすると、拡大します。)

 導入部の「1.ネアンデルタール人の謎」には、1856年にドイツのデュッセルドルフ近郊ネアンデル渓谷のフェルトフォーファー洞窟で発見されたネアンデルタール人の全身骨格レプリカを展示しました。この全身骨格レプリカは、ドイツのクランツ社製のものです。

Neandertal2

ネアンデルタール人の謎展2.導入部(*画像をクリックすると、拡大します。)

 「2.霊長類への道」では、化石霊長類のエジプトピテクス・ズーシス(約3,400万年前)、プロコンスル・アフリカヌス(約1,800万年前)、ルーフェンピテクス・ルーフェンゲンシス(約800万年前)、ギガントピテクス・ブラッキ(約100万年前~50万年前)のレプリカを展示しました。

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ネアンデルタール人の謎展3.化石霊長類の展示(*画像をクリックすると、拡大します。)

 化石霊長類の次には、現生霊長類の実物全身骨格とレプリカ全身骨格を展示しました。下の写真手前から、ツパイ(実物)・マーモセット(実物)・ワオキツネザル(実物)・ニホンザル(実物)・チンパンジー(レプリカ)・ゴリラ(レプリカ)を展示しました。

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ネアンデルタール人の謎展4.現生霊長類の全身骨格展示1[入口側から撮影](*画像をクリックすると、拡大します。)

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ネアンデルタール人の謎展5.現生霊長類の全身骨格展示2[内側から撮影](*画像をクリックすると、拡大します。)

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ネアンデルタール人の謎展6.現生霊長類の全身骨格展示3。ゴリラ(手前)・チンパンジー(奥)[内側から撮影](*画像をクリックすると、拡大します。)

 この現生霊長類の全身骨格の通路を挟んで反対側には、日本語で書かれた人類進化に関する本を展示しました。これは、以前、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館の常設展示に、人類進化に関係する本を展示していたことにヒントを得ました。この本は、すべて、私が所有している本を展示しています。

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ネアンデルタール人の謎展7.日本語で書かれた人類進化の本展示(*画像をクリックすると、拡大します。)

 ここでは、ゴリラの雌雄・オランウータンの雌雄・チンパンジーの雌雄の頭蓋骨レプリカを触れるコーナーも設けました。このレプリカは、ドイツのソムソ社製のものです。

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ネアンデルタール人の謎展8.触れる現生霊長類の頭蓋骨レプリカ[右から、ゴリラの雄雌・オランウータンの雄雌・チンパンジーの雄雌](*画像をクリックすると、拡大します。)


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