この本は、アメリカの考古学者、ロバート・ブレイドウッド(Robert J. BRAIDWOOD[1907-2003]が、世界の先史時代の遺跡や遺物について書いたものです。原題は、『Prehistoric Men』で、初版は1948年にフィールド自然史博物館から出版されています。本書は、第7版を、文化人類学者の泉 靖一[1915-1970]さん・増田義郎さん・大貫良夫さん・松谷敏雄さんの4人で翻訳しています。1969年に、新潮選書として新潮社から出版されました。
著者のブレイドウッドは、ミシガン州のデトロイトに生まれ、ミシガン大学を卒業後、シカゴ大学大学院を卒業し、引退まで、このシカゴ大学で教鞭をとりました。主に、イラク・イラン・トルコで農耕の起源をテーマに発掘調査を実施しています。また、その調査には、考古学者・農学者・植物学者・動物学者・地質学者等を動員して、総合調査を実施したパイオニアです。さらに、シカゴ大学の同僚で炭素年代測定法を考案し後にノーベル賞を受賞した、ウィラード・リビー(Willard LIBBY)[1908-1980]の影響も受け、年代測定を実施しています。これらは、やがて、シカゴ大学で、ニュー・アーケオロジー(New Archeology)と呼ばれる学派を形成する下地となりました。
ちなみに、このブレイドウッドは、アメリカ映画の「インディアナ・ジョーンズ」のモデルあるいはジョーンズの先生のモデルではないかと言われています。映画の中でも、ジョーンズは、シカゴ大学出身で、レイベンウッドに考古学を学んだという設定になっています。
- 序文
- 先史時代はどのようにして明らかにされてゆくか
- 変わりゆく先史時代の世界
- 先史時代人とは何か
- 文化のはじまり
- さらに豊かになる文化
- 初期の新人たち
- 終末と前奏曲
- 最初の革命
- 文明の征服
- 先史時代の終幕
- まとめ
本書は、出版年が古いのですが、当時のブレイドウッドの考えや、調査の方法等、参考になります。