群馬県立自然史博物館の第7回企画展『ネアンデルタール人の謎』展は、1999年3月13日(土)から同年5月9日(日)まで実施されました。
この企画展のレポートは、今回が最後です。
『4.ネアンデルタール人の世界』では、「ネアンデルタール人の時代の動物たち」として、ネアンデルタール人と同じ時代に生息していた動物の骨格標本を展示しました。この部分は、古生物学担当の高桑祐司さんにお願いしました。
展示物は、ホラアナグマ・オオツノジカ・アカシカ・ファロージカ・トナカイ・シベリアオオカミ・ケサイ・ノロジカ・ジャコウウシ・マンモスで、ほとんどが群馬県立自然史博物館所蔵あるいは常設展示標本を使用しましたが、一部、栃木県立博物館から借用しました。
群馬県立自然史博物館の企画展示室は、他館に比べて広いので、小さい人類だけではとても埋めることができず、この動物の骨格標本や剥製標本の展示があって助かりました。
ネアンデルタール人の謎展20.「ネアンデルタール人の時代の動物たち」展示風景全景(*画像をクリックすると、拡大します。)
ネアンデルタール人の謎展21. 「ネアンデルタール人の時代の動物たち」展示風景1(*画像をクリックすると、拡大します。)
ネアンデルタール人の謎展22.「ネアンデルタール人の時代の動物たち」展示風景2(*画像をクリックすると、拡大します。)
この他、「5.ネアンデルタール人の運命」というコーナーがあり、ここでは、主にクロマニヨン人(新人)を展示しました。最後のコーナーは、「6.日本人が調査したネアンデルタール人」というコーナーを設けました。
これまでに、日本人が調査したネアンデルタール人の遺跡として、アムッド洞窟(イスラエル)・ケウエ洞窟(レバノン)・ドゥアラ洞窟(シリア)・デデリエ洞窟(シリア)の4遺跡があります。私自身も、1984年にドゥアラ洞窟を調査する機会に恵まれましたが、残念ながら、石器や獣骨は出土したものの人骨は出土しませんでした。
この4遺跡で人骨が出土したものは、アムッド洞窟とデデリエ洞窟です。この両方の遺跡共に、人骨・獣骨・石器の3点セットが出土しています。これら、4遺跡の出土遺物は、東京大学総合研究博物館と国際日本文化研究センターから借用しました。
ネアンデルタール人の謎展23. 「日本人が調査したネアンデルタール人の遺跡」展示風景(*画像をクリックすると、拡大します。)
この『ネアンデルタール人の謎』展では、関連行事として、1999年3月14日(日)に「ネアンデルタール人の発見」と題した講演を、国際日本文化研究センター(当時、現高知工科大学)の赤澤 威先生にお願いしました。赤澤 威先生には、1984年にシリアのドゥアラ洞窟発掘調査に連れていっていただきました。講演の内容は、1993年8月23日に、シリアのデデリエ洞窟で発見された約2歳のネアンデルタール人の子供について話していただきました。また、1999年4月18日(日)には、私が、「ネアンデルタール人の謎」という講演を行っています。
ネアンデルタール人の謎展24.「ネアンデルタール人の謎」展図録表紙(*画像をクリックすると、拡大します。)
ネアンデルタール人の謎展25.「ネアンデルタール人の謎」 展図録裏表紙(*画像をクリックすると、拡大します。)