人類学のススメ

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私の仕事・群馬県立自然史博物館30.ネアンデルタール人の謎展3(第7回企画展)

2011年02月12日 | C1.私の仕事:群馬県立自然史博物館[My

 群馬県立自然史博物館の第7回企画展『ネアンデルタール人の謎』展は、1999年3月13日(土)から同年5月9日(日)まで実施されました。

 「3.ネアンデルタール人への道」では、当時知られていた人類の祖先14種の骨をレプリカを中心に展示しました。これは、常設展示『自然界におけるヒト』では、人類のみが持つ特徴をジオラマ(ダイオラマ)や復元画で展示していますが、それぞれの段階の種は、代表的なものしか展示していないため、変異を見てもらうために企画しました。ちなみに、当時、知られていた人類の種は、以下の通りです。

  • アルディピテクス・ラミダス(パネルのみ)
  • アウストラロピテクス・アナメンシス(パネルのみ)
  • アウストラロピテクス・アファレンシス(全身骨格復元模型)
  • アウストラロピテクス・アフリカヌス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・ハビリス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・エルガスター[ホモ・エルガステル](頭蓋骨レプリカと全身骨格模型)
  • ホモ・ハイデルベルゲンシス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・サピエンス(頭蓋骨レプリカ)
  • パラントロプス・エチオピクス(頭蓋骨レプリカ)
  • パラントロプス・ボイセイ(頭蓋骨レプリカ)
  • パラントロプス・ロブストス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・ルドルフエンシス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・エレクトス(頭蓋骨レプリカ)
  • ホモ・ネアンデルターレンシス(頭蓋骨レプリカ・全身骨格)

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ネアンデルタール人の謎展14.「ネアンデルタール人への道」展示風景1・猿人段階(*画像をクリックすると、拡大します。)

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ネアンデルタール人の謎展15.「ネアンデルタール人への道」展示風景2・原人段階(*画像をクリックすると、拡大します。)

 「4.ネアンデルタール人の世界」では、ネアンデルタール人の頭蓋骨レプリカを多く展示しました。また、ネアンデルタール人と同じ時代の獣骨も多数展示しています。このコーナーでは、古代オリエント博物館から借用した、イラクのシャニダール洞窟出土人骨の出土状況レプリカを展示しました。このレプリカは、元々は、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会(花博)」で展示されていたものだそうです。

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ネアンデルタール人の謎展16.「ネアンデルタール人の世界」展示風景1・遠景(*画像をクリックすると、拡大します。)

 このコーナーでは、ネアンデルタール人を、ヨーロッパの地図上に実物大のネアンデルタール人頭蓋骨レプリカを展示し、出土位置を示しました。一目で分かり、なかなかわかりやすい展示になったのではないかと思いました。

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ネアンデルタール人の謎展17.「ネアンデルタール人の世界」展示風景2・ネアンデルタール人の変異(*画像をクリックすると、拡大します。)

 触れるコーナーでは、ドイツのソムソ社製の人類化石レプリカを使用しました。当時は、6種類が販売されていたので、猿人・原人・旧人・新人と展示しています。猿人・原人・旧人・新人段階の頭蓋骨レプリカを実際に触ることで、大きさや形の違いがよくわかるという評判でした。

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ネアンデルタール人の謎展18.「ネアンデルタール人の世界」の触れるコーナー(*画像をクリックすると、拡大します。)

 この『ネアンデルタール人の謎』展の目玉展示は、イタリア出土のネアンデルタール人とクロマニヨン人の実物標本でした。当初は、私の師の鈴木 尚[1912-2004]先生が、イスラエルで発見したアムッド人の展示を行うという企画でしたが、これが頓挫したため、ヨーロッパの博物館や大学に問い合わせをした結果、イタリアから借用することができました。

 イタリアのキエーティにあるキエーティ大学附属考古学博物館のルイージ・カパッソ(Luigi CAPASSO)さんは、フローレンス大学医学部出身の古病理学者です。 古病理学雑誌(Journal of Paleopathology)を主催して出版しており、以前にこのブログで古病理学の洋書としてご紹介した、『Atlas of Occupational Markers on Human Remains』という専門書も出版されています。

 ただ、肝心のネアンデルタール人の方はほんの一部でしたが、クロマニヨン人の方は頭蓋骨を展示することができました。カパッソさんには、企画展の開始前と終了後の2回、来日していただきました。

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ネアンデルタール人の謎展19.イタリア出土ネアンデルタール人とクロマニヨン人実物骨格


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