1992年7月4日~7月10日に行われたペリリュー島の日米合同調査ですが、全員で当時のパラオの議員と発掘調査の可否について会議をしました。しかし、発掘調査はとうとう許可がおりませんでした。当時のパラオの議員は、ペリリュー島は島全体が墓だという認識で、これ以上、日本兵の遺骨を持ち帰ることは許可しないとの見解でした。
パラオは、1994年に独立しますが、独立前というタイミングもあったのかもしれません。
このペリリュー島の水戸山では、「最後の日本兵」の物語が有名です。パラオのコロールに、当時、「鶴之家」という料亭があり、そこの芸妓「久松」は、引野通広少佐(独立歩兵第346大隊)に懇願し、ペリリュー島へ同行したというのです。その際、久松は、黒髪を切り落として坊主頭になり、日本陸軍の軍属として制服まで着てペリリュー島へ同行したそうです。その後、引野少佐は戦死し、久松は丘の上で米軍海兵隊に包囲され、機関銃を乱射したと言われています。久松は戦死したのか、捕虜となったのか、その真偽もよくわからないそうです。
パラオ76.丘の上にある銃。久松が使った銃なのか?
パラオ77.日米合同調査の参加者(左から、私・スコット先生・中島さん・バレンドルフ先生・シリアーニ先生)
2002年には、この1992年のペリリュー島の日米合同調査を元にして、ペリリュー島の戦争遺跡について、以下の本に分担して執筆しました。「ペリリュー島の戦争遺跡:天皇の島と呼ばれた玉砕の島」、『しらべる戦争遺跡の事典』(十菱駿武・菊池 実編)、柏書房、2002年
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しらべる戦争遺跡の事典 価格:¥ 3,990(税込) 発売日:2002-06 |
なお、このペリリュー島では、実際に、戦後の1947年4月まで洞窟に潜んでゲリラ戦を続けていた日本軍兵士34名がいました。
この最後の兵士34名については、以下の2冊の本が出版されています。
1.久山 忍 2009 『戦いいまだ終わらず』、産経新聞出版
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戦い いまだ終わらず 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2009-12-08 |
本書の内容は、以下のように、全5章からなります。
- ペリリュー島
- 戦闘の記録
- 生存への道(昭和19年9月~昭和20年4月)
- 壕の生活(昭和20年4月~昭和22年3月)
- 帰順までの記録(昭和22年3月~5月)
2.平塚 柾緒 2010 『生還:玉砕の島ペリリュー戦記』、学研
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証言記録 生還―玉砕の島ペリリュー戦記― (WWⅡ SELECTION) 価格:¥ 2,415(税込) 発売日:2010-08-11 |
本書の内容は、以下のように、全8章からなります。
- 序章.50年目の玉砕地
- 第1章.死出の旅
- 第2章.オレンジビーチの死闘
- 第3章.敵前逆上陸
- 第4章.玉砕
- 第5章.敗残の洞窟生活
- 第6章.奇跡の投降
- 終章.祖国