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私の仕事・群馬県立自然史博物館27.常設展示・自然界におけるヒト27(ヒトの特徴4)

2010年07月16日 | C1.私の仕事:群馬県立自然史博物館[My

 今回は、『ヒトの特徴』の内、11.脳の発達と言語と12.道具をご紹介します。最後の展示は、どちらも映像で展示しました。この2つ共、私がシナリオを作成しました。映像の制作には、やはり決めることが多くあります。

 博物館の映像展示は、短くないと来館者の方々が見てくれません。3分くらいが限界でしょうか。待機画面には、「脳の発達と言語」には脳の模型のCGを、「道具」には石器のCGを回転させて動きを示しました。この2つ共、3次元スキャナーで読み込んで製作しています。また、必ず、映像の上映時間を明記しています。上映時間が10分とあれば、まず、来館者は見てくれないでしょう。もちろん、大型上映館であれば別ですが・・・。

 常設展示『自然界におけるヒト』では、「二生歯性」・「霊長類のロコモーション」・「脳の発達と言語」・「道具」の4つの映像があります。また、「コーナー展示紹介」も見ることができます。まず、映像のナレーターを決めなければなりません。展示業者さんが何人かの候補の、プロフィールや声のサンプルを持ってきてくれます。その中から、男性1人と女性1人に絞りました。この時は、どちらも、展示業者さんが本命と考えた人は入っていなかったそうでしたが、きちんと選んだ理由を説明して納得してもらいました。

 常設展示の準備をしている忙しい中、映像の編集や音声の編集に、東京のスタジオで立ち会いました。2泊3日で立ち会ったと記憶しています。プロの仕事だなと思ったのは、音声の編集の際、ナレーターの方がナレーションを実際に読んでみて、少しずつ手直しをしたことです。所謂、現場合わせです。

 ちなみに、コーナー展示紹介は、ジオラマ(ダイオラマ)展示に関わった芸術家達のインタビューがメインでした。全編英語なので、私が翻訳し、かつ秒にいたるまで私が決めました。

11.脳の発達と言語

 ここでは、映像を使って、解剖学的にチンパンジー等の類人猿は明瞭な言葉を発することができないことを示しました。また、パネルにはドイツのソムソ社製のヒト頭部の縦断模型を展示しています。

Photo

群馬県立自然史博物館159.「脳の発達と言語」展示

12.道具

 ここでは、アメリカで研究されているボノボ(ピグミー・チンパンジー)のカンジの映像やアフリカで石器を使用するチンパンジーの映像を編集して解説しています。2つ共、NHKで製作された映像を編集して使用しています。

Photo_2

群馬県立自然史博物館160.「道具」展示

 ただ、この2つの映像は並んでいるので、音声が少しダブルことがネックでしょうか。もちろん、展示設計段階から懸念はありましたが、展示の順番等からこの場所にしました。微妙に角度を変えていて、なるべく音声がクロスしないようにはしているのですが・・・。少し、反省しています。

 群馬県立自然史博物館の常設展示『自然界におけるヒト』のメイキング裏話は、今回で終了です。何かの参考になれば、幸いです。


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