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人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

ミイラの本10.5000年前の男

2011年06月24日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
5000年前の男―解明された凍結ミイラの謎 (文春文庫) 5000年前の男―解明された凍結ミイラの謎 (文春文庫)
価格:¥ 650(税込)
発売日:1998-01

 この本は、インスブルック大学のコンラート・シュピンドラー(Konrad SPINDLER)[1939-2005]さんが、1991年にアルプスで発見された約5,300年前のミイラについて書いたものです。畦上 司さんによる翻訳で、1994年に単行本が、1998年には文庫本として、文藝春秋から出版されました。

 このミイラは、「アイスマン」や「エッツィ」と呼ばれています。発見当初は、オーストリア領だとされていましたが、その後の測量により、イタリア領であったことが判明し、現在はイタリアの博物館で研究が続けられています。今年(2011年)は、発見20周年になります。

 本書の内容は、以下のように、全8章からなります。

  1. 世紀の大発見
  2. 本格的調査の開始
  3. さまざまな遺物
  4. 服装の謎
  5. 遺体は語る
  6. 故郷をさがせ
  7. 五千年前の暮らし
  8. 再現ドラマ「最後の日々」
  • 付章.エッツィ騒動顛末記

Spindler1994


ミイラの本9.ミイラはなぜ魅力的か

2011年06月10日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]

ミイラはなぜ魅力的か―最前線の研究者たちが明かす人間の本質 ミイラはなぜ魅力的か―最前線の研究者たちが明かす人間の本質
価格:¥ 2,415(税込)
発売日:2002-05

The Mummy Congress: Science, Obsession and the Everlasting Dead The Mummy Congress: Science, Obsession and the Everlasting Dead
価格:¥ 2,322(税込)
発売日:2001-07-16

The Mummy Congress: Science, Obsession, and the Everlasting Dead The Mummy Congress: Science, Obsession, and the Everlasting Dead
価格:¥ 1,180(税込)
発売日:2002-06

 この本は、科学ジャーナリストのヘザー・プリングル(Heather PRINGLE)さんが、世界のミイラについて書いたものです。原書は2001年に出版された『The Mummy Congress』で、鈴木主税さんと東郷えりかさんによる翻訳で、2002年に早川書房から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全14章からなります。

  • ミイラ会議
  • 解体者のナイフ
  • 宿主
  • 麻薬王
  • クライム・ストーリー
  • 西方からの侵略者
  • 優等人種
  • ミイラ商人
  • 有名人
  • インコラプティブル:不朽の聖人
  • 独裁者
  • 子供たち
  • 自己保存
  • 最終章

 本書の「自己保存」には、元聖マリアンナ医科大学の森本岩太郎先生のエピソードも紹介されています。

Pringle2002


ミイラの本8.あるミイラの履歴書

2011年06月09日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
あるミイラの履歴書―エジプト・パリ・東京の三千年 (中公新書) あるミイラの履歴書―エジプト・パリ・東京の三千年 (中公新書)
価格:¥ 693(税込)
発売日:2000-04

 この本は、元筑波大学の神谷敏郎[1930-2004]さんが、東京大学に100年以上所蔵されていたエジプト・ミイラについて書いたものです。2000年に、中公新書1529として、中央公論新社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  1. エジプトのミイラとの出会い
  2. 江戸時代のエジプトのミイラ
  3. エジプトのミイラ日本に上陸
  4. ミイラの身体検査
  5. 世界のミイラ

Kamiya2000


ミイラの本7.日本のミイラ仏

2011年06月08日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
日本のミイラ仏 (臨川選書) 日本のミイラ仏 (臨川選書)
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2002-10

 この本は、昭和女子大学名誉教授の松本 昭さんが、日本の即身仏ミイラについて書いたものです。1985年にロッコウブックスとして六興出版から出版され、その後、2002年には臨川選書として増補版が臨川書店から出版されています。

 松本 昭さんは、早稲田大学卒業後、毎日新聞社に入社し学芸部時代は、吉川英治さんの『私本太平記』の担当記者として活躍したそうです。ちなみに、この松本 昭さんの父親の松本赳[1880-1948]さんは、昭和女子大学の創立理事だった方です。

 以下は、ロッコウブックス版の内容で、全4部6章からなります。

第1部.ミイラのメッカ出羽三山

  1. 湯殿山系即身仏
  2. 湯殿山の神秘

第2部.日本文化の中のミイラ仏

  1. 空海の入定説話と即身成仏理論
  2. 古代日本の穢と浄
  3. 死穢から極楽への道
  4. 極楽往生から即身成仏への展開

第3部.諸種の思想によるミイラ仏

第4部.中国の禅とミイラ

Matsumoto1985

日本のミイラ仏 (1985年) (ロッコウブックス)
価格:¥ 1(税込)
発売日:1985-05


ミイラの本6.日本のミイラ

2011年06月07日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]

Ando1961

日本のミイラ (1961年)
価格:(税込)
発売日:1961

 この本は、元早稲田大学の東洋美術研究者・安藤更生[1900-1970]さんが、日本と中国のミイラについて書いたものです。1961年に、毎日新聞社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全2部に分かれます。

  1. 日本のミイラ
  2. 中国のミイラ
  3. 世界のミイラ

 第1部では、主に、即身仏について書かれており、藤原四代・弘知法印・本明海・海向寺・鉄門海・真如海・鉄竜海・全海上人・舜義上人等が紹介されています。また、中国や世界のミイラについても書かれており、大変、参考になります。


ミイラの本5.中尊寺と藤原四代

2011年06月06日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]

Asahishinbun1950

中尊寺と藤原四代―中尊寺学術調査報告 (1950年)
価格:(税込)
発売日:1950

 この本は、朝日新聞社編により、中尊寺に保管されている藤原四代のミイラについて書かれたものです。1950年に、朝日新聞社から出版されました。この調査は、1950年3月21日~同年3月31日までの10日間にわたって行われたもので、多くの分野の研究者が参加しています。

 この藤原氏四代とは、清衡(きよひら)・基衡(もとひら)・秀衡(ひでひら)・泰衡(やすひら)のことです。

 本書の内容は、以下のように、全16章からなります。

  • 藤原四代遺体の科学的研究の意義(柴田雄次)[東京都立大学]
  • 遺体に関する諸問題(長谷部言人)[東北大学]
  • 遺体の人類学的観察(鈴木 尚)[東京大学]
  • 藤原四代の血液型・指紋・歯(古畑種基)[東京大学]
  • レントゲン学的にみた藤原四代(足澤三之介)[岩手医科大学]
  • 藤原四代の遺体と微生物(大槻虎男)[お茶ノ水女子大学(ママ)]
  • 中尊寺のミイラとともにあった植物のタネ(大賀一郎)[関東学院大学]
  • 鼠害と虫害について(森 八郎)[慶応大学]
  • 理化学的調査(朝比奈貞一)[国立科学博物館]
  • 遺体の保存処置についての一考察(櫻井高景)[東京大学]
  • 金色堂の設計と遺体の安置(石田茂作)[国立博物館]
  • 副葬品について(毛利 登)[国立博物館]
  • 平泉の文化と中尊寺(津田左右吉)
  • 奥州藤原氏と蝦夷の文化(田澤金吾)[国立博物館]
  • 中尊寺遺体の文献的考證(森 嘉兵衛)[岩手大学]
  • 北方の王者(大佛次郎)[作家]

 本書は、藤原四代のミイラについての初めての報告書で、大変、参考になります。中でも、ミイラ4体を調査した鈴木 尚先生によると、泰衡の首には13ヶ所の刀傷があり、頭部と顔面部に9ヶ所・頚部に4ヶ所が認められています。頭部と顔面部の刀傷は裏切りにあった河田次郎に応戦した際についたもので、頚部の刀傷は斬首された際についたものであろうと推定されています。


ミイラの本4.日本・中国ミイラ信仰の研究

2010年04月01日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
日本・中国ミイラ信仰の研究 日本・中国ミイラ信仰の研究
価格:¥ 6,320(税込)
発売日:1993-05

 この本は、日本ミイラ研究グループ編により、日本と中国を中心としたミイラについて書かれたものです。日本と中国以外では、アリュート民族・セントローレンス島・フィリピンのイバロイ族のミイラについて書かれています。1993年に、平凡社から出版されました。私は、出版時に、著者のお一人の森本岩太郎先生から寄贈していただきました。

 本書の内容は、以下の通りです。

  • 日本の入定ミイラの研究(松本 昭)
  • 阿字観入定の実例(松本 昭・荒木計子・柴沼圭子)
  • 阿月秀快上人の遺骨について(森本岩太郎・平田和明)
  • 中国の入定ミイラの研究(松本 昭)
  • 南華寺の六祖慧能の真身考(徐 恒彬)[田熊信之訳]
  • 六祖慧能の首(森本岩太郎)
  • 雙蹊寺の六祖頂相塔(荒木計子)
  • 肉親像及遺灰像の研究(小杉一雄)
  • 近世樺太史とアイヌ民族の葬制(海保嶺夫)
  • アリュート民族のミイラ風習(スチュアート・ヘンリ)
  • セント・ローレンス島発見の凍結ミイラ(スチュアート・ヘンリ)
  • イバロイ族のミイラ(森本岩太郎)

 本書は、日本・中国のミイラの現状を知るのに最適の本です。


ミイラの本3.ミイラ全身解剖

2010年01月11日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
カラー版 ミイラ全身解剖-ミイラ科学と古病理学が明かす古代エジプト人の生と死 カラー版 ミイラ全身解剖-ミイラ科学と古病理学が明かす古代エジプト人の生と死
価格:¥ 6,090(税込)
発売日:2001-01-18
Conversations With Mummies: New Light on the Lives of Ancient Egyptians Conversations With Mummies: New Light on the Lives of Ancient Egyptians
価格:¥ 1,913(税込)
発売日:2009-08
Conversations with Mummies: New Light on the Lives of Ancient Egyptians Conversations with Mummies: New Light on the Lives of Ancient Egyptians
価格:¥ 3,066(税込)
発売日:2000-10-02

 この本は、古病理学者のロザリー・デイヴィッド(Rosalie DAVID)さんとライターのリック・アーチボルド(Rick ARCHBOLD)さんが、エジプト・ミイラの古病理学について書いたものです。2000年に、『Conversations with Mummies』としてMadison Pressから出版されたものを、著名なエジプト学者吉村作治先生による監訳で、2001年に講談社から出版されました。原題の直訳は、「ミイラとの会話」となるでしょうか。

 本書の内容は、以下のように全6章からなります。

  1. ミイラ科学の始まり
  2. 謎解きの歴史
  3. 生き残っていた細胞
  4. 苦しみぬいた死
  5. 隠れていた寄生虫
  6. 語りかけてくる生命の真実

 本書は、現時点で、翻訳されたものとしては最良のミイラの古病理学に関する本だと思われます。


ミイラの本2.病と風土

2010年01月10日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
病と風土―古代の慢性病・疫病と日常生活 (大英博物館双書―古代エジプトを知る) 病と風土―古代の慢性病・疫病と日常生活 (大英博物館双書―古代エジプトを知る)
価格:¥ 2,200(税込)
発売日:1999-04
Disease (Egyptian Bookshelf) Disease (Egyptian Bookshelf)
価格:¥ 1,769(税込)
発売日:1996-03

 この本は、大英博物館のジョイス・ファイラー(Joyce FILER)さんが、エジプト・ミイラの古病理について書いた本です。1995年に『Disease』として出版された本を、東海大学名誉教授の鈴木八司さんによる監修・内田杉彦さんによる翻訳で、1999年に学藝書林から出版されました。大英博物館双書「古代エジプトを知る」シリーズ全4巻の内の、第3巻として出版されました。

 本書の内容は、以下のように全7章からなります。

  1. 環境
  2. 病気を示す証拠
  3. 現代の科学技術と古代の病気
  4. 先天性の病気
  5. 後天性の病気
  6. 外傷
  7. 歯の健康

 本書には、古代エジプト人の古病理を、文書・壁画と実際のミイラや人骨から探っており、大変、参考になる本です。

Suzuki1999


ミイラの本1.ミイラ解体

2010年01月09日 | J6.ミイラの本[Mummies:Japanese]
ミイラ解体―「王家の谷」造営職人長ホルエムケニシの生涯と死 (大英博物館双書―古代エジプトを知る) ミイラ解体―「王家の谷」造営職人長ホルエムケニシの生涯と死 (大英博物館双書―古代エジプトを知る)
価格:¥ 2,200(税込)
発売日:1999-02
Unwrapping a Mummy: The Life, Death and Embalming of Horemkenesi (Egyptian Bookshelf) Unwrapping a Mummy: The Life, Death and Embalming of Horemkenesi (Egyptian Bookshelf)
価格:¥ 1,818(税込)
発売日:1996-03

 この本は、大英博物館のジョン・H・テーラー(John H. TAYLOR)さんが書いた、エジプト・ミイラに関するものです。1995年に出版された、『Unwrapping a Mummy』を、東海大学名誉教授の鈴木八司さんによる監修・鈴木麻穂さんによる翻訳で、1999年に学藝書林から出版されました。大英博物館双書、「古代エジプトを知る」シリーズ全4巻の内の第1巻として出版されています。

 本書の内容は、以下のように全7章からなります。

  1. ホルエムケニシの発見
  2. 第21王朝時代のエジプト
  3. テーベの役人の生活と仕事
  4. 信仰と葬儀
  5. ホルエムケニシののミイラの解体と研究
  6. ホルエムケニシのミイラ作製
  7. 調査結果:ホルエムケニシという人物の復元

 このホルエムケニシとは、1904年~1905年に、デイル・エル・バハリの岩窟墓で発見されたミイラで、木棺には「ホルエムケニシ」という名前がついていたそうです。その後、1981年にはブリストル大学医学部解剖学教室で調査が行われました。被葬者は、約50歳~60歳の男性であると推定されました。

 その結果、ホルエムケニシは、心臓麻痺か内出血の発作で死亡し、遺体発見時にはすでに腐敗が進んでいたため、通常はミイラ作製時に取り出される脳を取り出さなかったと推定されました。また、顎骨の膿瘍・脊椎骨がつながってしまう、汎発性特発性骨増殖症(DISH)・寄生虫性疾患の古病理が認められました。

 本書は、ミイラからどのようなことがわかるかという事例として、大変、興味深いものです。