この本は、元京都帝国大学の解剖学者・足立文太郎[1865-1945]が、日本人の起源について書いたものです。1928年に初版が大岡山書店から出版され、増補版が1944年に萩原星文館から出版されました。アマゾンで検索しましたが、ヒットしませんでしたので、リンクさせていません。なお、本書の目次には、現在では不適切とされる表現がありますが、当時のまま掲載していることをご了承下さい。
本書の内容は、以下のように、全4部からなります。以下は、増補版の内容です。
通論之部
- 人類由来
- 人と猿との血縁
- 人類学上日本人の地位
- 日本人と西洋人
- 頭の形:附日本人種
- 塵塚の研究
- 日本人体の解剖学上の研究
- 人類学上生体或いは骨格調査に向かってお注意
- 数の取り扱いに就いて
各論之部
- 本邦石器時代住民の頭蓋
- 琉球与那国島岩洞中の一頭蓋
- 日本石器時代の梅毒
- 硬口蓋の脈管溝(就中日本人及びアイノに就いて)
- 硬口蓋の破格に就いて
- 外口蓋管
- 頭頂骨の前頭縁に於ける突起に就いて
- 滑車棘に就いて
- 田口博士の人類楔状骨に於ける古来未説の孔
- 本邦中国頭蓋
- 本邦人眼窩調査
- 日本人の足骨
- 日本人の小趾骨に就いて
- 台湾蕃人頭蓋
- 本邦人膝関節と膝蓋上粘液嚢及び脛腓関節との交通
- 本邦人筋破格調査(第1報)
- 生体に於いて胸骨筋Musculus sternalisを検査することに就いて
- 日本人及び支那人の顔筋(予報)
- 本邦人脈管調査第1報:人類学上の関係に就いて上肢の動脈第1回
- 本邦人脈管調査第2報:人類学上の関係に就いて下肢の脈管第1回
- 上腿卵円窩内血管の奇異なる関係
- 深股動脈の稀有なる破格
- 深股動脈の人類及動物に於ける関係
- 閉鎖動脈
- 内回施股動脈破格
- 日本人の血管
- 黄色人種に固有なりと称せられたる小児の母斑は白色人種にも亦之を存す
- 黄色人種に固有なりと称せられたる小児母斑の研究
- 小児の臀部に於ける青色斑に就いて
- 小児臀部の青斑
- 発毛異常の一奇例
- 発毛異常と生殖器発育不全
- 腋臭に就いて
- 本邦人陰茎の包皮に就いて
- 本邦人眼球之筋
- 本邦人眼球之位置
- 日本人の第三眼瞼
雑録の部
- 人類学瑣談
- 台湾通信
- 台湾「アタイヤル」族の種々なる称呼
- 台湾古棲むの土人「ニグリトー」に就いて
- 故坪井博士の研究法
追加論文之部
- 日本人の体質
- 文献の出所に就いて
- 「頭臭」
- ゲーテ賞授与式に於いて挨拶を兼ねての講演
本書は、著者・足立文太郎の論文集です。しかし、欧文でしか本や論文を出版しなかった足立文太郎が、唯一、日本語で出版した本で、大変、参考になります。