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私の仕事・群馬県立自然史博物館24.常設展示・自然界におけるヒト24(ヒトの特徴1)

2010年07月13日 | C1.私の仕事:群馬県立自然史博物館[My

 群馬県立自然史博物館の常設展示『自然界におけるヒト』の最後のコーナーは、「ヒトの特徴」です。今回は、1.プロポーション・2.大後頭孔と項筋・3.胸郭をご紹介します。

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群馬県立自然史博物館144.「ヒトの特徴」展示風景

1.プロポーション

 ここでは、ヒトの全身骨格とチンパンジーの全身骨格を展示しました。ヒトには、前屈姿勢をとらせ、チンパンジーでは頭の方が腰よりも上がっているのに対し、ヒトではお尻が上がるという違いがあることを示しました。

 つまり、チンパンジーでは腕が脚よりも長いのに対し、ヒトではチンパンジーと逆に脚の方が腕よりも長いことになります。これは、四足歩行のチンパンジーと直立二足歩行のヒトとの違いになります。

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群馬県立自然史博物館145.「プロポーション」展示1(*画像をクリックすると、拡大します。)

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群馬県立自然史博物館146.「プロポーション」展示(*画像をクリックすると、拡大します。)

2.大後頭孔と項筋

 大後頭孔(だいこうとうこう)は、脳から神経が出る孔で、ヒトでは頭蓋骨底部のほぼ真ん中にあります。これは、直立二足歩行をするヒトでは真ん中にあった方が頭のバランスが良いからです。ところが、四足歩行をするサルではこの大後頭孔が後ろの方にあります。

 同様に、項につく筋肉の項筋(こうきん)は、直立二足歩行をするヒトではあまり発達していません。ところが、四足歩行をするサルでは、顔を前に向けるために後ろから強く引っ張る必要があるためかなり発達しています。下の図で赤く見えるのは、項筋が付着している場所です。

 ちなみに、左側に見える、ゴリラとヒトの頭蓋骨と項筋の強さの違いを示す模型は、有名な図を立体化したものです。

 展示は、上からゴリラ・チンパンジー・猿人・原人・現代人としました。これらの頭蓋骨模型も、私が色を塗りました。

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群馬県立自然史博物館147.「大後頭孔と項筋」展示(*画像をクリックすると、拡大します。)

3.胸郭

 胸郭は、胸骨・肋骨・背骨等から構成されています。ここでは、ヒトとチンパンジーの胸郭を比較して展示しました。ボタンを押す前は頭側から見た胸郭を、ボタンを押すと前から見た胸郭を見ることができます。

 頭側から見ると、胸郭の形は、チンパンジー(上)もヒト(下)も変わらず、前後に扁平な形をしています。しかし、前から見ると、チンパンジー(上)では、漏斗のように、頭側がすぼまり腹側が開いています。しかし、ヒト(下)では、頭側と腹側がすぼまっている形です。これは、ヒトが直立二足歩行をしているためです。

 しかし、長年の使用で、上側のチンパンジーの胸郭は、哺乳類と同じような形になってしまいました。ここは、少し、手を入れてメンテナンスをして、前後を扁平にする必要がありそうです。

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群馬県立自然史博物館148.「胸郭」展示1(*画像をクリックすると、拡大します。)

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群馬県立自然史博物館149.「胸郭」展示2(*画像をクリックすると、拡大します。) 


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