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人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

人類進化の本7.ホモ・サピエンスの誕生

2009年07月31日 | E5.人類進化の本[Human Evolution:Jap
ホモ・サピエンスの誕生 (市民の考古学) ホモ・サピエンスの誕生 (市民の考古学)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2007-11

 この本は、元朝日新聞社の科学ジャーナリスト・河合信和さんが、人類進化についてまとめられたものです。「朝日総研レポート(AIR21)」に掲載したレポートをもとにしています。2007年に、同成社から出版されました。

 河合さんの著書は、以前にもご紹介しましたが、これまでに人類学や考古学の著書や翻訳書を多数出版されています。

 本書の内容は、以下のように全7章からなっています。

  • 第1章.最古の人類はどこ?
  • 第2章.その後の猿人とホモ属
  • 第3章.ホモ・サピエンスのアフリカ単一起源説の勝利
  • 第4章.アフリカで遡る現代的行動の起源
  • 第5章.書き換えられる「狩猟民」としてのネアンデルタール人復元像
  • 第6章.自立的な発展だったのか? 末期ネアンデルタール人の選んだ途
  • 第7章.小さな脳の人類がもたらした大きな衝撃

 人類進化の最新の情報を中心に書かれた本です。


人類進化の本6.人類進化の700万年

2009年07月30日 | E5.人類進化の本[Human Evolution:Jap
人類進化の700万年―書き換えられる「ヒトの起源」 (講談社現代新書) 人類進化の700万年―書き換えられる「ヒトの起源」 (講談社現代新書)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2005-09

 この本は、読売新聞のジャーナリスト・三井 誠さんが、人類進化についてわかりやすく解説した本です。この本は、読売新聞の科学欄に連載された記事がベースになっています。2005年に、講談社現代新書1805として出版されました。私は、何も貢献していませんが、当時、著者の三井さんからお問い合わせがあり、回答したご縁で本書を寄贈していただきました。

 本書の構成は、第1章.人類のあけぼの・第2章.人間らしさへの道・第3章.人類進化の最終章・第4章.日本列島の人類史・第5章.年代測定とは・第6章.遺伝子から探る・終章.科学も人間の営みのように、全7章からなっています。

 著者の三井さんがまえがきで書かれているように、「(引用始め)・・・この本では、できるだけ専門用語を使わず、読者のみなさんを聞き慣れない言葉で翻弄しないよう努めました。欠かせない人類種の名前は紹介しましたが、いちいち覚える必要はありません。気にしないで読み進めてください。・・・(引用終わり)」とあるように、初心者にもわかりやすく書かれています。

 これは、やはりまえがきに書かれているように、「(引用始め)・・・はっきりいうと、私は人類学が嫌いでした。しかし、人類学の取材を始めこれらの固有名詞に慣れてくると、この分野の研究は、学校の教科書でなんとなく覚えた”常識”がもう時代遅れといえるほど、進んでいることに驚きました。・・・(引用終わり)」ということからもきているのでしょう。どうしても、専門家は難しい用語を羅列してしまい、読者を煙に巻くところがあるのかもしれません。本書は、2005年時点までの人類進化についての入門書として、最適です。

 

 


人類学の本2.頭蓋の形態変異

2009年07月29日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
頭蓋の形態変異 (情報考古シリーズ) 頭蓋の形態変異 (情報考古シリーズ)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2000-12

 この本は、国立科学博物館人類研究部長の溝口優司先生が、頭蓋骨と歯の形態変異について書かれた本です。2000年に、勉誠出版の「情報考古シリーズ」の第1号として出版されました。出版直後に、溝口先生から寄贈していただきました。

 本書の構成は、Ⅰ.人によって異なる顔かたち・Ⅱ.頭蓋形態の基礎知識・Ⅲ.変動要因探索のための統計学的手法・Ⅳ.歯の形の必然性・Ⅴ.頭蓋の形の必然性・Ⅵ.これからの形態変異分析となっています。

 溝口先生は、故埴原和郎[1927-2004]先生のお弟子さんとして、歯の形態をご専門とされてきました。1985年には、シャベル形切歯についてまとめられた『Shovelling』を東京大学から出版されておられます。

 最近は、短頭化現象についてあらゆる相関関係を探るご研究をされておられます。本書では、そのご研究の一端をうかがうことができます。


私の仕事・博物館の企画展1.人類の旅(沖縄県立博物館)

2009年07月28日 | C2.私の仕事:博物館の企画展[My Work

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 この図録は、沖縄県立博物館の新館開館記念展として、2007年11月1日から2008年1月20日まで、沖縄県立博物館で実施された『人類の旅: 港川人の来た道』展の図録です。沖縄県立博物館は、長い歴史を誇りますが、2007年に移転して新館が開館しました。今回は、沖縄県立美術館も同じ場所に開館しています。

 画期的なことに、沖縄で発見された旧石器時代人骨の港川人の内、港川3号と港川4号は、2007年11月からこの沖縄県立博物館に移管されました。港川1号及び港川2号は、これまで通り、東京大学総合研究博物館に保管されています。

 この『人類の旅』展では、私は、依頼されて現生霊長類・化石霊長類・化石人類の展示原稿を書きました。日本人の起源の原稿は、沖縄県立博物館の学芸員による執筆です。

 2008年の1月には、久しぶりに沖縄を訪問し、企画展を見学しました。県立博物館の人類学関連の展示として、かなり立派なもので感銘を受けました。何よりも、多くの来館者があったのが印象的でした。旧沖縄県立博物館には、私も何度か訪問したことがありますが、今回の新館は常設展示も新しいものに変わり、かなり立派になっています。


動物考古学者・芝田英行さんのホームページ

2009年07月27日 | A3.お知らせ[Notice]

鎌倉の馬の骨―漂着骨を調べる 鎌倉の馬の骨―漂着骨を調べる
価格:¥ 4,725(税込)
発売日:2008-11
 動物考古学者兼漫画家の芝田英行さんからご連絡があり、私のブログ「人類学のすすめ」と「遺跡へ行こう」をリンクしていただいたとのことでした。大変、ありがたいことです。

 芝田英行さんのご著書を、以前、動物考古学の本として紹介させていただきましたが、再度、ご紹介いたします。この本『鎌倉の馬の骨』は、芝田さんが長年、鎌倉の海岸で集めた馬の骨についておまとめになられた本です。漂着骨を収集する理由は、比較標本として使用するためだそうで、この本にも多数の馬の標本がカラー写真で紹介されています。文中の挿絵は、もちろん、芝田さんご自身によるものです。

 ちなみに、芝田さんは、早稲田大学ご出身で、動物考古学の権威、金子浩昌先生のお弟子さんです。日本考古学協会や日本人類学会の会員としても、ご活躍中です。

 芝田英行さんのホームページも、是非、訪問してみてください。芝田さんの、これまでのお仕事リストも掲載されています。特に、「動物遺体・骨図鑑」は、様々な動物の骨の写真が部位毎に掲載されており優れものです。アドレスは、以下の通りです。

http://doubutsuitai.com


人類進化の洋書2.アルディピテクス・カダッバ

2009年07月26日 | E6.人類進化の洋書[Human Evolution:F

Ardipithecus Kadabba: Late Miocene Evidence from the Middle Awash, Ethiopia (The Middle Awash Series) Ardipithecus Kadabba: Late Miocene Evidence from the Middle Awash, Ethiopia (The Middle Awash Series)
価格:¥ 8,274(税込)
発売日:2009-06-30

 この本は、アフリカのエチオピアから出土した、約580万年前から520万年前の初期人類化石のアルディピテクス・カダッバに関する本です。このアルディピテクス・カダッバは、2001年に新しく学名が命名されたものです。このアルディピテクス属には、もう1つ、アルディピテクス・ラミダスがあります。

 この本の原題は、『Ardipithecus Kadabba』で、「アルディピテクス・カダッバ」という意味です。アメリカのクリーヴランド博物館の人類学者、ヨハネス・ハイレーセラシエ[Yohannes HAILE-SELASSIE]さんの編集によります。2009年に、カリフォルニア大学出版から出版されました。以前から、注文していたのですが、何度か売り切れになり、ようやく、昨日届きました。

 本書の内容は、全20章にわたり、25人の様々な分野の研究者が寄稿しています。古環境・古生物学・層序学・火山灰等の報告がありますが、ほとんどの頁は、遺跡出土獣骨化石に関する報告で占められています。

 注目すべきは、第7章の初期人類化石の報告で、編集者のハイレ-セラシエさん・東京大学の諏訪 元さん・カリフォルニア大学のティム・ホワイトさんの3名によります。古人類学の分野での記念碑的な本です。


報告書1.港川フィッシャー遺跡

2009年07月25日 | N7.報告書[Site Report:Japanese]

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 この報告書『港川フィッシャー遺跡: 重要遺跡確認調査報告』は、1998年から2001年にかけて実施した「港川フィッシャー遺跡」の確認調査のまとめです。2002年に、具志頭村文化財調査報告書第5集として、具志頭村教育委員会から発行されました。

 本書の内容は、第1章.調査に至る経緯・第2章.港川フィッシャー遺跡の地質構造・第3章.港川フィッシャー遺跡の調査研究史・第4章.港川フィッシャー遺跡調査の概要・第5章.調査区と層序・第6章.港川フィッシャー遺跡の考古資料・第7章.港川フィッシャー遺跡の動物遺骸・第8章.港川フィッシャー遺跡の自然科学分析調査・第9章.収束となっています。

 この調査では、残念ながら、人骨の追加発見はありませんでしたが、多くの動物化石が発見されています。

 具志頭村は、その後の合併で八重瀬町と名称が変更になり、元々あった、「具志頭歴史民俗資料館」も、現在は「八重瀬町立具志頭歴史民俗資料館」と名称変更になっています。この資料館には、港川人の展示がありますので、機会があれば是非訪問してみてください。


博物館の企画展示図録1.港川人展

2009年07月24日 | N5.博物館の企画展図録[Illustrated Bo

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 この『港川人展: 元祖ウチナーンチュー』は、沖縄県立博物館で復帰30周年記念特別展として、2002年8月20日から同年9月29日まで実施された特別展の図録です。

 本図録の構成は、以下のように、全8章からなります。

  1. 港川人とはどのような人々か
  2. 大山さんのこと
  3. 港川フィッシャーと動物たち
  4. 沖縄は人骨化石の宝庫
  5. 人類の進化とウチナーンチュ
  6. 琉球列島の生い立ちと動物の渡来
  7. 沖縄の先史文化
  8. 港川フィッシャー遺跡

 この図録の第2章の大山さんとは、故大山盛保さん[1912-1996]のことをさします。大山さんは、港川遺跡に何度も足を運び、ついに、港川人骨を発見した方です。私は、1991年に元国立科学博物館の馬場悠男先生と2人で、沖縄県教育委員会の招きで沖縄を訪問しました。その時、大山さんに初めてお会いし、夕食をご馳走になったことがあります。夕食後は、大山さんのオフィスに招いていただいて、ビデオを見せていただいたり、長年収集されたシカとイノシシの化石を見せていただきました。


日本人の起源の雑誌1.港川人と旧石器時代の沖縄

2009年07月23日 | F4.日本人の起源の雑誌[Journal of Ori

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 この雑誌、『港川人と旧石器時代の沖縄』は、「沖縄県史ビジュアル版2: 考古①」として、(財)沖縄県文化振興会と公文書館管理部資料編集室の編集で、1998年に出版されました。私も、協力者として名を連ねています。

 沖縄県出土の港川人は、国内で全身骨格が保存されている唯一の旧石器時代人骨として、大変有名です。また、珊瑚礁の石灰岩がある沖縄地域からは、港川人以外で、山下町第一洞人・ゴヘズ洞人・カダ原洞穴・桃原洞人・大山洞人・下地原洞人・ピンザアブ洞人と多くの旧石器時代人骨が発見されています。

 本書は、これらの沖縄出土旧石器時代人骨や、遺跡出土獣骨について、オールカラーで紹介しているもので、わかりやすく解説されています。

 


私の仕事・報告書2.中里見原遺跡

2009年07月22日 | B4.私の仕事:人骨報告書・群馬県埋蔵文

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 中里見遺跡群は、群馬県高崎市中里見町及び上里見町に所在します。遺跡群には、中里見中川遺跡・中里見根岸遺跡・中里見原遺跡・上里見井ノ下遺跡の4遺跡が含まれます。北陸新幹線建設に伴う発掘調査が、1992年から1994年にかけて、(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団により実施されました。4遺跡の内、中里見原遺跡と上里見井ノ下遺跡から近世の人骨が出土し、私は、出土人骨の報告を実施しました。

報告書名: 『中里見遺跡群』[(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団第271集]

報告書担当者: 追川佳子・木津博明

報告書出版年: 2000年

タイトル: 「中里見原遺跡・上里見井ノ下遺跡出土人骨」、p.221-234

1.中里見遺跡原遺跡

時代: 近世

墓制: 土坑墓4基(第1号・第2号・第3号・第4号)

被葬者: 約30歳代女性(第1号土坑墓)・約50歳代男性(第2号土坑墓)・約30歳代男性(第   3号土坑墓)・約30歳代男性(第4号土坑墓)

2.上里見井ノ下遺跡

時代: 近世

墓制: 土坑墓3基(第12号・第13号・第14号)

被葬者: 約30歳代男性(第12号土坑墓)・約30歳代男性(第13号土坑墓)・約40歳代男性(第14号土坑墓) 

*以下は、報告部分のPDFファイルです。全14頁で、容量は5.71MBあります。

「GARR-SR2.pdf」をダウンロード


人類学の本1.美女の骨格

2009年07月21日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
美女の骨格 名画に隠された秘密 (青春新書INTELLIGENCE) 美女の骨格 名画に隠された秘密 (青春新書INTELLIGENCE)
価格:¥ 977(税込)
発売日:2009-05-02

 この本は、東京芸術大学の美術解剖学者、宮永美知代さんが、骨格から顔の復元を行う復顔について書いた本です。2009年に、青春出版社の青春新書として出版されました。

 宮永さんは美術のご出身ですが、東京大学理学部人類学教室で、故埴原和郎[1927-2004]先生に師事して人類学も勉強されている方です。

 本書の構成は、第1章.美しさの秘密は骨にあった・第2章.絵画は骨格で読み解くと面白い・第3章.美人画が教えてくれる美の変遷・第4章.美女の境界線はどこにある? のようになっています。

 骨格に筋肉や皮膚をつけて、生前の顔を復顔することは、美術解剖や法医人類学でもよく使う手法です。本書に、あるテレビ局から宮永さんへの依頼のエピソードが紹介されています。それは、増上寺の徳川将軍墓から出土した「和宮」の頭蓋骨の写真だけで、復顔して欲しいという依頼だったそうです。骨格から復元した和宮の顔は、生前の肖像写真と酷似していたそうです。また、第9代将軍の徳川家重の復顔の依頼もあり、その時は誰とも知らされずに、やはり写真だけで復顔したそうです。

 本書は、美術解剖・法医解剖のみならず、人類学や日本人の起源にも参考となる本です。本書では紹介がありませんでしたが、宮永さんは1993年に高知工科大学の赤澤 威先生等がシリアのデデリエ洞窟で発見したネアンデルタール人の子供の復顔も担当されています。


私の仕事・報告書1.浜川高田遺跡出土人骨

2009年07月20日 | B4.私の仕事:人骨報告書・群馬県埋蔵文

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 浜川高田遺跡は、群馬県高崎市浜川町に所在します。北陸新幹線建設に伴う発掘調査が、1993年から1994年にかけて、(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団により実施されました。

 この遺跡では、中世の土坑墓から中世人骨2体が検出され、私は、出土人骨の報告を実施しました。

報告書名: 『浜川遺跡群』[(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団第238集]

報告書担当者: 桜井美枝

報告書出版年: 1998年

タイトル: 「浜川高田遺跡出土人骨」、p.365-372

時代: 中世

墓制: 土坑墓2基(5-1号土坑墓・5-3号土坑墓)

被葬者: 約20歳代男性1体(5-1号土坑墓)・約30歳代女性1体(5-3号土坑墓) 

*以下は、報告部分のPDFファイルです。全8頁で、容量は2.17MBあります。

「GARF-SR1.pdf」をダウンロード


動物考古学全般の本18.縄文の動物考古学

2009年07月19日 | L1.動物考古学の本:全般[Zooarchaeolo
縄文の動物考古学―西日本の低湿地遺跡からみえてきた生活像 縄文の動物考古学―西日本の低湿地遺跡からみえてきた生活像
価格:¥ 5,460(税込)
発売日:2007-03

 この本は、総合地球環境学研究所の内山純蔵さんが、縄文時代の動物考古学をまとめたものです。調査対象地域は、近畿地方の琵琶湖周辺の縄文時代早期から中期の遺跡です。2007年に、昭和堂から出版されました。

 本書の構成は、以下のように全5章からなっています。

  1. 西日本縄文時代への動物考古学的アプローチ
  2. 鳥浜貝塚の分析: 北陸地方縄文時代前期の生業
  3. 粟津湖底遺跡第3貝塚の分析: 琵琶湖岸の縄文時代中期前葉の生業
  4. 赤野井湾遺跡の分析: 西日本縄文時代の生業基盤
  5. 結論と考察: 明らかになった西日本縄文社会

 これに加えて、巻末の175頁から207頁にかけて、巻末資料が掲載されています。第4章の「フナ・コイ仮説」は、大変、興味深い仮説です。私も、何とか群馬県から淡水産の魚類の骨が出ないかと見ているのですが、なかなか検出されません。やはり、縄文海進が無く、貝塚がほとんどないことが災いしているのでしょうか。


動物考古学全般の本17.生業から見る日本史

2009年07月18日 | L1.動物考古学の本:全般[Zooarchaeolo

生業から見る日本史―新しい歴史学の射程 (歴博フォーラム)
価格:¥ 3,150(税込)
発売日:2008-03-22

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 この本は、国立歴史民俗博物館で2006年11月18日に実施された、歴博フォーラム「新しい歴史学と生業」をまとめたものです。国立歴史民俗博物館による編集で、2008年に吉川弘文館から出版されました。

 本書の構成は、以下のように3部9章からなっています。

Ⅰ.新しい歴史学と生業

  1. 生業から民衆生活史をふかめる:    井原今朝男
  2. 考古学による生業研究のあゆみ:    甲元眞之
  3. 畠作史から見た生業論:          木村茂光
  4. 生業民俗研究のゆくえ:          野本寛一
  5. 生業論から見た日本近世史:       横田冬彦

Ⅱ.これまでの生業論をふりかえる

  1. 先史考古学での生業論の登場と変遷: 藤尾慎一郎
  2. 水田と畠の日本史:             安藤広道
  3. 生業論の登場と歴史学:          春田直紀
  4. 生業の民俗学:               安室 知

Ⅲ.討論生業論のこれから

 本書は、「動物考古学の本」としてご紹介しましたが、実際には考古学・民俗学・歴史学の学際的な本です。ただ、動物考古学は、生業とはきってもきれない関係にあります。

 個人的には、「生業から民衆生活史をふかめる」・「考古学による生業研究のあゆみ」・「先史考古学えの生業論の登場と変遷」が、大変、参考になりました。


動物考古学全般の本16.日本の狩猟採集文化

2009年07月17日 | L1.動物考古学の本:全般[Zooarchaeolo
日本の狩猟採集文化―野生生物とともに生きる (SEKAISHISO SEMINAR) 日本の狩猟採集文化―野生生物とともに生きる (SEKAISHISO SEMINAR)
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2005-07

 この本は、日本の狩猟採集文化に関して、3部8章の構成で紹介している本です。国立民族学博物館の池谷和信さんと総合研究大学院大学の長谷川政美さんの、お二人の編集です。2005年に、世界思想社から出版されました。

 本書の内容は、以下のようになっています。

  • 序章.日本の狩猟採集文化の生態史: 池谷和信・長谷川政美

 第1部.縄文の狩猟採集文化

  • 第1章.DNAからみた日本人の成り立ち: 田嶋 敦・宝来 聰
  • 第2章.縄文人の資源利用と文化の長期的変化: 羽生淳子
  • 第3章.縄文人の移動生活: 内山純蔵

 第2部.近世および近代の狩猟採集文化

  • 第4章.近世におけるアイヌの生活様式の多様性: 手塚 薫
  • 第5章.東北マタギの狩猟と儀礼: 池谷和信
  • 第6章.九州山間部の狩猟と信仰: 永松 敦

 第3部.現代の狩猟採集文化

  • 第7章.世界遺産・白神山地とエコツーリズム: 牧田 肇
  • 第8章.三内丸山遺跡と地域社会: 岡田康博

 ここでは、動物考古学の本として紹介していますが、実際には、人類学・考古学・遺伝学・民族学・民俗学・動物考古学等の分野の学際的な本です。

 個人的には、第3章の縄文人の移動生活・第6章の九州山間部の狩猟と信仰が、大変、参考になりました。また、巻末には、池谷和信さんによる「日本の狩猟採集文化を知るための文献案内」があり、文献探索の参考になります。

 第1章の著者のお一人の人類遺伝学者・宝来 聰先生は、本書刊行前の2004年8月10日に急逝されており、遺稿となっています。私も、生前、学会等で宝来先生に何度かお会いしたことがあります。まだ、これからという58歳であり、大変、残念です。