第四紀研究第30号第3号別刷り表紙(*画像をクリックすると、拡大します。)
この論文「Minatogawa Man, the Oledest Type of Modern Homo sapiens in East Asia」は、第四紀学会が出版している、『The Quaternary Research』の第30巻第2号のp.221~p.230に掲載されました。1991年7月に出版されています。
国立科学博物館(当時)の馬場悠男先生と私との共著です。
この第30巻第3号は、国際第四紀学連合[INQUA(The International Union for Quaternary Research)]の特集号で、層序・テフラ・古地磁気・地形・古環境・古脊椎動物・古栄養等の論文が掲載されています。
[論文要旨](オリジナルの論文には英文要旨のみで和文要旨はありませんが、以下は私が意訳したものです。)
1970年に沖縄本島で発見された港川人の形態を再検討した。港川人の頭蓋骨は、低く幅広い顔面部・長方形の眼窩・突出した眉弓部・鼻根部の陥凹・大きい側頭窩等の特徴を有している。これらの特徴は、中国で出土している後期更新世の周口店上洞人と柳江人や日本で出土している完新世の縄文時代人と似ている。しかしながら、港川人では、前出の特徴が他の人骨と比較してかなり発達している。港川人と縄文時代人では、頬骨が前方に突出し、頬骨弓は薄く広がっている。これらの点は、周口店上洞人や柳江人とは異なる。四肢骨では、周口店上洞人・柳江人・縄文時代人とは異なり、いくつかの点で周口店出土原人(ペキン原人)と似ている。総合的に、港川人は、東アジアにおける最古のモンゴロイドあるいは現代型ホモ・サピエンスに位置づけられる。したがって、港川人は、周口店上洞人や柳江人とは近縁関係には無く、縄文時代人の直接の祖先であると考えられる。
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*以下は、この論文のPDF(2.03MB)です。