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人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

人類進化の洋書29.ホミニッド・ギャング

2010年08月31日 | E6.人類進化の洋書[Human Evolution:F

Willis1989

The Hominid Gang
価格:¥ 1,986(税込)
発売日:1989-10-30

 この本は、デルタ・ウィリス(Delta WILLIS)さんが、「ホミニッド・ギャング」について書いたものです。このホミニッド・ギャングとは、アフリカのケニア国立博物館に所属している、現地人化石ハンターのことで、乾期になると、各地に行き、雨期の雨で洗い出されて表面に露出した化石を発見する人達の意味です。原題は、『Hominid Gang』で、1989年にViking Penguin社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全12章からなります。なお、序文は、著名な進化生物学者の故スティーヴン・ジェイ・グールド(Stephen Jay GOULD)[1941-2002]さんが書いています。

  1. The Past and Mr. Leakey
  2. The Legacy of the Omo
  3. The Hard Evidence
  4. Handy Man
  5. The Hominid Vault
  6. Branching Bushes
  7. Thin Slices of Time
  8. North to Nariokotome
  9. Homo erectus
  10. Knuckle-Walkers
  11. Shared Characters
  12. Splitters and Lumpers

 ケニアにおける古人類学の研究は、このホミニッド・ギャングの人達の発見無しに語ることはできません。研究者は、なかなか、1年中遺跡にはりついていることはできないため、どうしてもこのホミニッド・ギャングに化石発見を頼らざるをえません。中でも、カモヤ・キメウ(Kamoya Kimeu)さんは数多くの有名な人類化石を発見していることで有名です。私も、1986年にケニアに古人類学実習で参加した際には、ジョン・キメンゲッチ(John Kimengech)さんのお世話になりました。このような縁の下の力持ちの人々の話が本にまでなり、良かったと思っています。


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ13(表面採集実習)

2010年08月30日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 クービ・フォラ遺跡では、表面採集実習も行われました。ケニアには、雨期と乾期があります。雨期の雨により、地層から地表に出てきた化石を歩き回りながら探して採集するというのが、表面採集になります。ケニアのみならず、アフリカでは多く行われている方法です。

 暑い中で歩くのだけでも大変なのに、さらに、地表に落ちている化石を発見するのは予想以上に大変です。

 このケニアには、「ホミニッド・ギャング(Hominid Gang)」と呼ばれる、現地人化石ハンターが多くいます。彼らは、乾期になると各地に行き、化石を発見するという仕事をしています。実際、多くの有名な化石は、研究者のみならず「ホミニッド・ギャング」により発見されています。この「ホミニッド・ギャング」で特に有名なのが、カモヤ・キメウ(Kamoya Kimeu)さんです。

 この1986年の実習には、「ホミニッド・ギャング」のメンバーのジョン・キメンゲッチ(John Kimengech)さんが指導してくれました。

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クービ・フォラ59.クービ・フォラ遺跡表面採集実習場所

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クービ・フォラ60.クービ・フォラ遺跡表面採集実習風景1

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クービ・フォラ61.クービ・フォラ遺跡表面採集実習風景2

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クービ・フォラ62.クービ・フォラ遺跡表面採集実習中に発見した、哺乳類の左大腿骨骨頭部。このような化石を発見するのは、予想以上に大変なことだということがわかりました。

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クービ・フォラ63.表面採集実習を指導した、「ホミニッド・ギャング」のジョン・キメンゲッチ(John Kimengech)氏


人類学史の洋書8.祖先への情熱

2010年08月29日 | H2.人類学史の洋書[Hitory of Anthropo
Ancestral Passions: The Leakey Family and the Quest for Humankind's Beginnings Ancestral Passions: The Leakey Family and the Quest for Humankind's Beginnings
価格:¥ 3,752(税込)
発売日:1996-08-14

 この本は、ヴィージニア・モレル(Virginia MORELL)さんが、アフリカのケニアで長年古人類学や先史人類学の調査を行ってきたリーキー一家について書いたものです。原題は、『Ancestral Passions: The Leakey Family and Quest for Humankind's Beginnings』です。1996年に、Touchstone Bookから出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全43章からなります。

  1. Kabete
  2. From Cambridge to Olduvai
  3. Laying Claim to the Earliest Man
  4. Louis and Mary
  5. Disaster at Kanam
  6. Olduvai's Bounty
  7. Consequences
  8. Cloak and Dagger
  9. Race for the Miocene
  10. A Life in the Sediments
  11. Louis and Kenyatta
  12. Our Man
  13. Fame, Fortune, and Zinj
  14. Mary's Dig
  15. Murder and Mayhem
  16. The Human with Abiity
  17. Chimpanzees and Other Loves
  18. Richard Makes His Move
  19. A Girl for the Gorillas
  20. To the Omo
  21. Breaking Away
  22. Richards Strikes Oil
  23. Mining Hominids at Olduvai
  24. Dearest Dian
  25. Father and Son
  26. Jackpot at Koobi Fora
  27. Misadventure at Calico
  28. An Unstoppable Man
  29. Roar of the Old Lion
  30. An End and a Beginning
  31. The Best Bones
  32. The Gladiators' Clash
  33. On the Trail of Homo erectus
  34. Mother and Son
  35. A New Contender
  36. The Name Game
  37. Footprints for the Mantelpiece
  38. Battling over Bones
  39. Richard Reborn
  40. How Very Human
  41. Grande Dame of Archeology
  42. A New Challenge

 本書には、ルイス・リーキー(Louis LEAKEY)[1903-1972]とメアリー・リーキー(Mary LEAKEY)[1913-1996]夫妻の話を軸にして、夫妻の間に次男として生まれたリチャード・リーキー(Richard LEAKEY)[1944-]にまで話がおよんでいます。

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(*画像をクリックすると、拡大します。)


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ12(クービ・フォラ博物館)

2010年08月28日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 クービ・フォラには、博物館もあります。もちろん、場所が場所なので、訪問する人はほとんどいません。今でもあるのかどうかわかりませんが、以下の写真は、1986年当時のものです。実際は、人類進化のシナリオもずいぶんと変わっていますが、当時の人類進化の考え方を伝える貴重な展示だと思います。

 ここに展示してあるものは、もちろん、オリジナルの化石ではありません。オリジナルの化石は、すべて、ナイロビのケニア国立博物館に収蔵されています。したがって、ここの展示はすべて精巧に作られたレプリカです。ただ、私はこの展示を、後に担当する群馬県立自然史博物館の展示の参考にしました。それは、通常の博物館では、レプリカでも大事にするために、台を作ってその上に展示する場合が多いのですが、どうも、すっきりしません。そこで、群馬県立自然史博物館では、ここのように、台を作らずすっきりと展示しました。

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クービ・フォラ53.ヒトの祖先・アウストラロピテクス(右上:KNM-ER406、現在はアウストラロピテクス・ボイセイあるいはパラントロプス・ボイセイに分類されている。左上:KNM-ER1813、一時期、パラントロプス・ボイセイあるいはホモ・ハビリスの女性と考えられていたが、現在は、ホモ・ハビリスに分類されている。)

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クービ・フォラ54.ホモ・ハビリス(右上:KNM-ER1470、これは、以前はホモ・ハビリスの男性で、前掲のKNM-ER1813が女性と考えられていた時期があった。現在は、ホモ・ハビリスではなく、ホモ・ルドルフエンシスに分類されている。)

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クービ・フォラ55.ホモ・エレクトス(右上:KNM-ER3733、現在もホモ・エレクトスと考える研究者も多いが、ホモ・エルガステルに分類する研究者もいる。右下:KNM-ER1808、この大腿骨と脛骨は、通常のものよりも周囲に余分な骨がついて厚くなっている。これは、ビタミンA過剰摂取症という病気であると推定されている。この個体は、ライオンやハイエナ等の肉食動物の肝臓を生で食べたらしい。草食動物の肝臓100gには4万~5万単位のビタミンAが含まれている。一方、肉食動物の肝臓には130万~180万単位ものビタミンAが含まれており、この肝臓を食べると中毒になり、ひどい場合には死亡するという。)

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クービ・フォラ56.ヒト科の四肢骨化石

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クービ・フォラ57.クービ・フォラで発見された石器

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クービ・フォラ58.クービ・フォラ博物館前の私(1986年当時)


旧石器の洋書3.オルデュヴァイ峡谷

2010年08月27日 | T2.旧石器の洋書[Palaeolithic:Foreig

Leakeyroe1994

 この本は、メアリー・リーキー(Mary LEAKEY)さんとD. ロー(D. A. ROE)さんが、タンザニアのオルデュヴァイ峡谷出土石器について書いたものです。原題は、『Olduvai Gorge:Excavations in Beds Ⅲ,Ⅳ, and the Masek Beds, 1968-1971』で、1968年から1971年の調査期間中に調査された、第3層と第4層について書かれています。1994年に、ケンブリッジ大学出版から出版されました。アマゾンで検索しましたが、ヒットしませんでしたのでリンクさせていません。

 本書の内容は、以下のように、全11章からなります。

  1. Geology and dating of Beds Ⅲ,Ⅳ and the Masek Beds (R. L. Hay)
  2. Bed Ⅲ. Site JK(Juma's Korongo) (M. D. Leakey)
  3. The base of Bed Ⅳ. WK Hippo Cliff, PDK Trench Ⅳ, WK Lower Channel (M. D. Leakey)
  4. Lower Bed Ⅳ. HEB East, HEB and HEB West, WK Intermediate Channel (M. D. Leakey)
  5. Upper Bed Ⅳ. W.K Upper Channel, WK East A and C, PDK Trenches Ⅰ-Ⅲ, HEB West Level 1 (M. D. Leakey)
  6. The Masek Beds and sites in uncertain stratigraphic positions (M. D. Leakey)
  7. The fauna (M. D. Leakey)
  8. A metrical analysis of selected sets of handaxes and cleavers from Olduvai Gorge (D. A. Roe)
  9. The Olduvai bifaces: technology and raw materials (P. Callow)
  10. Results of experimental work in relation to the stone industries of Olduvai Gorge (P. R. Jones)
  11. Summary and overview (D. A. Roe)

 この他、付録として、加工獣骨について(メアリー・リーキー)とオルデュヴァイ峡谷の図化が掲載されています。

 オルデュヴァイ峡谷は、人類学史及び先史学史において重要な遺跡の1つです。旧石器、特に、ハンドアックスに興味がある方には必読の書です。


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ11(発掘実習)

2010年08月26日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 クービ・フォラでは、発掘実習も行われました。但し、ここでの発掘実習は、年代は記憶していませんが数千年前ぐらいのもので、土器が出土しました。また、ダチョウの卵で作ったビーズも出土しています。ダチョウの卵は当時でも貴重で、1986年時点で、海岸部の人々は干し魚を内陸部に持ってきてダチョウの卵と物々交換するそうです。

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クービ・フォラ45.発掘実習風景遠景1

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クービ・フォラ46.発掘実習風景遠景2

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クービ・フォラ47.発掘実習風景近景

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クービ・フォラ48.私が発掘を担当したグリッド全景

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クービ・フォラ49.私が担当したグリッド近接

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クービ・フォラ50.私が担当したグリッド近接・出土した土器片(1986年8月11日)

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クービ・フォラ51.私が担当したグリッド近接・出土した土器片(1986年8月13日)

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クービ・フォラ52.発掘実習中の私


人類進化の洋書28.ルドルフ湖盆地の古人類と環境

2010年08月25日 | E6.人類進化の洋書[Human Evolution:F

Coppens1976

Earliest Man and Environments in the Lake Rudolf Basin: Stratigraphy, Paleoecology and Evolution (Prehistoric Archaeology and Ecology)
価格:¥ 1,703(税込)
発売日:1976-05

 この本は、イブ・コッパン(Yves COPPENS)、クラーク・ハウエル(Clark HOWELL)、グリン・アイザック(Glynn ISAAC)、リチャード・リーキー(Richard LEAKEY)の4人の編集により、ケニアのトゥルカナ湖(ルドルフ湖)の古人類と古環境についてまとめられたものです。原題は、『Earliest Man and Environments in the Lake Rudolf Basin』で、1976年に、シカゴ大学出版から出版されました。

 本書には、以下のように、全3部50編の論文が掲載されています。

第1部.Geology and Geochronology (ed G. Isaac)

  • 1.Introduction (G. Isaac)
  • 2.Tectonic and Stratigraphic Framework (F. J. Fitch & C. F. Vondra)
  • 3.The Mursi, Nkalabong, and Kibish Formations, Lower Omo Basin, Ethiopia (K. Butzer)
  • 4.Plio-Pleistocene Formations of the Lower Omo Basin, with Particular Reference to the Shungura Formation (J. de Heinzelin・P. Hasaerts・F. C. Howell)
  • 5.Radiometric Dating and Tuff Mineralogy of Omo Group Deposits (F. H. Brown & W. P. Nash)
  • 6.Magnetostratigraphy of the Shungura and Usno Formations, Lower Omo Valley, Ethiopia (F. H. Brown & R. T. Shuey)
  • 7.Plio-Pleistocene Deposits and Environments, East Rudolf, Kenya (C. F. Vondra & B. E. Bowen)
  • 8.Tuffs and the Recognition of Isochronous Mapping Units in the Rudolf Succession (I. C. Findlater)
  • 9.Oxygen-Isotope Studies of the East Rudolf Volcanoclastics (T. E. Cerling)
  • 10.Late Cenozoic Environments of the Koobi Fora Formation (G. D. Johnson & R. G. H. Raynolds)
  • 11.Conventional Potassium-Argon and Argon-40/Argon-39 Dating of Volcanic Rocks from East Rudolf (F. J. Fitch & J. A. Miller)
  • 12.Reversal Stratigraphy and Its Application at East Rudolf (A. Brock & G. Isaac)
  • 13.Lothagam, Kanapoi, and Ekora: A General Summary of Stratigraphy and Fauna (A. K. Behrensmeyer)

第2部.Paleontology and Paleoecology (eds. Y. Coppens & F. C. Howell)

  • 14.Introduction (Y. Coppens)
  • 15.Mammalian Faunas of the Omo Group: Distributional and Biostratigraphical Aspects (Y. Coppens & F. C. Howell)
  • 16.Proboscideans from Omo Group Formations (M. Beden)
  • 17.Evolution of the Perissodactyla of the Omo Group Deposits (D. A. Hooijer)
  • 18.Rhinocerotidae and Chalicotheriidae (Mammalia, Perissodactyla) from the Shungura Formation, Lower Omo Basin (C. Guerin)
  • 19.Rhinocerotidae from the East Rudolf Succession (J. M. Harris)
  • 20.Equidae from the Shungura Formation (V. Eisenmann)
  • 21.A Preliminary Note on Equidae from the Koobi Fora Formation, Kenya (V. Eisenmann)
  • 22.Fossil Hippopotamidae from Plio-Pleistocene Successions of the Rudolf Basin (S. C. Coryndon)
  • 23.Suidae frm Plio-Pleistocene Strata of the Rudolf Basin (H. B. S. Cooke)
  • 24.Giraffidae from the East Rudolf Succession (J. M. Harris)
  • 25.Remains of Camelus from the Shungura Formation, Lower Omo Valley (J. L. Grattard・F. C. Howell・Y. Coppens)
  • 26.Bovidae of the Omo Group Deposits (A. W. Gentry)
  • 27.Bovidae from the East Rudolf Succession (J. M. Harris)
  • 28.Carnivora of the East Rudolf Succession (M. G. Leakey)
  • 29.Carnivora from Omo Group Formations, Southern Ethiopia (F. C. Howell & G. Petter)
  • 30.Cercopithecoidea from Omo Group Deposits (G. G. Eck)
  • 31.Cercopithecoidea of the East Rudolf Succession (M. G. Leakey)
  • 32.Fossil Remains of Micromammals from the Omo Group Deposits (J. J. Jaeger & H. B. Wesselman)
  • 33.The Lothagam 1 Fauna: Its Phylogenetic, Ecological, and Biogeographic Significance (C. Smart)
  • 34.Crocodilians from the Late Cenozoic of the Rudolf Basin (E. Tchernov)
  • 35.Assemblages of Fossil Freshwater Mollusks from the Omo Group and Related Deposits in the Lake Rudolf Basin (A. Gautier)
  • 36.Fossil Assemblages in Relation to Sedimentary Environments in the East Rudolf Succession (A. K. Behrensmeyer)
  • 37.Paleontological Excavations in the Shungura Formation, Lower Omo Basin, 1969-73 (D. C. Johanson・M. Splingaer・N. T. Boaz)
  • 38.Palynological Evidence for an Important Change in the Vegetation of the Omo Basin between 2.5 and 2 Million Years (R. Bonnefille)
  • 39.Plant Ecological Variation and Pattern in the Lower Omo Basin (C. J. Carr)

第3部.Paleoanthropology (eds. F. C. Howell & G. Isaac)

  • 40.Introduction (F. C. Howell & G. Isaac)
  • 41.An Overview of the Hominidae from East Rudolf, Kenya (Richard E. Leakey)
  • 42.Remains Attributable to Australopithecus in the East Rudolf Succession (A. Walker)
  • 43.Remains Attributable to Homo in the East Rudolf Succession (B. A. Wood)
  • 44.Hominid Postcranial Remains from the East Rudolf Succession (M. H. Day)
  • 45.An Overview of Hominidae from the Omo Succession, Ethiopia (F. C. Howell & Y. Coppens)
  • 46.Archeological Evidence from the Koobi Fora Formation (G. Isaac・J. W. K. Harris・D. Crader)
  • 47.Plio-Pleistocene Artifact Assemblages from East Rudolf, Kenya (G. Isaac)
  • 48.Evidence for the Technical Practices of Early Pleistocene Hominids (J. Chavaillon)
  • 49.Archeological Occurrences of Earlier Pleistocene Age, from the Shungura Formation (H. V. Merrick & J. P. S. Merrick)
  • 50.Thoughts on the Workshop: Stratigraphy, Paleoecology, and Evolution in the Rudolf Basin (W. W. Bishop)

 本書は、内容は古いのですが、トゥルカナ(ルドルフ)湖の、考古学・地質学・年代学・古生物学・古人類学について多くの論文が掲載されており、大変、参考になります。すでに、学史の域に達しているかもしれません。

 クービ・フォラ遺跡では、KBSタフ(凝灰岩)と命名された火山灰層が発見されています。このKBSとは、アメリカのスミソニアン国立自然史博物館のタフォノミー(化石生成学)の専門家、ケイ・ベーレンスマイヤー(Kay Behrensmeyer)さんの遺跡[Kay Behrensmeyer's Site]という意味です。KBSタフの年代は、この下から化石人類が多く発見されていることから、重要なものでした。1970年には261万年前前後と発表されましたが、その後、論争となり、1980年代には約188万年前後と新しい年代で決着しました。


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ10(珪化木)

2010年08月24日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 クービ・フォラには、珪化木を見ることができる場所もあります。年代はわかりませんが、ここは、かつて森であったことがわかります。

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クービ・フォラ42.珪化木遠景1

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クービ・フォラ43.珪化木遠景2

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クービ・フォラ44. 珪化木の場所から見たクービ・フォラ


人類進化の洋書27.人類の起源

2010年08月23日 | E6.人類進化の洋書[Human Evolution:F

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Human Origins
価格:¥ 2,211(税込)
発売日:1976-07

 この本は、ケニアの先史人類学者、ルイス・リーキー(Louis LEAKEY)[1903-1972]さんを記念して編集されたものです。グリン・アイザック(Glynn ISAAC)さんとエリザベス・マッカウン(McCown)さんによる編集で、『Human Origins:Louis Leakey and the East African Evidence』という題で、1976年にA. Staples Press Booksから出版されました。ちなみに、本書の表紙は、群馬県立自然史博物館にも展示されている、アメリカの芸術家、ジェイ・マターネス(Jay MATTERNESS)さんによります。

 本書の内容は、以下のように、全5部21編が掲載されています。

前書き.Why is East Africa Important?

  • The African Origins of Man the Toolmaker (J. D. Clark)
  • White African: An Appreciation and Some Personal Memories of Louis Leakey (P. V. Tobias)

第1部.Connections between Prehistory and Natural History

  • Continuities between Chimpanzee and Human Behaviour (Jane Goodall)
  • Some Principles in the Interpretation of Bone Accumulations Associated with Man (C. K. Brain)

第2部.Geology and the Reconstruction of the World of Early Man

  • East Africa as a Sources of Fossil Evidence for Human Evolution (Glynn Isaac)
  • Pliocene Problems Relating to Human Evolution (W. W. Bishop)
  • Early Miocene Mammal Fossils from East Africa: Aspects of Geology, Faunistics and Paleo-ecology (Judith A. H. & John A. Van Couvering)
  • Environmental Setting of Hominid Activities in Bed I, Olduvai Gorge (Richard L. Hay)
  • an Overview of the Pliocene and Earlier Pleistocene of the Lower Omo Basin, Southern Ethiopia (F. Clark Howell)

第3部.The Interpretation of Hominid and Hominoid Fossils

  • The Primate and Other Fauna from Fort Ternan, Kenya (Peter Andrews & Alan Walker)
  • East Rudolf: An Introduction to the Abundance of New Evidence (Richard Leakey & Glynn Isaac)
  • Further Evidence of Lower Pleistocene Hominids from East Rudolf, Northern Kenya, 1972 (Richard Leakey)
  • Evidence for an Advanced Plio-Pleistocene Hominid from East Rudolf, Kenya (Richard Leakey)
  • Further Evidence of Lower Pleistocene Hominids from East Rudolf, Northern Kenya, 1973 (Richard Leakey)
  • Hominid Postcranial Material from Bed I, Olduvai Gorge (Michael Day)
  • African Hominids: Dating and Phylogeny (Phillip V. Tobias)

第4部.Archaeological Reconstruction of Early Hominid Behavior in East Africa

  • A Summary and Discussion of the  Archaeological Evidence from Bed I and Bed II, Olduvai Gorge, Tanzania (Mary D. Leakey) [Reprint]
  • Recent Archaeological Research in the Plio-Pleistocene Deposits of the Lower Omo Valley, Southwestern Ethiopia (Harry V. Merrick)
  • The Activities of Early African Hominids: A Review of Archaeological Evidence from the Time Span Two and a Half to One Million Year Ago (Glynn  Isaac)

第5部.The Life Work of Louis Leakey

  • Louis Seymour Bazett Leakey, 1903-1972 (J. Desmond Clark) [Reprint]
  • A Bibliography of the Written Works of Louis Seymour Bazett Leakey (Shirley C. Cryndon)

 本書は、少し中身が古いですが、それでも当時のアフリカの古人類学の勢いが感じられ、かつ、ルイス・リーキーの仕事もまとめられているので、大変、参考になります。

 


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ9(アフリカゾウ)

2010年08月22日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 ケニアには、野生動物が豊富です。クービ・フォラでも、かつては多くの野生動物を見ることができたそうですが、乾燥化が進んで現在では多くの野生動物が移動してしまったそうです。

 以下の写真は、ケニアのナイロビからクービ・フォラに移動する途中とマサイマラ国立公園で遭遇したアフリカゾウの群れです。

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クービ・フォラ38.アフリカゾウ(遠くに、アフリカゾウが見える)

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クービ・フォラ39.アフリカゾウの群れ(マサイマラ国立公園にて撮影)

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クービ・フォラ40.アフリカゾウ(マサイマラ国立公園にて撮影)

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クービ・フォラ41.威嚇するアフリカゾウ(マサイマラ国立公園にて撮影)


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ8(ゾウとカメの化石)

2010年08月21日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 クービ・フォラ遺跡には、ゾウやカメの化石が出土したままの状態で展示している場所があります。これらは、約1,500万年前の化石だそうです。

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クービ・フォラ32.ゾウの牙の化石

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クービ・フォラ33.ゾウの化石遠景

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クービ・フォラ34.ゾウの四肢骨

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クービ・フォラ35.ゾウの下顎骨

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クービ・フォラ36.カメの甲羅の化石1

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クービ・フォラ37.カメの甲羅の化石2


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ7(ゾウ化石の発掘調査)

2010年08月20日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 オリゴザイリー遺跡では、スミソニアン国立自然史博物館のリチャード・ポッツ(リック・ポッツとも呼ばれる)[Richard POTTS]さんがゾウの化石の発掘調査を行っていました。私達も、ポッツさんの発掘現場を見学することができました。

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クービ・フォラ29.オリゴザイリー遺跡でのゾウ化石の発掘調査1

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クービ・フォラ30.オリゴザイリー遺跡でのゾウ化石の発掘調査2(左が、説明するリック・ポッツさん)

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クービ・フォラ31.オリゴザイリー遺跡でのゾウ化石の発掘調査3(出土したゾウ化石)

 ポッツさんは、2010年にスミソニアン国立自然史博物館で、人類起源の常設展示を完成させています。まだ訪問していませんが、インターネットで見る限り、見応えのある内容のようです。


人類学の洋書1.人類のゆりかご

2010年08月19日 | E2.人類学の洋書[Anthropology:Foreig

Cradle_of_mankind

Cradle of Mankind
価格:¥ 2,078(税込)
発売日:1981-10

 この本は、写真家のモハメッド・アミン(Mohamed AMIN)さんが、ケニアの遺跡や部族をカラー写真で紹介したものです。原題は、『Cradle of Mankind』で、直訳すると、「人類のゆりかご(揺籃の地)」となるでしょうか。1981年に、The Overlook Pressから出版されました。序文は、ケニアの著名な古人類学者、リチャード・リーキー(Richard LEAKEY)さんが書いています。

 本書の内容は、以下のように、全9章からなります。

  • Land of Genesis
  • Cradle of Mankind
  • Samburu
  • Turkana
  • Merille
  • Gabbra
  • Rendille
  • el-Molo

 本書には、主に、ツゥルカナ湖周辺の写真や様々な部族の写真が掲載されており、大変、参考になります。


私の仕事:発掘調査、クービ・フォラ6(地質学実習)

2010年08月18日 | D3.私の仕事:発掘調査・クービフォラ[

 地質学実習の担当は、地質学者のクレイグ・ファイベル(Craig S. FEIBEL)さんが担当しました。ファイベルさんは、当時、ユタ大学の大学院生で、1966年からアフリカの地質学を研究しているユタ大学のフランシス・ブラウン(Francis H. BROWN)さんの元で研究をしていました。

 ファイベルさんは、ブラウンさんと共に、何度もアフリカに通って、アフリカ、特にケニアの地質学に精通しています。やはり、地質は、場所が違うと色々と異なるので、大変、参考になりました。

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クービ・フォラ27.地質学実習とクレイグ・ファイベルさん1(中央で、帽子を被り説明中の人物が、ファイベルさん)

 ファイベルさんは、ダートマス・カレッジを卒業後、アイオワ州立大学・ユタ大学の大学院で地質学を専攻しています。現在は、ラトガース大学で地質学の準教授として活躍されています。研究の対象は、アフリカのみならず、中近東にまで広げているようです。

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クービ・フォラ28.地質学実習とクレイグ・ファイベルさん2(中央で、帽子を被り、手を広げて説明中の人物が、ファイベルさん)


人類学史の洋書7.ある人生

2010年08月17日 | H2.人類学史の洋書[Hitory of Anthropo

Leakey1983

One Life Richard E Leakey an Autobiography
価格:¥ 1,764(税込)
発売日:1984-09

 この本は、ケニアの古人類学者、リチャード・リーキー(Richard LEAKEY)[1944-]さんの自叙伝です。原題は、『One Lefe』で、直訳すると、「ある人生」となるでしょうか。1984年に、Salem Housen社より出版されました。リチャード・リーキー、弱冠40歳の年です。

 リチャード・リーキーさんは、著名な古人類学者、ルイス・リーキー(Louis LEAKEY)[1903-1972]さんと著名な先史人類学者、メアリー・リーキー(Mary LEAKEY)[1913-1996]さんとの間に2男として生まれています。

 本書の内容は、以下のように、全14章からなります。

  1. An African Childhood
  2. Go and Find Your Own Bone
  3. Caught in my Own Trap
  4. Encounters with Lions
  5. Safari Business
  6. Making my Mark
  7. Out of my Father's Shadow
  8. In Conflict Again
  9. Camels at Koobi Fora
  10. Making Changes
  11. The Discovery of 1470
  12. Filming, Finding and Dating
  13. Fighting for Time
  14. The End of One Life

 私も、1986年にケニアを訪問した際に、当時、ケニア国立博物館館長だったリチャード・リーキーさんにお会いしたことがあります。当時は、世界で最も有名な古人類学者の一人でした。本書は、1984年に出版されていますが、その後、1989年には野生動物保護センターの所長に、1990年にはケニア野生動物サービスの長官になっています。この時には、密猟者を厳しく取り締まったことで有名です。また、1989年には、押収した密猟者による象牙12トンを焼いたことでも話題になりました。

 1993年には、自身で操縦していた小型セスナ機が墜落し、両足の下部を切断するという事故に巻き込まれました。現在は、義足で元気に歩いているそうです。1994年には、ケニア野生動物サービスの長官を辞任しました。1999年には内閣官房長に就任しましたが、2001年には辞任しています。現在は、ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校の、トゥルカナ盆地センターの所長兼教授として活躍しています。ちなみに、このセンターには、奥様の古人類学者、ミーヴ・リーキー(Meave LEAKEY)さんと次女のルイーズ・リーキー(Louise LEAKEY)さんもスタッフになっています。