人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

日本人の起源の本37.日本人はどこから来たか

2010年07月31日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

史話・日本の古代〈第1巻〉日本人はどこから来たか―日本文化の深層 史話・日本の古代〈第1巻〉日本人はどこから来たか―日本文化の深層
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2003-08

 この本は、元東京大学の人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生による編で、日本人の起源について書かれたものです。2003年に、作品社から出版されました。

 本書の内容は、以下の通りです。

  • はじめに:日本人の誕生(埴原和郎)
  • 日本民族と自然環境[抄](安田喜憲)
  • 火山噴火と古代の自然(辻 誠一郎)
  • 旧石器時代の歴史はさけて通れない(稲田孝司)
  • コラム:日本旧石器文化の原点・岩宿遺跡(吉崎昌一)
  • 照葉樹林文化帯(中尾佐助)
  • 東アジアの自然とナラ林文化(佐々木高明)
  • 縄文巨木文化(長部日出雄)
  • コラム:縄文人の食糧事情・三内丸山遺跡(山岸良二)
  • 芋栽培と月信仰(吉田敦彦)
  • 南で生まれた北海道犬(田名部雄一)
  • コラム:先進性を物語る南九州の縄文文化・上野原遺跡(上村俊雄)
  • 弥生文化の特質(佐原 真)
  • DNAからみたイネの道(佐藤洋一郎)
  • 人口爆発:縄文・弥生に何が起こったか(小山修三)
  • 弥生人の由来について(内藤芳篤)
  • 鉄と青銅は村をつなぐ(田中 琢)
  • コラム:銅鐸を埋めた古代びとの心・加茂岩倉遺跡(関 和彦)
  • 徐福は日本に来たか(茂在寅男)
  • 日本文化のかたち[抄](網野善彦・森 浩一)

 本書は、書き下ろしではなく、すべて再録されたものです。しかし、人類学・考古学・環境考古学・文化人類学・民族学・民俗学・人口学等、様々な分野から編集されており、大変、参考になります。

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日本人の起源の本36.私たちはどこから来たか

2010年07月30日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane
私たちはどこから来たのか―日本人を科学する 私たちはどこから来たのか―日本人を科学する
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:1998-06

 この本は、毎日新聞の隈元浩彦さんが、日本人の起源について書いたものです。1998年に、毎日新聞社から出版されました。1997年3月~10月にかけて、「サンデー毎日」に連載されたものが、元になっています。

 本書の内容は、以下のように、全24章からなります。

  1. 日本人=単一民族は幻想だ
  2. 生物の歴史は遺伝子に記されている
  3. 人骨が明かす2つのルーツ
  4. 渡来系弥生人は山東省から来た
  5. 徐福伝説と古代のボートピープル
  6. 歯の大きな人たちに呑み込まれた縄文人
  7. 歯でわかるあなたのルーツ
  8. 日本を二分する新羅、百済ルート
  9. あなたの顔は縄文系?弥生系?
  10. 近畿から同心円状に広がった日本人
  11. ウイルスが明らかにする日本人の成り立ち
  12. ウイルスが語る3つの渡来波
  13. 縄文から弥生に入り人口が急増した
  14. はしかが縄文人の人口激減の原因だった
  15. 結核大流行が日本人を形づくった
  16. 縄文人VS弥生人の戦争
  17. 尾張百年戦争とは
  18. 弥生人の勝因は子だくさんだった
  19. 縄文人は山に、弥生人は平野に
  20. 日本食の原型は縄文食だった
  21. 北方系と南方系が衝突して日本語が誕生
  22. 騎馬民族国家説の江上波夫氏に聞く
  23. 日本人とは何者か、網野善彦氏に聞く
  24. 架け橋の列島

 全24章の目次を見るだけで、本書の内容がわかります。ジャーナリストならではの、わかりやすい文章で書かれており、大変、参考になります。

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日本人の起源の本35.日本人の起源

2010年07月29日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

Hanihara1994

日本人の起源 (朝日選書)
価格:¥ 1,427(税込)
発売日:1994-12

 この本は、元東京大学の人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生による編で、日本人の起源について書かれたものです。1984年に初版が朝日選書264として、1994年に増補版が朝日選書517として、朝日新聞社から出版されました。初版と増補版の違いは、初版では「まとめとして(対談)」がありましたが、増補版ではこの対談を省略して、第5章が加わっています。1983年に、『科学朝日』に連載された「日本人の起源」が元になっています。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  1. 最初の足跡を残した人たち(旧石器時代)
  2. 縄文文化への過渡期(中石器時代)
  3. 新環境に適応して定着へ(縄文時代)
  4. 食料生産が開始された(弥生時代とその後)
  5. 日本人はどこからきたか(新しい研究成果)

 本書では、人類学者の埴原和郎先生・考古学者の吉崎昌一さん・科学ジャーナリストの河合信和さんの3名が、日本人の起源について迫っており、大変、参考になります。

 


日本人の起源の本34.日本人新起源論

2010年07月28日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

Hanihara1990

日本人新起源論 (角川選書)
価格:¥ 1,325(税込)
発売日:1990-09

 この本は、元東京大学の人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生による編で、日本人の起源について書かれたものです。1990年に、角川選書202として、角川書店から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全2部に分かれます。

  • まえがき(埴原和郎)

1.講演

  • 人間科学序説(井口 潔)
  • 人種の起源(埴原和郎)
  • 日本人の形成(埴原和郎)
  • 遺伝学から見た日本人集団(尾本恵市)
  • 考古学から見た日本民族(佐原 真)
  • 日本民族と自然環境(安田喜憲)
  • 人口から見た日本民族(小山修三)
  • 宗教から見た日本民族(山折哲雄)

2.総合討論

 本書は、1989年7月10日と7月11日の2日間にわたり、京都大学楽友会館で開催された一般公開セミナー「民族の形成:日本人の場合」の記録です。本書では、人類学・分子人類学・考古学・環境考古学・人口学・宗教学等の様々な分野から、日本人の起源に迫ったものであり、大変、参考になります。


日本人の起源の本33.日本人の起源

2010年07月27日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

Hanihara1986

日本人の起源―周辺民族との関係をめぐって (小学館創造選書)
価格:¥ 1,121(税込)
発売日:1986-04

 この本は、元東京大学の自然人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生による編で、日本人の起源について書かれたものです。1986年に、小学館創造選書98として、小学館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全8章からなります。

  • 東アジアと日本人:自然人類学の立場から(埴原和郎)
  • 東アジアの文化領域論(大林太良)
  • 日本とシベリアの文化(加藤晋平)
  • 東アジア農耕文化の類型と展開(佐々木高明)
  • 日本の古代文化と朝鮮半島(甲元眞之)
  • 日本と中国:地域論をふまえて(森 浩一)
  • 東アジア人の基層集団(尾本恵市)
  • パネルディスカッション:日本列島と周辺文化(司会・佐々木高明:河村 武・飯島武次・熊谷 治・松原正毅・尾本恵市・森 浩一・大林太良・甲元眞之・埴原和郎)

 本書は、出版されてからかなりの年月がたち、少し内容も古くなっていますが、自然人類学・分子人類学・考古学・民族学・文化人類学等の様々な分野の研究者が日本人の起源について論考を行っており、大変、参考になります。


PCソフトウェア1.骨ナビ

2010年07月26日 | T5.PCソフトウェア[PC Software]
CGで見る骨の辞書 骨ナビ2.0 骨触診動画付(スタンダード版) CGで見る骨の辞書 骨ナビ2.0 骨触診動画付(スタンダード版)
価格:(税込)
発売日:
CGで見る骨の辞書 骨ナビ2.0骨触診動画付(アカデミック版) CGで見る骨の辞書 骨ナビ2.0骨触診動画付(アカデミック版)
価格:(税込)
発売日:

 このソフトは、「骨ナビ」(2.0)です。これは、全身の骨格を、CGでパソコンに表示できるもので、なかなかのすぐれものです。私は、数年前に購入しました。

 この「骨ナビ」を監修されたのは、元北里大学の桜木晃彦さんです。桜木晃彦さんは、東京大学理学部の人類学教室ご出身の、人類学者兼解剖学者です。以前、「世界一受けたい授業」にも出演され、この「骨ナビ」を使って授業をされていました。

 私は、この「骨ナビ」を、講演や講義の際に骨を説明するのに使っています。おすすめします。

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骨ナビ1.左側に骨の名前が、右側に骨が出ます(私が所有しているパソコン画面)

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骨ナビ2.骨は、頭部・体幹・上肢・下肢に分かれ、別々に表示したり、すべて表示することもできます。また、骨の名前をクリックすると、その骨が青く点滅します。事例は、前頭骨。(私が所有しているパソコン画面)

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骨ナビ3.骨だけを表示することもできます。また、骨は自由に回転することができます。非常に、すぐれているソフトです。(私が所有しているパソコン画面)


私の仕事・講演2.骨は語る

2010年07月26日 | B9.私の仕事:講義・講演[My Work:Lec

 2010年7月25日(日)[13:30~15:00]、長野県の御代田町にある『浅間縄文ミュージアム』で講演をしてきました。これは、博物館で実施中の企画展「骨は語る:発掘された白骨が語るロスト・ワールド」に関連しての講演です。

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「骨は語る」講演風景[撮影:堤 隆さん(浅間縄文ミュージアム)]

 講演は、2部に分け、1部は「骨は語る:骨から読み解く様々な情報」(13:30~14:10)・2部は「骨は語る:人類の進化と日本人の起源」(14:20~15:00)としました。14:10~14:20は、トイレ休憩と模型観察にしました。

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「骨は語る」講演風景2[撮影:堤 隆さん(浅間縄文ミュージアム)]

 第1部では、「骨から読み解く様々な情報」として、人骨から性別・死亡年齢・身長・病気等の情報を読み解く事例をパワーポイントでご紹介しました。また、テキストとしては、私が、2000年に分担執筆した『身体発達』(ぶんしん出版)の「骨の発達と老化」を使用しました。また、私のパソコンには、購入したソフト「骨ナビ」が入っているので、このソフトを使用し、骨の名称を説明しました。

 この「骨ナビ」なかなかすぐれたソフトで、講演や講義に役立ちます。ちなみに、このソフトの監修者は、元北里大学の桜木晃彦さんです。桜木晃彦さんは、東京大学理学部の人類学教室ご出身の人類学者兼解剖学者です。以前、このソフトを使って、「世界一受けたい授業」にも出演されています。

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「骨は語る」講演風景3[撮影:堤 隆さん(浅間縄文ミュージアム)]

 第2部は、「人類の進化と日本人の起源」として、人類進化の概要と日本人の起源の概要について、パワーポイントで説明しました。また、私が所有している、猿人(アウストラロピテクス・アフリカヌス)・原人(ジャワ原人とペキン原人)・現代人の頭蓋骨模型を持参し、来場者の皆様に触ってもらい解説しました。

 本来であれば、「人類の進化」と「日本人の起源」で別々に講演すべきところですが、駆け足で説明したので、少し、難しかったかもしれません。

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「骨は語る」講演風景4[撮影:堤 隆さん(浅間縄文ミュージアム)]

 14:10~14:20のトイレ休憩の間は、持参した、化石人類の頭蓋骨模型を皆さんに触っていただき質問を受けました。通常は、30名ぐらいの来場者だそうですが、当日は、約70名の方々に来場していただきました。

 また、講演は15:00まででしたが、多くの質問があり、実際に終了したのは、15:30でした。来場者の皆様には、興味を持って聞いていただきまして感謝します。

 なお、浅間縄文ミュージアムでは、企画展『骨は語る』が、2010年4月29日(木)から2010年8月31日(火)まで実施しています。8月は無休だそうですので、軽井沢からもすぐなので、是非、訪問してみてください。なお、観覧料は500円で常設展示も観覧することができます。

 最後になりましたが、講演会を企画していただいた、浅間縄文ミュージアムの堤 隆さんに感謝いたします。堤 隆さんは、旧石器の研究者として有名な方です。

リンク:浅間縄文ミュージアム公式ホームページ


日本人の起源の本32.縄文人の知恵

2010年07月26日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

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縄文人の知恵 (小学館創造選書 (74))
価格:¥ 1,121(税込)
発売日:1985-04

 この本は、元東京大学の自然人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生の編により、縄文時代について書かれたものです。1985年に、小学館創造選書74として、小学館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全8章からなります。

  • はじめに(埴原和郎)
  • 縄文文化のあけぼの(加藤晋平)
  • 縄文文化の終焉(小林達雄)
  • 縄文時代のクニグニ(小林達雄)
  • 縄文カレンダー(小林達雄)
  • 縄文人の食べ物(鈴木公雄)
  • 縄文人と数(鈴木公雄)
  • 縄文土器をつくる(後藤和民)
  • 縄文人の祖先と子孫(埴原和郎)

 出版からかなりの年月がたっており、内容も少し古くなっていますが、自然人類学と考古学とで縄文時代にせまっており、大変、参考になります。


日本人の起源の本31.日本人はどこからきたか

2010年07月25日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane

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日本人はどこからきたか―新・日本人起源論の試み (小学館創造選書 (66))
価格:¥ 1,121(税込)
発売日:1984-01

 この本は、元東京大学の人類学者・埴原和郎[1927-2004]先生による編で、日本人の起源について書かれたものです。副題には、「新日本人起源論の試み」とあります。1984年に、小学館創造選書66として、小学館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全11章からなります。

  1. 人類の進化の歴史(埴原和郎)
  2. 日本人の起源:その学史の再検討(埴原和郎)
  3. 新しい日本人起源論(埴原和郎)
  4. 集団遺伝学からみた日本人(尾本恵市)
  5. 骨学からみた日本人(山口 敏)
  6. 気候変動と民族移動(鈴木秀夫)
  7. 考古学からみた日本人(佐原 真)
  8. 日本語の起源(安本美典)
  9. 日本文化の底流:アイヌと日本(梅原 猛)
  10. 日本国家の成り立ち(上山春平)
  11. 新・日本人起源論の試み(埴原和郎)

 本書は、出版されてからかなりの年月がたっており、内容も一部古くなっています。しかしながら、人類学・遺伝学・考古学・地理学・言語学・歴史学等の様々な分野の研究者が日本人の起源について論考しており、参考になります。


日本人の起源の本30.アイヌは原日本人か

2010年07月24日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane
アイヌは原日本人か (小学館ライブラリー) アイヌは原日本人か (小学館ライブラリー)
価格:¥ 809(税込)
発売日:1993-03

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アイヌは原日本人か―新しい日本人論のために (1982年) (小学館創造選書〈53〉)
価格:¥ 924(税込)
発売日:1982-10

 この本は、哲学者の梅原 猛さんと自然人類学者の埴原和郎[1927-2004]さんとが、日本人の起源について対談した結果をまとめたものです。1982年に小学館創造選書53として出版され、その後、1993年に小学館ライブラリーとして再録され、小学館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全9章からなります。

  1. 日本人へのアプローチ
  2. 人類は大進化とともに小進化する
  3. 最新の人類学の方法と成果
  4. 日本人:2つの背景
  5. 日本人論の先達たち
  6. 旧石器から弥生の日本人
  7. アイヌは原日本人である
  8. アイヌは日本文化の基層
  9. アイヌは和人以上に日本人である

 本書は、対談となっていますが、「はじめに」では、梅原 猛さんが、「今回の対談は、私の参加した対談としては、まことに珍しい対談である。なぜなら、そこで、私は、ほぼ完全に聞き役に徹しているからである。」と書かれています。

 その後、このお二人の研究者は、国際日本文化研究センターで一緒に研究をすることになります。


日本人の起源の本29.発掘から推理する

2010年07月23日 | F1.日本人の起源の本[Origin of Japane
発掘から推理する (岩波現代文庫) 発掘から推理する (岩波現代文庫)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2006-03

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発掘から推理する (1975年) (朝日選書〈40〉)
価格:¥ 672(税込)
発売日:1975

 この本は、元九州大学の人類学者・金関丈夫[1897-1983]先生が、人類学のみならず考古学や民俗学にまで書いたものです。1975年に朝日選書40として朝日新聞社から出版され、2006年には岩波現代文庫に再録されています。

 本書の内容は、以下のように、全4部からなります。

  1. 発掘から推理する(16編:元は朝日新聞西部版の連載)
  2. 4編(卜骨談義・種子島広田遺跡の文化・竹原古墳奥室の壁画)
  3. 5編(あた守る筑紫・むなかた・髑髏盃・洗骨・海南島の黎族)
  4. 1編(十六島名称考)

 著者の金関丈夫先生は、京都帝国大学・台北帝国大学・九州大学・鳥取大学・山口県立医科大学・帝塚山大学で、解剖学・人類学を研究された方です。その該博な知識は幅広く、時に、有名な博物学者・南方熊楠に比せられるほどでした。本書にも、その幅広い知識がちりばめられており、大変、参考になります。私は、今でも時々読み返しています。


古病理学の本15.O脚だったかもしれない縄文人

2010年07月22日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
O脚だったかもしれない縄文人―人骨は語る (歴史文化ライブラリー) O脚だったかもしれない縄文人―人骨は語る (歴史文化ライブラリー)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2010-03

 この本は、明治大学の谷畑美帆さんが、主に縄文時代人骨について書いたものです。2010年に、歴史文化ライブラリー293として、吉川弘文館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  • 縄文時代の研究と古人骨:プロローグ
  • 縄文時代人と生活環境
  • 縄文人の骨は語る
  • 考古学と現代社会
  • あとがき

 谷畑さんは、古病理学が専門ですが、これまでは、主に江戸時代人骨の古病理の報告が多かったようです。本書では、縄文時代人骨の古病理のみならず、縄文時代や縄文時代人骨についての総説も書かれており、大変、参考になります。

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人類学の本11.足の事典

2010年07月21日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
足の事典 足の事典
価格:¥ 10,290(税込)
発売日:1999-12

 この本は、慶応義塾大学の山崎信寿さんによる編集で、足についてまとめられた事典です。編者の山崎信寿さんは、活動弁士として活躍されている山崎バニラさんのお父様です。1999年に、朝倉書店から出版されました。私は、出版時に、著者の一人の西澤 哲さんから著者割引で購入させていただきました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  1. 足の解剖(鈴木隆雄)
  2. 足の形態(河内まき子)
  3. 足の生理(楠本彩乃)
  4. 足と歩行(西澤 哲)
  5. 足の動態(山崎信寿)

 本書は、「足」についてまとめられた唯一の事典だと思われます。多くの図や表が掲載されており、大変、参考になります。

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法医人類学の洋書9.法医人類学

2010年07月20日 | I2.法医人類学の洋書[Forensic Anthrop

Forensic Anthropology: The Structure, Morphology, and Variation of Human Bone and Dentition Forensic Anthropology: The Structure, Morphology, and Variation of Human Bone and Dentition
価格:¥ 4,370(税込)
発売日:1977-08

 この本は、ケース・ウェスタン・リザーヴ大学(当時)の人類学者、マームード・エル-ナジャール(Mahmoud Y. EL-NAJJAR)さんとネブラスカ大学(当時)の人類学者、リチャード・マクウィリアムズ(Richard McWILLIAMS)さんが書いた、法医人類学の教科書です。原題は、『Forensic Anthropology』で、1977年に、Charles C. Thomasから出版されました。私は、学生時代に丸善で購入しています。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. Recovery and Treatment of Bone
  2. The Human Skeleton
  3. Dentition
  4. Reconstruction of the Individual from the Skeleton
  5. Anthropometry
  6. Skeletal Nonmetric Traits
  7. Congenital Variations, Anomalies, and Malformations

 本書が、他の類書と異なるのは、非計測的形質(Nonmetric Traits)が写真と図で掲載されていることです。当時は、まだ、非計測的形質の論文はありましたが、本はありませんでした。

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カバー(*画像をクリックすると、拡大します。)


私の仕事・講演1.軍医学校跡地の発掘調査で何がわかるか・人類学の立場から

2010年07月19日 | B9.私の仕事:講義・講演[My Work:Lec

 2010年7月18日(日)の午後1時30分から4時30分にかけて、ウイズ新宿(新宿区立男女共同参画推進センター)で、「人骨発見21周年集会。専門家にきく!軍医学校跡地の発掘調査で何がわかるか」が開催されました。

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人骨発見21周年専門家にきく!の講演者

 これは、厚生労働省が2010年度予算に「人骨発掘調査費」を計上したことから、発掘調査が行われる際に、どのような点に留意すべきかということで、考古学の専門家として(財)群馬県埋蔵文化財調査事業団の考古学者・菊池 実さんが、そして人類学の専門家として私が講演しました。実は、菊池 実さんとは、かつて同じ職場でしかも、2000年から2002年にかけて、棟高辻久保遺跡を一緒に担当して発掘調査を行っていた関係です。その後も、2004年から2006年にかけてはその棟高辻久保遺跡の整理作業も一緒に担当しました。

 この人骨発見とは、1989年7月22日に、東京都新宿区戸山の国立感染症研究所(当時、国立予防衛生研究所)で発見された人骨のことを指します。この人骨の鑑定は、札幌学院大学の人類学者・佐倉 朔先生に依頼され、1991年9月から1992年3月まで行われました。私は、当時、わずか数日でしたが、佐倉 朔先生の助手として、この鑑定のお手伝いをしたことがあります。

 私は、「人類学の立場から」という題で講演を行いました。資料として、レジュメは文章がA4版で4ページ・図がA4版で4ページを会場で配布しました。

 また、パワーポイントを使って、1.人骨の特徴・2.発掘方法・3.戸山人骨・4.発掘調査に期待されることについて講演しました。骨の形態学からは、集団の判別は頭蓋骨であれば有る程度可能であるが、四肢骨では難しいこと。集団と言っても、頭蓋骨から、アジア系(モンゴロイド)・アフリカ系(コンゴイド)・ヨーロッパ系(コーカソイド)の判別は可能かもしれないが、日本人かどうかというのは、日本人自体の集団変異が大きいため困難であることも示しました。そのために、日本人の起源の話も行い、国内にも在来系・渡来系・中間系とおり、変異に富んでいることを説明しました。

 最後に、厚生労働省が行う予定の調査では、「あらゆる可能性も考慮しつつ、先入観を排し、できる限り中立の立場で科学的冷静さを保ちながら望むことが重要である」と述べて終了しました。

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講演中の私

 なお、この講演の内容は、2010年7月19日付けの東京新聞に掲載されたようです。以下は、その記事へのリンクです。

リンク:東京新聞の関連記事(2010年7月19日)