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人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

古病理学の本27.古代アンデスの謎

2013年08月26日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Katayamayoichi1992

古代アンデスの謎―2000年前の脳外科手術
価格:¥ 1,631(税込)
発売日:1992-07

 この本『古代アンデスの謎』は、日本大学医学部の脳神経外科医の片山容一さんが、南米の古代アンデス文明で盛んに行われていた頭蓋穿孔について書いたものです。副題には、「二〇〇〇年前の脳外科手術」とあります。1992年に、廣済堂出版から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全10章からなります。

  1. 穴の開いた頭蓋骨の発見
  2. 古代アンデスの謎をさぐる
  3. 古代アンデスの文化と環境
  4. 古代アンデスの脳外科手術
  5. 魔術的儀式か医学的治療か
  6. 古代アンデスの外科医の活躍
  7. 合理的だった古代アンデスの脳外科手術
  8. 古代外科医が克服した迷い
  9. 現代に通じる古代外科医の情熱
  10. 現代の脳外科にみる共通性

 本書は、古代アンデス文明の頭蓋穿孔について、脳神経外科医である片山容一さんが医学的に解明しており、大変、参考になります。


古病理学の本26.古病理学事典

2012年04月15日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Fujita2012f

古病理学事典
価格:¥ 6,300(税込)
発売日:2012-04-16

 この本は、新潟県立看護大学の藤田 尚さんによる編で書かれた、古病理学の事典です。このような事典は、これまで国内では出版されておらず、国内初となります。2012年に、同成社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全2部23章からなります。私も、「広汎性特発性骨増殖症」と「頭蓋骨縫合早期癒合症」の2章を執筆させていただきました。

第Ⅰ部.骨に現れる病変

  • 骨膜炎(P.ヤナコプル・鈴木隆雄)
  • 結核(鈴木隆雄)
  • トレポネーマ症(鈴木隆雄)
  • 麻痺性疾患(弦本敏行)
  • 骨折(弦本敏行)
  • 変形性関節症(谷畑美帆)
  • クリブラ・オルビタリア(平田和明)
  • ハリス線(平田和明)
  • 骨の良性・悪性腫瘍(弦本敏行)
  • リウマチ(福田眞輔)
  • 広汎性特発性骨増殖症(楢崎修一郎)
  • 頭蓋骨縫合早期癒合症(楢崎修一郎)
  • 遺伝学と古病理学(針原伸二)

第Ⅱ部.歯に現れる病変

  • 齲蝕(藤田 尚)
  • 歯周病(藤田 尚)
  • エナメル質減形成(山本美代子)
  • 歯の形態異常(近藤信太郎)
  • 歯の欠如(山田博之)
  • 歯の萌出とその異常(金澤英作)
  • 顎骨の良性・悪性腫瘍(藤田 尚)
  • 風習的抜歯(藤田 尚)
  • 楔状欠損(藤田 尚)
  • 下顎隆起(五十嵐由里子)

 古病理学は、国内ではまだまだ研究者が少ない分野です。この本をよく読むと、出土人骨を今まで以上に細かいところまで観察しないと、古病理を見落とす可能性があることに気付きます。

Fujita2012b


古病理学の本25.歯の健康学

2011年05月20日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
歯の健康学 (岩波新書) 歯の健康学 (岩波新書)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2004-09-22

 この本は、東京医科歯科大学の江藤一洋さんによる編で、虫歯や歯周病等について書いたものです。2004年に、岩波新書(新赤版)910として、岩波書店から出版されました。なお、虫歯は、正式には齲蝕と呼ばれます。

 本書の内容は、以下のように、全11章からなります。

  1. むし歯(神原正樹)
  2. 歯周病(伊藤公一)
  3. 入れ歯と噛むことの大切さ(早川 巌)
  4. 歯並びと噛み合わせ(花田晃治)
  5. 周辺の病気(小野 繁)
  6. 口と全身の健康(花田信弘)
  7. 歯科医療と痛み(住友雅人)
  8. 歯とことばの発声(谷口 尚・隅田由香)
  9. 美容と歯科医療(田上順次)
  10. 最新の治療法(下野正基)
  11. 歯科保健医療と社会(宮武光吉)

 本書では、口腔の二大疾患である虫歯と歯周病の話からその他について書かれており、大変、参考になります。また、巻末には、榊原悠紀田郎さんによる、紀元前1,700年から2004年までの「歯科医療史略年表」があり、大変、参考になります。

Eto2004


古病理学の本24.歯科治療の最前線

2011年05月19日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
歯科医療の最前線―自分の歯を守るための最新情報 (ブルーバックス) 歯科医療の最前線―自分の歯を守るための最新情報 (ブルーバックス)
価格:¥ 1,029(税込)
発売日:1995-01

 この本は、東京歯科大学の下野正基さんが、歯の治療について書いたものです。副題には、自分の歯を守るための最新情報とあります。1995年に、ブルーバックス1050として、講談社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全9章からなります。

  1. 歯と歯周組織のメカニズム
  2. 虫歯(う蝕)
  3. 歯周病
  4. 歯列矯正
  5. 顎関節症とは何か
  6. 噛むことの重要性
  7. 新しい治療法
  8. そのほかの病気
  9. インフォームド・コンセント

 本書では、虫歯(齲蝕)・顎関節症について書かれており、出土人骨の古病理観察に、大変、参考になります。

Shimono1995


古病理学の本23.さらば歯周病

2011年05月18日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
さらば歯周病 (新潮新書) さらば歯周病 (新潮新書)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2004-09

 この本は、歯科医師の河田克之さんが、歯周病について書いたものです。2004年に、新潮新書086として、新潮社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. 虫歯の真実
  2. 歯槽膿漏との闘い
  3. 年代別のケアと治療
  4. 海外の歯科事情に学ぶ
  5. 国民病の現実と実態
  6. メンテナンスの神髄
  7. 新時代の歯科医療

 本書は、直接、古病理学の本ではありませんが、遺跡出土人骨に多く認められる、虫歯(齲蝕)・歯槽膿漏・歯石等の観察に役立ちます。

Kawada2004


古病理学の本22.虫歯になる人、ならない人

2011年05月17日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Nishikawa2001

虫歯になる人、ならない人 (宝島社新書)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2001-08

 この本は、歯科医師の西川義昌さん・科学ジャーナリストの白石 拓さんが、虫歯について書いたものです。2001年に、宝島社新書として、宝島社から出版されました。なお、正式には、「虫歯」は、「齲蝕」と呼びます。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. 今夜も虫歯がうずく
  2. 口の中の細菌ワールド
  3. 親のキスが虫歯をうつす
  4. 歯周病でとけていくアゴ
  5. 高齢者を襲う口内細菌の反乱
  6. 歯を守るために
  7. 失われた歯の再生を目指す最先端治療

 虫歯(齲蝕)は、出土人骨に最も認められる古病理なので、大変、参考になります。また、歯周病により全身疾患が増すということも書かれています。


古病理学の本21.虫歯はどうしてできるか

2011年05月16日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Hamada1982_2

虫歯はどうしてできるか (岩波新書 黄版 183)
価格:¥ 561(税込)
発売日:1982-02

 この本は、大阪大学の浜田茂幸さんが、虫歯について書いたものです。1982年に、岩波新書(黄色版)183として、岩波書店から出版されました。なお、「虫歯」は通称で、正確には「齲蝕」と呼びます。

 本書の内容は、以下のように、全10章からなります。

  1. 虫歯は感染症
  2. 虫歯の病因を追って
  3. 口腔細菌の生態
  4. 虫歯の病原体:ミュータンス
  5. 虫歯と食物の関係
  6. 虫歯菌のすみか:プラーク
  7. プラーク形成を防ぐ
  8. 虫歯の免疫は可能か
  9. 虫歯を予防するには
  10. 虫歯の治療法

 虫歯(齲蝕)は、出土人骨に最も多く認められる古病理です。本書は、虫歯についての基本知識を得ることができるので、大変、参考になります。


古病理学の本20.中世の癩者と差別

2011年05月13日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Kanai2003

中世の癩者と差別
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2003-05

 この本は、鳥取大学名誉教授の金井清光[1922-2009]さんが、中世のハンセン病について書いたものです。2003年に、岩田書院から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全3章からなります。

  1. 古代・中世の癩病と差別
  2. 中世の癩者の実態
  3. 中世癩者の服装

 著者の金井清光さんは、一遍と時衆教団を研究する過程で、絵巻『一遍聖絵』を見てこの本の執筆を思い立ったそうです。本書は、直接、古病理学の本ではありませんが、歴史的記述が書かれており、大変、参考になります。


古病理学の本19.日本らい史

2011年05月12日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Yamamoto1997

日本らい史
価格:¥ 9,450(税込)
発売日:1997-12

 この本は、東京大学名誉教授の山本俊一[1922-2008]さんが、日本におけるハンセン病の歴史についてまとめたものです。1993年に初版が、1997年には増補版が、東京大学出版会から出版されました。全生園の機関誌「多摩」に、1985年12月号から1991年2月号まで61回にわたって連載された原稿が元になっています。

 本書の内容は、以下のように、全3章からなります。

  1. 発生の起源と患者の救済
  2. 対策と法制定
  3. 予防法制度と患者

 古病理学には、第1章の「発生の起源と患者の救済」で、古代及び中世のハンセン病の状況が説明されており参考になります。

 ハンセン病と確定された古人骨は多くはありませんが、由比ヶ浜南遺跡で1体出土しています。また、2010年8月26日には、国立感染症研究所ハンセン病研究センターの鈴木幸一さんと国際医療福祉大学の滝川 渉さん等により、青森県八戸市の畑内遺跡から出土した江戸時代中期(18世紀)の人骨からハンセン病の病原菌のDNAの抽出に成功しています。

 この畑内遺跡のSK26土坑墓から出土した、約30歳~50歳の男性人骨は、ハンセン病に罹患していたと鑑定されており、東北大学総合学術博物館に収蔵されていました。この人骨から、約0.01g以下の微少サンプルを採取し、DNA分析を行っています。ハンセン病のDNA抽出は、欧米では事例があるそうですが、東アジアでは初めてだそうです。


古病理学の本18.王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史

2011年05月11日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史 王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2003-01

 この本は、作家のビルギット・アダム(Birgit ADAM)さんが、世界の性病特に梅毒の歴史について書いたものです。原題は、『Die Strafe Der Venus』で、2001年にドイツ語で出版されています。瀬野文教さんによる翻訳で、2003年に草思社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全4章からなります。

  1. 梅毒にむしばまれたヨーロッパ
  2. 特効薬はないのか!
  3. 時代は変わる
  4. エイズ、現代の梅毒か?

 この中で、著名人で梅毒に罹患していた人々に、ハインリヒ・ハイネ[1797-1856]、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ[1749-1832]、アンリ・モーパッサン[1850-1893]、フランツ・シューベルト[1797-1828]、フーゴー・ヴォルフ[1860-1903]、ルートヴィヒ・ベートーヴェン[1770-1827]等が挙げられています。しかし、これらはあくまでも推定であり、証拠は非常に少ないとも書かれています。

Adam2003


古病理学の本17.江戸の性病

2011年05月10日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
江戸の性病―梅毒流行事情 江戸の性病―梅毒流行事情
価格:¥ 1,937(税込)
発売日:1993-08

 この本は、法政大学の苅谷春郎さんが、江戸時代の梅毒について書いたものです。副題には、「梅毒流行事情」とあります。1993年に、三一書房から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  1. 梅毒の起源
  2. 日本に於ける梅毒
  3. 梅毒の病態と治療
  4. 梅毒と稲荷信仰
  5. 検梅制度の変遷

 本書では、梅毒に対して、当時の江戸時代人が、「かさもり信仰」に求めて各地に「かさもり稲荷」が江戸の町に多く建てられたとあります。巻末には、関連略年表もつけられており、古病理学にも大変、参考になります。

Kariya1993


古病理学の本16.結核という文化

2011年05月09日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
結核という文化―病の比較文化史 (中公新書) 結核という文化―病の比較文化史 (中公新書)
価格:¥ 861(税込)
発売日:2001-11

 この本は、名古屋大学の福田眞人さんが、結核について書いたものです。副題には、「病の比較文化史」とあります。2001年に、中公新書1615として、中央公論新社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全10章からなります。

  1. 病の運命:3つのエピソードから
  2. 西洋の結核の歴史:古代から中世へ
  3. 中国と日本の結核の記録
  4. 近代の結核療法の登場
  5. 細菌学の時代
  6. 近代化と産業革命・殖産興業
  7. 肺病のロマン化
  8. サナトリウムという新しい舞台
  9. 結核患者の群像
  10. 結核は過去の病気ではない

 日本での最古の結核は、弥生時代人骨に認められています。現代日本では、ほとんど認められませんが、世界では1996年の統計で結核による死者が300万人を超えており、総患者数は2,200万人を超えていると言われています。また、結核絶滅は、2060年頃とも推定されており、過去の病気ではないことがわかります。

 本書は、結核の歴史を学ぶのに、大変、参考になります。

Fukuda2001


古病理学の本15.O脚だったかもしれない縄文人

2010年07月22日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
O脚だったかもしれない縄文人―人骨は語る (歴史文化ライブラリー) O脚だったかもしれない縄文人―人骨は語る (歴史文化ライブラリー)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2010-03

 この本は、明治大学の谷畑美帆さんが、主に縄文時代人骨について書いたものです。2010年に、歴史文化ライブラリー293として、吉川弘文館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  • 縄文時代の研究と古人骨:プロローグ
  • 縄文時代人と生活環境
  • 縄文人の骨は語る
  • 考古学と現代社会
  • あとがき

 谷畑さんは、古病理学が専門ですが、これまでは、主に江戸時代人骨の古病理の報告が多かったようです。本書では、縄文時代人骨の古病理のみならず、縄文時代や縄文時代人骨についての総説も書かれており、大変、参考になります。

Tanihata2010


古病理学の本14.骨から見た日本人(文庫)

2010年03月06日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
骨から見た日本人 古病理学が語る歴史 (講談社学術文庫) 骨から見た日本人 古病理学が語る歴史 (講談社学術文庫)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2010-01-12

 この本は、以前、ブログでもご紹介した(2009年6月12日)、国立長寿医療センター所長の鈴木隆雄先生がお書きになられ、1998年に講談社から出版された『骨から見た日本人』の文庫版です。2010年に、講談社学術文庫1978として、講談社から出版されました。

 副題には、古病理学が語る歴史とあり、主に化石人類から江戸時代人までの骨の病気について書かれています。本書の内容は、以下のように、単行本と同じ内容になっています。

  • プロローグ.古病理学からみえる世界
  • 第1章.化石にあらわれた病気:人類進化の世界
  • 第2章.強く生きる:よみがえる縄文の世界1
  • 第3章.福祉と介護:よみがえる縄文の世界2
  • 第4章.日本人誕生:結核は何をもたらしたか
  • 第5章.刀と病と極楽と:鎌倉の世界
  • 第6章.江戸を生きる:命長ければ病多し
  • エピローグ.現代人の骨の老化と死への想い

 私は、自分の興味がある分野の本は、単行本と文庫版と両方揃えることにしています。それは、文庫版には、新たにあとがきが加えられることが多いこと・単行本の内容の訂正が行われる場合が多いこと等の理由です。その他、単行本とは異なる写真や図が文庫本化の際に追加される場合もあるので注意が必要です。実際、ある霊長類学者による単行本から文庫本化の際には、単行本で使用した写真を紛失したとの理由で、文庫本では別の写真が使用されていました。

Suzuki2010  


古病理学の本13.江戸の病

2009年12月28日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap
江戸の病 (講談社選書メチエ) 江戸の病 (講談社選書メチエ)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-04

 この本は、歴史学者の氏家幹人さんが、江戸時代の病気について書いた本です。2009年に、講談社選書メチエ437として、講談社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように全5章からなります。

  • 病気の章
  • 産と乳の章
  • 医者の章
  • 薬の章
  • 終章

 本書の巻末には、『官府御沙汰略記』が掲載されています。これをみると、未成年の死亡率が高いことがよくわかります。本書は、直接、古病理学の本ではありませんが、大変、参考になる本です。

Ujiie2009