シャニダール洞窟の謎 (1977年) |
この本は、元コロンビア大学の先史学者、ラルフ・ソレッキ(Ralph SOLECKI)[1917-]さんが、ネアンデルタール人が発見されたイラクのシャニダール洞窟の発掘調査について書いたものです。原題は、『Shanidar: The First Flower People』で、1971年に出版されています。1977年に、立教大学の人類学者・香原志勢先生と英文学者・松井倫子さんによる翻訳で、蒼樹書房から出版されました。
このシャニダール洞窟は、著者のラルフ・ソレッキ等により、1957年から1961年にかけて発掘調査が行われ、ネアンデルタール人が9体発見されています。
本書の内容は、以下のように、全8章からなります。
- はじめに・先史時代と原始人類:イラク・クルディスタンにおける調査
- ザグロス高地への調査行
- シャニダール洞窟で最初の試掘壕を掘る
- シャニダール洞窟の第一次発掘調査
- 第二次発掘調査:シャニダールの幼児人骨
- 第三次発掘調査:三体のネアンデルタール成人人骨
- 第四次発掘調査:新たなネアンデルタール人と花で飾った埋葬
- おわりに:ネアンデルタール人を私たちの祖先と認める方向に向けて
本書のハイライトは、シャニダール第4号人骨が埋葬されていた土壌から、キク・ノコギリソウ・ヤグルマギク・ユリ・ムスカリ・マオウ等の花粉が発見されたことです。本書の原題にある、「The First Flower People」とは、最初に花を愛でた人々という意味になります。