芸能人は歯が命。美味しい野菜は根が命。

農業技術研修会などで得た知識いろいろの中から役に立ちそうなトピックスを自分の記録も
兼ねて紹介していきます。

研修会知識③

誰でも根っこが大事なのは知っていますが、どうして大事なのかを生理学的に知っている人
はあまりいないかもしれません。水分や養分を吸収するためといった次元ではなく、もっと
根本的な部分でホルモンの話です。植物の5大ホルモンは生長促進型のオーキシン、ジベレリン、
サイトカイニンと成長抑制型のアブシジン酸とエチレンです。それぞれの働きは検索すれば
いろいろ解説されていますが、今回はサイトカイニンがテーマ。




実はサイトカイニンというホルモンが不足した植物はカイワレ葉の段階ですでに美味しい野菜
になりません。それはサイトカイニンが細胞分裂を活性化させ、老化を抑制し、気孔を開かせる
など、美味しい野菜の基本機能を司るホルモンだからです。そして、そのサイトカイニンを
生成する機関が根の先端の毛細根だけなのです。



毛細根は発芽の前に出来ます。まず根が出、毛細根がサイトカイニンを生成することで芽が
伸び始める。その後も、サイトカイニンは葉の先端まで送り続けられ成長を促進します。
従って、播種直後の数日間の温度や湿度、日照などの要素と培土の質などがその後のすべてを
決定してしまうと言って過言ではないわけなんです。

ちなみにサイトカイニンが不足すると苗は徒長します。徒長した苗がダメなのは毛細根が
発達していないからです。気孔が開かない野菜は持ちが悪く鮮度が急激に落ちます。