外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

逆張り取引

2006-03-15 19:15:16 |   -FX実用相場用語

市場トレンドに逆らった取引。
例えば、ドル円相場が110円から115円、118円と上昇している中で、ドル売り円買い取引をしたり、120円から118円、115円と下落している中で、ドル買い円売り取引をする行為はまさに逆張り取引。

取引注文で指値という方法があるが、これらは紛れもなく逆張り取引である。決済取引に指値を使う場合は若干の意味が異なる場合があるかもしれないが、指値を指す心理的根拠は、もしかすると天底となるかもしれない水準でポジションを仕込んでみようとする場合が多いのではないだろうか。

充分研究した上で、なんだかの背景に同意してアクションをとるならば、まだシナリオもあるところだが、「何となく」「そろそろ」というのは止めたほうが良い気がする。反対用語は順張り取引。

利食いにしても、なるべく値幅が多ければ収益も増えるので、設定する水準の選定は悩ましいところだが、相場の天底をうまく捉えることは難しく、決済価格が決まっているのなら、例えば売り決済では相場が下がり始めて売るように心がければ、上昇時に時期尚早的に決済せずに済む可能性が広がる。

なぜなら、上下を繰り返す相場で天底は“点”を捉えなければならず、ある意味で神業的な確率となる。つまりその他全ての“動き”は上昇か下降ということが出来る。上昇という流れ(トレンド)で、どこでも良いから売ることを仮定したとき、そこが天井になることの可能性は少ないと言わざるを得ない。

ただ、そうは相場に張り付くことは出来ないので難しいからこそ、逆張りを覚悟で指値を入れるのだ、という覚悟は必要。早めにリグってしまった時や、あっという間にストップロスが発動してしまった時は、サッパリとあきらめて、気持ちを切り替えた方がベターかもしれない。

【外為ガイドブック か行】


スプレッド【SPREAD】ツー・ウエイ・プライス【2 WAY PRICE】

2006-03-14 17:30:35 |   -FX実用相場用語

外国為替取引価格は常に変化しており価格提示される際、取引相手の売り渡し価格(自分が買い付けたい価格)と取引相手の買い受け価格(自分が売り付けたい価格)が同時に提示されることが望ましい。この時の売り渡し価格と買い受け価格の差をスプレッドという。

例えば、現在のドル円取引レートが118.55-60だと仮定した場合、118.55が提示者の買い受け価格(売り付け可能な価格)、118.60が提示者の売り渡し価格(買い付け可能な価格)であり、その差である0.05円がスプレッドである。対円の通貨ペアでは0.01円を1ポイントとも言うので、通常は「5ポイントスプレッド」などと表現する。

外国為替取引はご存知のように、ペアとなる2通貨の交換比率を取引するが、ドル買い円売りをしたい者もいればドル売り円買いしたい者も存在するので、売値・買値を同時に提示するのが適正である。この提示方法を2WAY QUOTE(ツー・ウエイ・クオート)、その価格を2WAY PRICE(ツー・ウエイ・プライス)という。

スプレッドは取引価格提示者の保険的目的もあるが、基本的には取引を受けた報酬として手数料の一部となりやすい。売買が同時に成立するような場合はそのまま報酬となるが、相場が一方向に動く場合、事業者(或いは銀行)は売り渡した価格より高い価格で買い戻したり、買い受けた価格より安い価格で売り戻す場合があるので、必ず手数料として回収できるわけではない。

株式市場のことは詳しく無いが、為替市場との比較で一本値かどうかの議論が稀にある。ドルを株式に例えて言えば、1株118円前後で取引される株式があったとき、その時の板が買値117円売値119円だったとすれば、為替ではこれが提示価格であると言える。ただ、為替で売買価格が2円も開いている状況は絶望的で、通常は5銭前後で売値と買値の板が存在していると考えられ、銀行間市場ならそれが常に200から500万ドルの額で並んでいると考えられる。

為替を取引すると直後にスプレッド分の取引損が発生し、納得しがたいという意見があるようだが、株式市場では買った直後で売り取引をした場合、損失は無いのかどうか、疑問が残る。為替では取引直後でも反対取引の価格が存在しているので、それでの時価評価が直ぐに出来てしまうためにこのような現象が発生するが、もしも株式市場で同様の環境があれば、やはり取引直後でも直ちに評価損が発生してしまうような気がする。

2ウエイが望ましいとする所以は、例えばドル円でドルを買いたいとき、ドル売りの価格を知ることで、買い付け価格が適正かどうかを知ることが出来る。なぜなら多くの取引希望者でドルを売りたい者も存在するとすれば、余りに偏った2ウエイプライスで思わず買い受けてしまった事業者(または銀行)は、直ぐに売り戻すことにリスクが掛かるからだ。

こぼれ話
プラザ合意以降、ドル円相場は急激な円高に見舞われたことはご存知だと思われるが、1ドル200円台から一気に100円を見る流れでは、24時間で5円以上下落する相場は珍しくなかった。

そんな相場で興味がある取引価格はビッドしかない。とにかくマーケットが興味あるのはドル売り円買いに限られるからだ。しかし、経験の少ないブローカーが180円ギブン(180円丁度が売られたことを伝える言い方)のあと、「180.10売り買いなし」などとインフォメーションしようものなら、ディーラーからは
「ふざけるな!ビッドを持って来い!!」

と、罵声を浴びたものである。一方では「117.90買いノー・オファー!!!」、つまり117.90買いがあると伝えられるブローカーは間髪を入れずに取引が成立してゆく。しかし良く考えれば、この時の市場ベスト価格は117.90-118.10であり、見た目は悪いプライスであり、90を売った時点でいきなり20ポイントの評価損が発生することになる。

しかし現実はどうか・・・?

あっという間に70がギブンし、117.60-80では10ポイントの含み収益が発生する。
要するに、値洗いするレートがあるがために、直ぐに反対売買をしたときの評価額がでてしまうということは確かだ。117.90-10の20ポイントプライスと、この時に117.80-83の3ポイントプライスでは、20ポイントプライスの方が優れている、ということもまた確かである。

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ヘルシュタット・リスク【HERSTATT RISK】

2006-03-13 11:26:13 |   -FX実用相場用語

1974年、当時西ドイツのヘルシュタット銀行がドイツ市場閉場後に倒産。当銀行と取引を行った銀行の中には、当銀行への資金支払いを済ませてしまったものの当銀行から相当資金を受けられず、大きな損害を被った。

特に外国為替取引では、売買を行った売り通貨を取引相手に支払うという決済方法をとっており、相手が海外の銀行となると時差の関係から、売却通貨は既に支払ったが購入通貨がまだ先方から振り込まれて来ないという時間帯があり得る。

このように、主に時差からくる決済の不履行リスクをヘルシュタット・リスクという。

取引の国際化が進む中で、例えば日本と米国の銀行が為替取引をしてしまった場合、日本の銀行は基本的に送金業務を15:00までに完了する必要があるが、日本時間の15:00は米国の深夜01:00で、米国の銀行は決済作業の状態にない。米国がやっと朝09:00を迎える頃、今度は日本が深夜の11:00となり、送金を受けたかどうかが確認できない。その後日本時間が翌日となり朝09:00になって初めて、送金があったかどうかの確認が取れる。

問題があった場合は以上の繰り返しをもう一度行わなければならず、こうした状況を考慮すれば直物取引とはいえ48時間の決済猶予の必要性がご理解いただけるだろう。

電子ネットワークの発達によって、これを利用したヘルシュタットリスクの軽減策が模索された結果、ネッティングから同時決済などの方法が採用されてきた。

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ロールオーバー(繰越)【ROLL OVER】トムネ取引

2006-03-10 13:43:02 |   -FX実用相場用語

当日のポジションを翌取引営業日に持ち越して継続すること。
取引を繰り越すということは、決済日(応答日)も翌日営業日に繰り越すことと同じ。

どの時間をもって繰越とするかは、ニューヨーク時間午後17:00をまたいだ時点とするのが、世界的な市場ルールである。17:00をまたいだ時点で取引日が変わるためこの時点で運用などが1日経過したとみなされ1日分の金利差が反映される。極端に言えば16:58→17:02でも1日分の金利、17:02→16:58は金利なしである。
このタイミングで取引すれば一儲けできそうな気がするが、数ポイント分の金利差が見込まれた値動きをする場合が多く、そううまく行かないと思われる。どなたかチャレンジされた方がいらっしゃれば、是非結果報告をお寄せいただきたい。

繰越作業をするためには、フォワード(スワップ)取引のトムネ取引を利用するが、どのように決済日が繰り越されるのか解説しよう。ここでの説明は、どのようにしていわゆるスワップポイントというものが発生するのかをご理解いただくために、あくまで銀行間市場での外国為替取引の解説である。

証拠金取引となると、取引を行った投資家はこのような作業は事業者(最終的にはカバー先金融機関)が行うことであり、考慮する必要は無く、繰越コストとして発生するポイントを授受するだけで完結する。証拠金取引の影にはこのような作業が実際に発生しており、手数料の一部となっている。

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ロールの仕組み 

① 13日にドル買い円売りの取引を行った(あるいはこの時点でポジションがある)と仮定する。
バリューデート(決済日、応答日)は2営業日後なので、15日にはドルを受け取り、円を支払う資金決済が控えている。

② ポジションをこのまま繰り越して取引営業日が14日になったと仮定する。
14日のバリューデート(決済日、応答日)は16日であり、例え14日になってこのポジションを決済をしても資金決済は16日に行われるので、依然と控えている①分の資金決済(ドル資金が振り込まれ、円資金を支払う)のうち、売り渡す円資金は確保できない。

③ そこで②の14日に、明日(15日)→明後日(16日)のスワップ取引(トムネ取引)を行う。

トムネ取引
明日(15日)側取引内容

明日(15日)の取引では①の資金決済で、支払う円を調達するのが絶対条件→円買いドル売り
この取引で売るドルは、①の資金決済で入ってくるドルを充当→ドルはスクエア

明後日(16日)側取引内容
トムネ取引では15日側取引の反対(スワップ)を必ず同じ相手と行うのが規則→円売りドル買い

④ 結果は
①の13日取引の15日資金決済は実行され、持ち越された②の14日取引の16日資金決済内容である「円売りドル買い」が残るが、実は①のポジションと同じ資金決済内容(ドル買い円売り)と一致、つまりは取引日の繰越と、資金決済日の繰越が実行されたことになる。

では、肝心の金利差はどこで発生するか

15日にドルを買い受けてくれて16日に売り戻してくれた相手は同じなので仮にA銀行とすれば、A銀行は価格変動のリスクなくドルを1日運用できたことになり、ドルに発生した金利から手数料を差し引いた残りを割り引いて安く売り渡してくれる。
一方で、自分はAから円を買って(借りて)、1日後に売る(返す)予定なので、円を1日運用したときの金利分を上乗せして返す・・・つまりAが円を買い戻す時の価格は安く売り渡してあげる。

当然、円とドルには金利差があり、ドルで割引いてくれた額のほうが、円で割り引いてあげた額より多くなるので、高金利を買って1日繰り越すと、自分は徳をする 
という訳である。

言葉にすると、このように壮大な行程が盛り込まれるロールオーバーではあるが、そこはプロ同士、パーツに分けて特化することで「せーの、ドン!」で仕上がることは事実!しかし、証拠金取引の利用者は考慮することなく簡単に実現してしまうため意識は無いかもしれない。当然なのは承知の上で、ただもし、個人で全てを行うなら、少なくともこれだけのプロセスをこなさなければ、ロールオーバーすらできないことを、ちょっとだけ知って欲しかった。恐縮しつつ申し上げたい

【為替ガイドブック ら行た行か行-R、T】


日銀金利政策決定会議結果

2006-03-09 16:31:00 | ☆外国為替を読む

日本の経済指標関係発表でここまで注目されることも珍しいといえばそうですが、量的緩和政策の解除が公になったようです。以前にも記載したとおり、この決定は利上げの大前提ではあるものの、即ち利上げを意味していません。

事実、7対1で公定歩合は据え置かれましたが、情報によれば利上げに関して本格的に考慮する場合、CPIベースでインフレ率が0-2%を上回る場合である、というある意味で禁断のインフレターゲット的発想を打ち出していることです。

といっても、かのGスパン前FRB議長下の米国を中心にした世界金融システム下ではインフレターゲットは禁断でしたが、後任であるバーナンキ氏はこの方法論に関して、さほど否定的ではないということを聞いたことがあります(ただし、CPIでインフレは図り切れないとも)。インフレターゲットのどこが禁断であるか、厳密には図りかねますが(勉強不足です)、要は金融システム上重要な政策金利決定が、発表されるインフレ率によって誰にでも先読みできてしまうところ・・・?

だとすれば、今の日本が2%を越えるインフレなどはそう直ぐにはありえない・・・という予測もできることから、ならば利上げも暫くは無い!!という結論が導かれているようです。これを受けて円売りがやや優勢、株式市場も企業の資金調達コストの上昇は暫く回避、と受け止められ日経平均は急上昇しています。

ただ、非常に気になるのは、ここ数日に渡り資源関連の相場が下落しています。確かにドルへの先高感も手伝ってドル買い=資源売りという理由は成り立ちますが、単純に投機筋がこれまでのポジションを閉め始めている・・・と捉えるなら、ドル円相場でのドルや日本株は返って売り込まれるのが自然というシナリオもあるようです(というのも大方の意見では円売り株買いのポジションが相当量あるとも・・・)。

近視眼的に観るなら、ドル円相場は下値117.50割れか、上値118.20(一度付いていますが・・・)を再度上抜いたらどちらにもストップロスが控えていそうですね。各通貨ペアともに現在の水準に対する思惑は様々なようです。結論としては・・・注目度の割には何となく中途半端な日銀発表でした。【あと】


新興国市場通貨【EMAERGING CURRENCY / EXOTIC CURRENCY】

2006-03-09 10:05:31 |   -FX実用相場用語

通貨発行国の色分け的な総称で、近年に入って経済的発展が顕著で、国力も全体的に向上しつつあるような国々が発行する通貨のこと。読んで字の如し・・・だが、G7通貨といって、メジャー通貨+準メジャー通貨のように流動性が高い通貨の総称があり、この用語との対比的に派生し、一昔前ではエキゾチック通貨などとも呼んでいた記憶がある。

ではどこの通貨がこの部類に属するのか?・・・といえば非常に感覚的なところがあるが、G7ではなく、かつ通貨需要がある程度あることが条件なのは確か。一部南米通貨、東南アジア、東欧などが著名だが、通貨管理が著しく厳しい国の通貨は、いくら目立つようでも個人的にはあまりピンとこない新興国市場通貨もある。

個人的には暫くコアな金融市場から遠ざかっているのでイメージが出ないが、BRICSといわれる新興市場国通貨でも、ルーブルや人民元、ルピーは全くといって良いほど印象が無い。もっとも彼らですら自国通貨建で通商を行っているとは思えず、外国為替が発生する機会も限定的だからという理由も推測できる。

早くも10年ほど前になるが、当時でもレアルやクラウン、ズロチ、フォリント、ルピア、リンギット、バーツ、ランドなどは限定的な市場においてではあったが相場が建っていたことを懐かしく思い出す

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取引営業日【DEAL DATE】

2006-03-08 09:39:44 |   -FX実用相場用語

ニューユーク現地時間17:00を起点にして以降の24時間を同一日とする国際金融取引での1日間で、かつ該当通貨の中央銀行が業務を行っている日。

24時間取引である外国為替取引では、世界中のあらゆる時間軸の中で様々な通貨ペアが取引されている。取引相手は同じ国同士であるとは限らず、時間を統一するためには一定の尺度が必要だが、主要な金融市場で最も遅く開場するニューヨーク市場の終わりを世界の金融取引の終わりとして、この時間を持って金融上の当日が翌日へと移る。

しかし、同一取引日でもどこかの国や地域の祭日によってその通貨を管理する中央銀行が業務を行わない場合、その日の該当通貨の決済が基本的にはできなくなる。従って、そのような日は該当通貨にとって取引営業日とはならない。

バリューデート(決済応答日)の計算には必ず取引営業日を1日と数える必要があり、各国の非営業日には注意が必要だ。

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キャリートレード【CARRY TRADE】

2006-03-07 15:42:47 |   -FX実用相場用語
外国為替取引を投機目的で行う場合は通常フロー、つまり相場変動のみに着目して取引される場合が多いが、通貨ペア2通貨間に大きな金利差が存在している場合、相場変動に加えてその通貨を保有することで得られる金利差までもを見込んだスタンスの取引。

もう少し踏み込むと、相場が上昇しそうな高金利通貨が見込まれたとき、金利の安い円通貨を借り入れ円売り高金利通貨買いをして維持することで、金利差益と相場差益を享受しようとする方法も可能であり、例え対円ペアが選考されても日本の非居住者が取引できないことはない。

相場が反転して高金利通貨の上昇が望めなくなったり、2通貨間の金利差が縮小するような地合いとなった時には解消取引が発生するため低金利通貨が急激に高くなる一時的な現象を引き起こすとされている。

こぼれ話
以前にもキャリートレードが話題になったことがあったが、実情はさほどでもなかったという経緯がある。株式やモーゲージで上昇すれば10%以上になることは難しくは無く、金利差の5-6%を維持する通貨が最終目的であることは稀かもしれない。通貨の先に何かが存在すれば、それは通常の海外投資と何ら変わらないことになるが、個人投資家が証拠金取引で行う金額が世界的に続伸する昨今では、或いはインパクトがある取引額に達していないとも限らない。

実際に英語表現でキャリートレードと言うかどうかは定かではないが、個人的には和製英語のような気がしている。

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CTA(投資顧問筋)【CTA】

2006-03-07 11:39:00 |   -FX実用相場用語

正確には米国CFTC(商品先物取引委員会)管轄下の投資顧問で、Commodity Trading Advisorsの略。理解に間違いが無ければ、いわゆるファンド運営をするために必要な免許だが、顧客資金を直接預かることはできない。顧客資金を預かるためにはFCM(Futures Commission Merchant)のステイタスが必要。

最近になって一部ニュースソースで目にするようになったが、米国発で証拠金取引を使った短期モデル系ファンドの代名詞としてCTAと表現するようになったのではないだろうか。投機筋を表す代表的なものに“シカゴ筋”という言い方がある。ファンド筋の呼び名は時流によって変化するが、一昔前はヘッジファンド、少し前ならモデル系ファンド、などという呼び方が流行った。

彼らの殆ど全てはいわゆる実需を基本とした為替取引を市場に持ち込むのではなく、差益を狙って為替を取引している専門家集団である。差益が目的である場合は100%の資金が必要ではないマージン(証拠金)取引で資金効率が高い取引を行うケースが目立つようになってきた。

こぼれ話
ヘッジファンドと言えばLTCMやソロス氏率いたクウォンタムファンドが有名でした。破綻や解散の憂き目にあった巨大ファンドでしたが、巨額の資金をつぎ込めば相場を動かせ、利益を上げられる・・・というのは妄想であることが証明された形です。解散の理由に「大きくなり過ぎた・・・」という言葉があったことを記憶しています。

影響力を持ち始めると彼らの動きに対して市場は敏感になり、便乗組みが増える→売り切る前に価格が動く→売りコストが悪化→買い戻す→便乗組みが先に買い戻す→買いコストが悪化→収益性が落ちる・・・からだそうですが、市場では結構よくある話です。

一流の投機家はこんな状況でも、市場に打ち込んでくれたディーラーにもきちんと収益が出るような注文方法を採用していたそうです。ソロスはハンガリーの英雄ですが、片やミスを突いて拾ったも同然の巨額収益が正当化される日本では決して育たない文化なのかもしれないですね。【あと】

 


ECB利上げ

2006-03-07 10:15:32 | ☆外国為替を読む

おはようございます。
暫くお休みしていた為替ニュース専門サイト「FOREXPRESS」さんの為替コラムですが、久しぶりに復活です。読者の皆様、コラムニストの皆様、今後も宜しくお願いします。

さて先週の話になりますが、ECBが0.25%の再利上げを行いました。前回の引き上げの際にはトリシェECB総裁は「決して連続利上げの開始を意味しない・・・」と繰り返し、無意味にEURが高くなることに対して警戒を強めていました。

もちろん唯一の輸出大国ドイツへの配慮もあるのでしょうが、当時欧州系の事情に詳しいドイツ在住の方とお話をする機会がありました。その時のユーロは対ドルでも下値を更新中で、発表される経済指標はぼろぼろ。個人的には1.12台の可能性を考えていたころです。原油が高騰し物価だけが上昇するという、最悪のスタグフレーションか・・・との憶測も飛び交う中、かの方は「ECBは利上げをすると考えている」と話しておられました。

個人的には、かなりショッキングなコメントでしたが、欧州全体を配慮すれば止むを得ないという理由を聞き、なるほどと納得した記憶があります。実はユーロ圏にはかなり広範囲にわたって詳細な決め事があり、ユーロに加盟する恩恵と引き換えに決め事を守ることが義務つけられている格好です。ユーロが本格始動を始め、先進国はより安価な労働力を求めて、準先進国へと工場などを移設し、結果的に準先進国は潤った半面で、物価が上昇。つまり、ECBの低金利政策に合わせていては準加盟国が持たなくなる可能性があり、ECBはこれらの国々に配慮するためにも利上げを行うしかないのだ・・・という説明でした。

周辺国にとって、ECBより高い水準に金利を置くことはなかなか困難であるにもかかわらず、消費者物価はECBより高水準と言うジレンマが未だに解消されていないようです。ECBの金利政策は域内が云々というより、準加盟国など周辺国の物価が安定するまでは、上昇のバイアスがかかるのかもしれませんね。【あと】