外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

ロールオーバー(繰越)【ROLL OVER】トムネ取引

2006-03-10 13:43:02 |   -FX実用相場用語

当日のポジションを翌取引営業日に持ち越して継続すること。
取引を繰り越すということは、決済日(応答日)も翌日営業日に繰り越すことと同じ。

どの時間をもって繰越とするかは、ニューヨーク時間午後17:00をまたいだ時点とするのが、世界的な市場ルールである。17:00をまたいだ時点で取引日が変わるためこの時点で運用などが1日経過したとみなされ1日分の金利差が反映される。極端に言えば16:58→17:02でも1日分の金利、17:02→16:58は金利なしである。
このタイミングで取引すれば一儲けできそうな気がするが、数ポイント分の金利差が見込まれた値動きをする場合が多く、そううまく行かないと思われる。どなたかチャレンジされた方がいらっしゃれば、是非結果報告をお寄せいただきたい。

繰越作業をするためには、フォワード(スワップ)取引のトムネ取引を利用するが、どのように決済日が繰り越されるのか解説しよう。ここでの説明は、どのようにしていわゆるスワップポイントというものが発生するのかをご理解いただくために、あくまで銀行間市場での外国為替取引の解説である。

証拠金取引となると、取引を行った投資家はこのような作業は事業者(最終的にはカバー先金融機関)が行うことであり、考慮する必要は無く、繰越コストとして発生するポイントを授受するだけで完結する。証拠金取引の影にはこのような作業が実際に発生しており、手数料の一部となっている。

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ロールの仕組み 

① 13日にドル買い円売りの取引を行った(あるいはこの時点でポジションがある)と仮定する。
バリューデート(決済日、応答日)は2営業日後なので、15日にはドルを受け取り、円を支払う資金決済が控えている。

② ポジションをこのまま繰り越して取引営業日が14日になったと仮定する。
14日のバリューデート(決済日、応答日)は16日であり、例え14日になってこのポジションを決済をしても資金決済は16日に行われるので、依然と控えている①分の資金決済(ドル資金が振り込まれ、円資金を支払う)のうち、売り渡す円資金は確保できない。

③ そこで②の14日に、明日(15日)→明後日(16日)のスワップ取引(トムネ取引)を行う。

トムネ取引
明日(15日)側取引内容

明日(15日)の取引では①の資金決済で、支払う円を調達するのが絶対条件→円買いドル売り
この取引で売るドルは、①の資金決済で入ってくるドルを充当→ドルはスクエア

明後日(16日)側取引内容
トムネ取引では15日側取引の反対(スワップ)を必ず同じ相手と行うのが規則→円売りドル買い

④ 結果は
①の13日取引の15日資金決済は実行され、持ち越された②の14日取引の16日資金決済内容である「円売りドル買い」が残るが、実は①のポジションと同じ資金決済内容(ドル買い円売り)と一致、つまりは取引日の繰越と、資金決済日の繰越が実行されたことになる。

では、肝心の金利差はどこで発生するか

15日にドルを買い受けてくれて16日に売り戻してくれた相手は同じなので仮にA銀行とすれば、A銀行は価格変動のリスクなくドルを1日運用できたことになり、ドルに発生した金利から手数料を差し引いた残りを割り引いて安く売り渡してくれる。
一方で、自分はAから円を買って(借りて)、1日後に売る(返す)予定なので、円を1日運用したときの金利分を上乗せして返す・・・つまりAが円を買い戻す時の価格は安く売り渡してあげる。

当然、円とドルには金利差があり、ドルで割引いてくれた額のほうが、円で割り引いてあげた額より多くなるので、高金利を買って1日繰り越すと、自分は徳をする 
という訳である。

言葉にすると、このように壮大な行程が盛り込まれるロールオーバーではあるが、そこはプロ同士、パーツに分けて特化することで「せーの、ドン!」で仕上がることは事実!しかし、証拠金取引の利用者は考慮することなく簡単に実現してしまうため意識は無いかもしれない。当然なのは承知の上で、ただもし、個人で全てを行うなら、少なくともこれだけのプロセスをこなさなければ、ロールオーバーすらできないことを、ちょっとだけ知って欲しかった。恐縮しつつ申し上げたい

【為替ガイドブック ら行た行か行-R、T】