外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

スプレッド【SPREAD】ツー・ウエイ・プライス【2 WAY PRICE】

2006-03-14 17:30:35 |   -FX実用相場用語

外国為替取引価格は常に変化しており価格提示される際、取引相手の売り渡し価格(自分が買い付けたい価格)と取引相手の買い受け価格(自分が売り付けたい価格)が同時に提示されることが望ましい。この時の売り渡し価格と買い受け価格の差をスプレッドという。

例えば、現在のドル円取引レートが118.55-60だと仮定した場合、118.55が提示者の買い受け価格(売り付け可能な価格)、118.60が提示者の売り渡し価格(買い付け可能な価格)であり、その差である0.05円がスプレッドである。対円の通貨ペアでは0.01円を1ポイントとも言うので、通常は「5ポイントスプレッド」などと表現する。

外国為替取引はご存知のように、ペアとなる2通貨の交換比率を取引するが、ドル買い円売りをしたい者もいればドル売り円買いしたい者も存在するので、売値・買値を同時に提示するのが適正である。この提示方法を2WAY QUOTE(ツー・ウエイ・クオート)、その価格を2WAY PRICE(ツー・ウエイ・プライス)という。

スプレッドは取引価格提示者の保険的目的もあるが、基本的には取引を受けた報酬として手数料の一部となりやすい。売買が同時に成立するような場合はそのまま報酬となるが、相場が一方向に動く場合、事業者(或いは銀行)は売り渡した価格より高い価格で買い戻したり、買い受けた価格より安い価格で売り戻す場合があるので、必ず手数料として回収できるわけではない。

株式市場のことは詳しく無いが、為替市場との比較で一本値かどうかの議論が稀にある。ドルを株式に例えて言えば、1株118円前後で取引される株式があったとき、その時の板が買値117円売値119円だったとすれば、為替ではこれが提示価格であると言える。ただ、為替で売買価格が2円も開いている状況は絶望的で、通常は5銭前後で売値と買値の板が存在していると考えられ、銀行間市場ならそれが常に200から500万ドルの額で並んでいると考えられる。

為替を取引すると直後にスプレッド分の取引損が発生し、納得しがたいという意見があるようだが、株式市場では買った直後で売り取引をした場合、損失は無いのかどうか、疑問が残る。為替では取引直後でも反対取引の価格が存在しているので、それでの時価評価が直ぐに出来てしまうためにこのような現象が発生するが、もしも株式市場で同様の環境があれば、やはり取引直後でも直ちに評価損が発生してしまうような気がする。

2ウエイが望ましいとする所以は、例えばドル円でドルを買いたいとき、ドル売りの価格を知ることで、買い付け価格が適正かどうかを知ることが出来る。なぜなら多くの取引希望者でドルを売りたい者も存在するとすれば、余りに偏った2ウエイプライスで思わず買い受けてしまった事業者(または銀行)は、直ぐに売り戻すことにリスクが掛かるからだ。

こぼれ話
プラザ合意以降、ドル円相場は急激な円高に見舞われたことはご存知だと思われるが、1ドル200円台から一気に100円を見る流れでは、24時間で5円以上下落する相場は珍しくなかった。

そんな相場で興味がある取引価格はビッドしかない。とにかくマーケットが興味あるのはドル売り円買いに限られるからだ。しかし、経験の少ないブローカーが180円ギブン(180円丁度が売られたことを伝える言い方)のあと、「180.10売り買いなし」などとインフォメーションしようものなら、ディーラーからは
「ふざけるな!ビッドを持って来い!!」

と、罵声を浴びたものである。一方では「117.90買いノー・オファー!!!」、つまり117.90買いがあると伝えられるブローカーは間髪を入れずに取引が成立してゆく。しかし良く考えれば、この時の市場ベスト価格は117.90-118.10であり、見た目は悪いプライスであり、90を売った時点でいきなり20ポイントの評価損が発生することになる。

しかし現実はどうか・・・?

あっという間に70がギブンし、117.60-80では10ポイントの含み収益が発生する。
要するに、値洗いするレートがあるがために、直ぐに反対売買をしたときの評価額がでてしまうということは確かだ。117.90-10の20ポイントプライスと、この時に117.80-83の3ポイントプライスでは、20ポイントプライスの方が優れている、ということもまた確かである。

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