HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

INNER KINGDOM by FoZZtone~physicalのゆくえ

2012年10月13日 | FoZZtone
床を打つ足拍子と手拍子から始まる「LOVE」
まるでQUEENの「We will rock you」のごとく
この地球という星に挑戦状を差し出すかのように
力強く地面を響かせていくのです。

心が折れそうな時にこの歌を聴くと
なんだか「まだやれそうだ。」
そういう気になってくるのです。

私の体は私を見捨てない。
空気が抜けたビニール人形のようになった自分の心を
生身の自分の体がぐいっとひっぱりあげて
一生懸命に支えてくれている。
そんな感覚に陥る歌なのです。

FoZZtoneの2枚組アルバム「INNER KINGDOM」の
Disc physical~Beautiful geneはそういう一曲から
始まります。

「FIND OUT」はどういう時にできた曲なのでしょうか?
ビルが立ち並ぶ町
さがす銀嶺

前のライブの感想にもこの曲について
書きましたが、すごく60年代の音楽の香りがします。

♪僕は悲しくなる
シンプルを通せない
君にも仕事にも
この景色にも

このフレーズにいろいろな事が凝縮しているようにも
思えるのですが、ほんとうにシンプルって難しい。

シンプル イズ ベスト

なんてキャッチフレーズのように言う人がいるけれど
これが意外と難関なのですよね。

ビルとビルの間で迷子になったことってありますか?
私はあります。
しかも、よく知る場所で突然、上を見上げてビルを見ていたら
一体自分はどこにいるのかわからなくなったことが
あるのです。それもまだまだ若い頃です。

私はもともと京都育ちなので家から三方、山がみえるそんな感じでした。
だから、大阪や東京へ行くと山をどこか探しているのですよね。
そこにあって当たり前のものがない居心地の悪さ。

この歌を聞いているとそういうことを思い出します。
これはきっと外へ向けての無機質な感情とそこで忘れかけた
昔の自然と触れ合っていた感情を見つけようとする心の中を
歌っているのかなとも自分の勝手な解釈で思っています。

だからとても物悲しく響くのでしょうね。

「TOUGH!!!」のOMAバージョンとこのアルバムバージョンとの
最初のイントロの部分が違うのですよね。で、このイントロの
部分がすごく好きです。

今聞くと、なんだかこれも60年代のポップなアメリカンテイストが
溢れているなと思ったりします。
一方で、ベースのところがジョー・ジャクソンの「ステッピンアウト」
のあの体にずしんずしんと響く心地よい感じに似てて
そこも大好きだなと。

僕のエゴを守りたいと思うんだよ

君のエゴを守りたいと思うんだよ

まさにこれにはミュージシャン側もファン側もTOUGH!!!じゃないとね。

揺るがぬ勇気で

「Beautiful gene」

渡會さんが明朝体がこの上もなく好きだというものだから
私が仕事で使う日本語のフォントは明朝体についついなってしまっています。
ちなみに英語のフォントをcomic sansにしてたら、それ幼稚だから
centuryにしてとひとつ上の同僚に言われてしまいました。
でも、いろいろ使い分けています。

FIND OUTの歌詞に使われているのはapple casualっぽいなとか
このアルバムの歌詞カードにいろいろ出て来る英語のフォントが
結構おもしろいです。
Beautiful geneのところはArialかなとか。


"right as rain"という表現は、イギリスで使われる表現で
イギリスでは雨天の方が晴天よりも多い為、雨が降る方がかえって正常な
天気であるという事から、「(イギリスで雨が降るぐらい)正しい」といった意味の
表現として使われて、「いたって正常!元気だよ。」っていう感じで使ったりするそうです。

以前、京都のSOLE CAFEでも渡會さんがこの言葉について話されてましたよね。

あと、ロングヘアーへの偏見っていうところで彼はショートへアの方が
好きなのかなって。「再脱走のテーマ」にもショートカットの女の子が出て来ますよね。

「Fish, Chips, Cigarettes」

この歌については以前にも書いたのですが、このベースがすごくいいですよね。
ストレイキャッツのようで。体が自然と動いてしまう感じ。

♪釣り合わない釣り合わないものよ、愛は

っていうところがどれだけ好きかっていうほど好きです。

ガラみたいな女性に出会ったのか
出会いたいと思っているのか
わかりませんが、年上の魅力的な女性を
思い描いた歌のような気がします。

それが現実にいる女性なのか
映画の中の女性なのかわかりませんが。
日本の女優で言ったらどういう女性かな~。

木村多江さんみたいな人に
もしこのタイトルで映画を撮るならそのガラ役をやってほしいな~。

と突然妄想に入り申し訳ありません。
で、ダリ役はオダギリジョーかな~
あるいは小栗旬か松山ケンイチって
結構メジャーな俳優言ってしまってますね(笑)

話がそれました。

この歌のタイトルのFish, Chips, Cigarettesや
Scotchwisky、Socks, Pants, Mufflerとか
どれもイギリスを思い出しちゃいます。

そこにスペイン人のダリを投入という自由自在感
が好きです。

「Club Rubber Soul」
このサウンドはスカの要素が入っているのですが
どこかthe Clashを思い出してしまいました。

パンクであってロックであったのに
レゲエやスカのサウンドをふんだんに取り入れていた
the Clash。彼らの遺伝子もここに受け継がれているのかもしれません。
この曲を聴くと10代の頃の大人の世界を想像しながら混沌としていた
自分にふわっとトリップします。

「half myself」
これを聴いたときに浮かんだのはジェームス・ブレイク。
ジェームス・ブレイクも異色な感じで私は好きなのですが
このような変則的なサウンドを日本語でやってしまうという
ことにまず驚きました。

リズムとか間とか間違うとほんとうに哀れになり得る音楽を
このようにスタイリッシュに美しく歌にしてしまった
FoZZtoneを本当にいろんな人に聴かせたいと思います。

「LOVE」と「half myself」で
3月から10月まで歌われていますよね。
11月から2月までは今度はどこで歌われるのでしょうか?

♪大概僕は通りすぎてから酷い嵐だったと知るんだ

♪9月の秋雨 思い出したように僕は泣いた

この歌詞がすごくせつなくて心に響きます。

「GENERATeR」
こういうサウンドが音楽的にはものすごく好きです。
テンポが早くて、走っている感じの。
ニーチェとかデカルトとか忙しく登場して
言葉の韻遊びというのか、それが耳にいい感じで馴染みます。
慈愛、情ってG.I. Joeって聞こえるし、

笑われてもいいから踊れてたい

笑われてもいいから鍛えなさいよ

即座に覚醒

とかほんとうにこの渡會さんというかたはご自身で言われるだけあって
天才ですね(っていっても、お高くとまる感じのとは違って
彼の反体制的発言と受けとめていますが)

「water line」
これをライブで聴いた時の感動が何度も蘇ります。

渡會さんは日本のピーター・ガブリエルになれるんじゃないかと
思うほどのプログレの流れを受け継いだロックサウンドです。
あるいはスティングを彷彿します。

earth to earth
ash to ash
dust to dust

とかの歌い方も好きだし

迎える太陽にステップを踏み出す

そうシャーマンの歌う通り

とかの歌い方もすごく好きです。

なんというか語りかけるような歌い方というか
そしてそのバックで流れる演奏のそれぞれが
研ぎすまされているのです。

この歌に流れる水はどこまでも
透明なそんな気がします。
そしてとても冷たい水。
冬の朝のような空気を伴う水。

そんな感じがして、心が本当に洗われるようです。

またこの素晴らしい曲を生で聴きたいです。

ラストの「MOTHER ROCK」
この曲が世に出てから彼らのライブで聴かない時は
なかったように思えます。アコースティックライブでもです。
この曲は彼らにとってきっととても大事な曲なのだと感じます。

以前、この曲について書いたことがありますが、
アルバムバージョンはラストがちょっと違います。

母なるロック。

ふとジャニス・ジョプリンや
ベッド・ミドラーとかが浮かびました。
以前は他の女性アーティストを書いていたのですが。
それも含めて、ロックの世界にはすごい女性ロッカーたちが
いるのです。

FoZZtoneのファンの方には是非海外の女性ロックシンガーたちの
あのタフでパワフルで肉体全開な感じを一度体感してほしいなと
思います。きっとさらにこのMOTHER ROCKが深いサウンドだと
感じると思うので。

ラストのところのライブ感がなんか
昔のロックバンドのライブっぽくて好きです。

どこかT-REXを思い出したり。

あるいは始めの方はポリスを思い出します。



このphysicalの方を聴いていて感じたのは

肉体そのものというより
それを形成していった細胞の方をすごく感じました。
果ては遺伝子。

どこから自分が来て
どこまで行くのか

あるいは自分がロックをする理由みたいな
そういうものを探索しているような
そんな気すらしてしまいました。

そして、このアルバムを聴いていて
同じ音楽を聴いてきた人間同士が
どこかで必ず出会うんだというのが
すごく感じられました。

年齢も場所も時をも超えて
それこそ太古からの遺伝子が
ロックを携えて
それぞれの体内に入り込み
そうして、ロックを求めて
こうして出会ったのですね。

まったくこのアルバムとは関係ないけれども

パウロ・コエーリョの「アルケミスト」に出て来る
「宇宙のことば」はもしかして
ロックという音楽なのかもしれないとふと思いました。

「そして夢の追求の過程で彼はやる気と勇気を常にテストされていた。
あせってもいけないし、いらいらしてもいけなかった。」

「食べるときには食べる。そして動く時が来たら動くのだ。」
            (「アルケミスト」より引用)

まさにこれはphysicalですね。

きっとFoZZtoneもこれからこの「アルケミスト」の少年のように
いろんな前兆を解釈しながら、よい方向を見極めて
大事な何かを探して旅を続けるのでしょう。





















コメント
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