奥日光に来ています。昨日(10/25)は、6時10分にうちを出て8時15分に赤沼駐車場につく順調さ。師匠が呼びかけた鳥友も、大谷PAで一緒になるという偶然。
赤沼駐車場は空いていた。毎年同じように混むわけじゃないのか。そういえば、いろは坂の紅葉は今一つ。中禅寺湖もまだちょっとという感じ。それより標高で百メートル高い戦場ヶ原のカラマツの黄葉が始まって8分程度、見事に緑のもみの木などと色を分けて風景を彩っている。
日光白根山が雪を付けた山頂部を、手前の山の上に突き出している。直ぐ側の男体山は崩落したところに昨夜来の雪を残して 、どんど居座っている。居並ぶ大真名子山、小真名子山、太郎山、山王帽子山、三ツ岳と輪郭をくっきりとして、曇り空に鎮座する。やっぱり奥日光は、こうした山々に囲まれて落ち着きを取り戻す。
今年はズミの実が不作だという。そのせいか、鳥も少ない。昨年は、駐車場の脇からマミチャジナイやアトリ、マヒワが歓迎してくれたのに、今年は鳥の姿が、ない。ズミの実の不作を鳥たちはどのようにして知るのだろう。現場に行ってみて、ないと知る現場主義ではなく、もっと高い経験値を用いて、ズミの実が今年はできが良くないと予め知っているかのようである。
赤沼から北の農場の方へ入る。トビがたくさん山王帽子山の方へ飛んでいく。うんと遠方のカラマツの木にトビが9羽も居並んで止まっているが、果たして何をしているんだろう。1時間ほど後に光徳の上空に20羽くらいのトビが舞い飛びながら上へ上へと上っている。トビ柱だと鳥友は笑うが、タカバシラのように舞上っている。これからどこかへ渡るとでもいうのだろうか。カケスが2羽上空を声もなく飛びすぎる。遠方に小鳥がいるが、何かわからない。アオゲラの声が聞こえる。畑の杭にモズが止まっている。おっ、こちらにもモズがいる。
2時間余、これと行った鳥を見ることなく、森の中を歩き、三本松駐車場に着く。ここの駐車場も人がいっぱいだ。戦場ヶ原展望台に行くが、鳥影は見えない。光徳入口まで歩いて、北戦場ヶ原の方へ踏み込む。鳥友は皆さん、なかなかの健脚。師匠に木や草の話を聞きながら、歩いている。
北戦場ヶ原を抜けて、湯の児への木道分岐に向かっていると、小さな鳥がカラマツの木やもみの木に群れている。上空を小鳥の群れが飛び去る。コガラがいた。シジュウカラもいるよと、誰かが言い、見るとそうだ。エナガ、ゴジュウカラ、ヒガラもいる。あっ、キバシリと声が出る。向こうの二股に分れている木の右の方に上っているという。いたいた。入れ代わり立ち代わり、小鳥に群れが飛び交う。飛び交いながらおしゃべりをしているように見える。
湯滝への木道は「通行禁止」とあって、ロープが張られている。泉門池の方へ向かう。湯川を渡ったところで、泉門池の方には、湯滝から森を抜けた小学生の列が、やってきているのが見える。そうか、修学旅行か。彼らもお昼どきだ。こりゃあ、泉門池でお昼をとるわけにはいかない。ま、ここの木道はこの先が通行禁止になっているから、邪魔にはなるまいと木道に腰掛けてお昼にする。ちょうど12時。結局誰も通る人はなく30分ほどを過ごした。
泉門池へ向かうときに、向こうからやってくる小学生の列とすれ違った。2本の木道の右側に寄る。それを見て列の先導役が「右に寄れっ」と後ろを向いて声をかける。小学生はすれ違うときに、「こんにちは」「こんにちは」と挨拶をする。ふざけるやつもいる。適当なやつもいる。それがうるさい。
泉門池はあまり人がいない。いつも見える男体山は雲の中。おっ、なにか、いる。カワガラスだ。こんな流れのないところにいるなんて珍しい。チャポッと潜り、出てきては石や倒木に乗る。鳥友はリュックから望遠レンズを取り出して構える。尾羽根と体の黒色が違うのねと別の鳥友は師匠と話している。小学生の列がやってきては、泉門池に立ち寄らず戦場ヶ原の方へ向かう。あれに追いついちゃあ嫌だなあと思ったが、杞憂であった。彼らの足は速い。声を聞き、草花にかがみこみ、鳥を探して双眼鏡を構えていては、追い越すどころではない。おかげで静かな散策になった。
青木橋を渡ったところでヒガラに出会った。2年前に取り替えたばかりの木道が随分いたんでいる。行き来する人が多くなった。戦場ヶ原の枯れ草の背が高く、虫を探す鳥は見えない。向こうの枯れ木のてっぺんにノスリが止まっているのを見つけた。こちらに腹を見せて、バンドがよく見える。鳥友カメラマンは背景に山が入るように場所を移動して、シャッターを押す。小学生の列が、また、向こうからやってくる。木道の所々に設えてある幅の広い観覧台によって彼らの通過を待つ。湯川にマガモが何羽もいる。オスばかりでなく、ペアを作っているようなペアが次々と現れる。対岸の藪の中でジェジェとなく声が聞こえる。ウグイスかなミソサザイかなと話している。「ウグイスはさっき見たよ」と一人がいい、落ち着いた。先へ行こうかと思ったが、まだ小学生の列は続いている。川に落ちかかる倒木のうえに何か、いる。そう言うと、鳥友が「あっ、ミソサザイだ」と声を上げる。
どこどこ?
ほらっ、向こうの笹の根方。
ササって、どこもここも笹だらけじゃん。
あの大きな木の左方・・、
とやり取りが続く。ようやく皆さんの目にも入る。
地鳴きの主が両方いたんだと、鳥友の一人は喜んでいる。
その後また、小鳥の混群を見て、赤沼駐車場についたのは、14時30分。随分な時間、歩いた。1万8千歩あるよと万歩計を読み上げる。あるき過ぎだよとどなたかが嬉しそうな声を上げる。
雨も落ちず、黄葉の戦場ヶ原を経巡った。私たちは宿へ向かい、他の方々は帰途についた。ところが宿のロビーから外を眺めていると、アトリの群れが、傍らの木にやってきた。すぐ近くだから、はっきりと見える。
師匠はしかし、紅葉が去年より遅いという。去年は、あの樹のツタウルシが真っ赤だったのに、まだ高揚してないよと話す。なるほどそう言われれば、そうだ。季節の到来が早いのか遅いのかわからないね。
一夜明けた朝は雨が落ちていたが、今、明るい日差しが差し込んできた。じゃあ、少し湯の湖畔でも散歩して、それから帰ろうかと考えている。