どうしているか、乞う連絡
タイに住む私の友人からの連絡が途絶えて、半年になる。 十二指腸の辺りに腫瘍がある。良性か悪性か検査をしたら、このまま様子をみようという医師と手術して除去した方が良いという医師の意......
そうか、一年前かと思っている。その後、年が明けてから、タイにいる友人・Mさんと親しかったytgさんに消息を問い合わせた。まだ現役のytgさんもMさんが癌(?)という診断を受けたと知って、驚いてメールを打ったりしたようで、今年の1月下旬には、Mさんから電話がかかってきたと、私のところへytgさんから知らせがあった。その電話でMさんは、まるで夢の中で道に迷っているような話しぶりで、私とももう5年もやりとりをしていないと話したらしい。
おや? 耄碌し始めたか。あるいは手術の予後が悪く、未だ苦しんでいるのか。
そう聞いて、私もメールでなく、手紙を書いて送った。返信が返ってきたが、その文面は「助けてくれ。女房子どもに監禁されている。タイの日本大使館か領事館に連絡を取って救出してほしい」と(読める)たどたどしい文面。ytgさんと相談したものの、身内でもない私たちが「事態不詳」のまま、そんなことを外務省に依頼するわけには行かない。若いytgさんはスカイプとかをつかってか画面通しで姿もみたという。すっかり痩せて、奥さんに介助されている。「痛み止めを処方してもらっているというから、そのために妄想が起こっているのかもしれない」とytgさんは、医療に詳しい専門家の見立てを話す。そうこうして、ほぼ毎週のように私はタイへ手紙を送り、Mさんからノートの切れ端に書き付けた手紙を受けとることになった。
3月のひな祭りが終わった頃、ytgさんのところへタイのNPOボランティアから3月3日にMさんが亡くなったことを知らせてきた。奥さんが日本語も英語もわからないため、頼まれて送信しているというメール。それには葬儀の写真も添付され、生前、近所の寺院を車椅子に乗って散歩している写真も収められていた。
その3月の下旬、Mさんの義姉(兄嫁)から手紙を頂戴した。私の送った手紙がMさんの死後に届いたのが(読めない)奥様から送られてきて、「逝去の報告とお礼をいってほしい」と依頼されたと断ってあった。私の方からお知らせへの御礼とMさんと関わったいきさつや消息がわからず困惑したこと、ytgさんの助けを受けて手紙のやりとりができるようになったことを書き送ったのが、ほぼ半年前だ。
新型コロナのせいで、事実上国交も遮断されていたこともあったが、消息不明のままになってしまわなくて、ほんとうに良かった。一年経ったことを知らされ、Mさんとの46年間の付き合いを振り返り、若かったが勢いがあったなあと年寄りらしい感懐を抱いている。