-凸凹帖-

写真 奥野和彦

転がるカメラ

2021-02-26 22:14:47 | 写真


更新をする余裕がなくて
少し久しぶりになりました。

もうすぐはーるですねぇ。
でもまだあちこち移動出来る状況には無い。
なので古い写真をまた引っ張り出して
旅の気分になってもらえればと思います。
何度か使った写真も出て来るかと思いますが
これだけ長くやっていて
自分でもどこに何を使ったか分かりませんから
途中から見始めたり、しばらくぶりの人にも
まあ大体初めてみるようなもんです。
写真は説明なんかしない物、と決めてるけれど
たまには撮った時の話などをつけても良いかもしれない。

旅なんて言いますが
そんなにかっこいい感じじゃ無い。
なんかしっくり来ないから、
英語に置き換えてみようとしても
travel、journey、tripそんなに情感の
こもった感じじゃ無い。
移動、では言い足りないし
路上、とか on the roadとか言うのが
当てはまりそうな気もしますが
すでに沢山の方、先達が使った表現ですので
何か良い言い方は無いかと思ったりしますが
内田百間先生はご自分の旅そのものを
「阿房列車」と題してこれは実に素晴らしく
魅力的なタイトルです。
そのうちなんかいいの思い付くといいねと
心の隅に置きつつ

今日の雲の写真は
1990年ごろの夏の信州の空です。
いつもの様に彼女が
「車で国道20号線をひたすら走りましょう」と
突然言い出して、マツダファミリアXTで出掛けたのです。
その頃、EPHと言ったと思いますが
コダック社のカラーポジフイルムがあって
増感現像でどぎつく色を出す事に凝っていて
道中、色のついている物を片っ端から撮った記憶があります。
そうだ、まだ自分のカメラはキャノンで
T90 Tankというカメラだったので
相当な高速シャッターも切れてその撮影が可能だったことを
思い出しました。
あ、空の、雲の写真だった。
信州の夏の空は
空気が澄んでいるせいで吸い込まれる様な青さで
高所であるからか
そこに雲と言うよりは水蒸気そのものが
手の届く様なところを流れて行く。
そんな感じだったのです。

ついでに着せ替えて表紙になっているのは
那須辺りのどこかで撮った物だと思います。
こりゃあ良い写真になるゾと思って構えて撮るものより
なんとなく、でも撮っておくべき物として
撮ったのであろう写真があとでジンと来たりします。

線路の砂利

2021-02-15 20:04:19 | 写真


待てど暮らせど
人が現れない場合もある。
そりゃそうだよね。

このシリーズで写真展をと
思った事もあるけれど
写真展に魅力があるかどうか、今分からない。
だから初出もブログにしてしまった。
写真展を、言ってくれた人もいるけれど
本当に見せたいのは本。
本なら作りたい。
そう言っていながら
今日はある仕事場で知り合った方が
写真を展示しているグループ展を見に行って来た。
会場でその空気を吸ってみると
悪くは無いのだ。

嫌いだけど簡単に済ませるために
作品という言葉を使う。
次の作品はカラー作品と決めて
絵としてもこんな感じでって決めて
テスト撮影は当時持ってた
RZ67に90mmレンズでしたり
PENTAX67で撮ったりしたが
一番使いたかったプラウベルマキナ67を
最終的に手に入れて、
それからは流れるように撮影が出来た。

その後、使用しているフィルムに
製造中止の噂が立ったり
価格が大きく上がったりするし
現像後、まずはデータにしないと
使い勝手が悪い。
プリントで見たければ
自宅のプリンターでプリントをして
それが下手なラボより
自分の思った通りにはなるので
最初からデジタルカメラで撮るのでも良いのかなと
思う様になった。
いずれまとめる時には
ラボに出してカラープリントお願いしようと
思っても、ちょっとやそっとの製作費では済まない。
そうこうしている内に
マキナ以上に必要な機材とか出て来ると
その下取り対象になってしまう。

ただ、マキナについているニッコール80mmレンズの
写りは素晴らしく
画角もボケ具合も線の太さも自分の好みにちょうど良い。
出来ればデジタルカメラで
同じ様な撮れ方をするレンズが
見つけられればそれでも良い。
と思っていろいろ試して何年経つか。
そもそもやはり中判のレンズの雰囲気を
ライカ判のレンズに求めるのは無理な話か。
そう思うとまたマキナが欲しくなる。

JAPANESE ORDINARY

2021-02-13 00:49:16 | 写真


そういえば
スライドショーを一つ増やしてある。

例えば、
朝の防波堤にボールを投げて
野球の練習をしていた子のコントロールが狂って
海へ飛んで行った。
引き潮で潮がひいていたから
無事ボールを拾い上げたところ。

どこかの町へ行って
その町の特徴的な場所を見つけて
そこで写真を撮って来る。
出来れば、そこに住んでいるか
そこを普段から生活や仕事の場所にして
そこで生きている人が良い。
そもそもが観光地だったら
それはそれで観光客で良い。
その事が普通なのだから。
人も場所もセットで見つかればすぐに
シャッターを切れるが
人がいないと、フレーミングの中に
現れるのを待って、人が入っている事に
こだわって撮った。

所さんのダーツの旅 が好きで
ダーツでは無いけれど
身の回りにあるヒントから
そこへ、なんの準備も下調べもなしに
行って見たこともある。
昼に食べた鯖缶に書いてある工場の住所を見て
銚子の缶詰工場へ。
冷蔵庫にあった味噌のパッケージにある住所の
諏訪の味噌工場へ。
今はGoogleマップで行かなくても
そこの景色が見られちゃうから
そういうのは見ずに白紙で行く。
まずは目的地のあり様を拝ませて頂いたら町を歩き始める。
歩いている内にこの町はここで行こう
という場所がわかって来るから
そこに立ってカメラのアングルを決める。
出来れば人が画面に入って来るまで待って撮る。
入って来てさえくれれば誰でも良いし
写ってくれた人には申し訳ないが
誰でも良い。というか誰だと分からなくて良い。
誰だと分からない所で成り立っているのが良い。


レンズ考11

2021-02-11 20:22:15 | 写真
さて、めんどくさいですよぉ
長くなりますよぅ


ソニー標準ズームレンズの50mmあたり


テッサー50mm


サムヤン35mm


ジュピター35mm


ソニーPZ (APC-S)用標準ズームの50mmあたり

絞りは5.6で統一
当然撮ったままいじらずのデータ。
やって見たけれど
こんな風にしてしまうと
カメラ雑誌のテスト記事みたいで好きじゃない。
自分で好みで考えれば良いね。

まあ、真ん中のレースの写り具合だとか
外に干してあるTシャツの調子の出具合だとか。
オールドレンズ(テッサーとジュピター)は
発色が青っぽくて(あるいはSONYが黄色っぽい?)
コントラストが強め、額縁の下の影が暗い。
(ブログのページでは分かりにくくなってる)
それが自分の撮ろうとしている写真にとって
どう現れてくるかを考えてみる。
カーテンの左側にベランダのレンガ貼っぽい壁が
写っているけれど
これがどちらかと言うと外側に膨らんで歪んでるのが
ソニーのズーム2本と、テッサー
内側に歪んでるのがジュピター
ほぼ真っ直ぐなのが韓国レンズのサムヤン
デジタルだから直せるんだけど
女の人を撮ったときに膨らんで写るのはダメだよね。
ソニーの標準ズームは廉価の方だけど
そのレンガのところが他の4本より大きくボケている。
サムヤンはさすが現代の単焦点レンズだけあって
成績いいと思う。純正で造らない、レンズメーカーでも
造らない、普通のスペックの単焦点レンズを
韓国のメーカーが作ってくれてる。

私の購入してくる
オールドレンズは70年代のものと書いたが
その頃はまだモノクロ写真も多く使われていた。
レンズが東欧、ソビエト時代のロシア物だと考えると
欧米や日本の資本主義国の市場に比べて
まだカラーフイルムの利用は少なかったか
レンズの設計的にもカラーの発色までは
重要視されていなかったかも知れない。
どうだろうね。

私がこの違いで撮られたそれぞれの
ネガフイルムを持って暗室に入り
引き伸ばし機の前に座ったら
どのレンズで撮られたものを
プリントし易いと感じるのか。
柔らかでまろやかだと感じていたテッサーで
写したTシャツは白く飛んでしまっている
その調子は出るのか。
白黒フィルムだとまた違うのか。
ま、謎だね。突き詰めてやれば分かるだろうし
そのままでそれぞれの「味」と考えて
知っていれば切り札になったり、それも良しだし。

某日
この間買ったテッサーレンズを付けて
仕事場で使って見た。
全然駄目だった。
というのは、あまりにも
現代のオートフォーカスのスピードで撮るテンポに
撮り手も写る人も慣れてしまっていて
そのペースではピントを合わせられず
シャッターが切れない。
もっと1枚1枚をゆっくり話しかけながら
撮るような撮影なら良かったかも知れない。
もちろん普通のレンズで仕事はしているので
それで問題はないが
味付けでもう1パターンと
思って撮った写真はピントもこけ、
シャッターを切るタイミングもずれ、
どうにもならなかった。
もっともっと使って、慣れないとね。
つまり、
簡単に済ませようとしない方法を取るなら
そこに努力や訓練が必要になって
それでオリジナリティが完成されるということも
あるんだよね。

レンズ考10

2021-02-10 18:45:15 | 写真


6x6のスーパーイコンタは
何種類かあってどの種類も使って見た。
そのほかの蛇腹の6x6カメラもテッサーが
ついていれば買って使ってみた。
良い写真も何枚か撮れた。
しかし、戦後に作られて交換もされていない蛇腹は
いきなり写真バカにこき使われてすぐに破れてしまう。
破れるとその穴からフイルムに光が当たって
ダメになってしまう事が続いたので
蛇腹のない6x6= 二眼レフ
で、ローライフレックス3.5テッサー付きにたどり着く。

カメラは小さくてコンパクトに限る
筈だったが、写り具合が好きになって
大きさは我慢出来るようになった。
ローライは頑丈だから
イコンタのように蛇腹を気にすることも無かった。
結局スーパーイコンタでもローライフレックスでも
沢山写真を撮って、残ったので
2度、写真展をする事ができた。
始まりが、あの女の子の写真だったので
2人の息子の子育て期間とも重なって
優しい写真展になった。
時々、またローライフレックスを
ぶら下げて見ようかと思うけれど
現像やプリントがままならない。
その代わりの今回のテッサー購入かも知れない。

大人になったね、二人とも。
しんどい時期だが乗り越えてくれ。
心配かけて済まないが、がんばれ。
当たり前だが、ギターより、カメラより
家族が宝だと、つくづく思うよ。



レンズ考9

2021-02-09 19:22:18 | 写真


この丸い縁の感じだな。
昨日の金盥と同じあの。

まだ、ウィキペディアもあったかどうかの時代で
会社は銀座だったし
何より中古カメラ屋へ見に行くのが早かった。
はあ、これがスーパーイコンタで、テッサーか。
飴ちゃんみたいなキレイなガラス玉レンズ。
テストプリントの後、
写真展をしようと思っているという話になって
なんか変わった印画紙ないかな?
で、当時は色々選べたモノクロ印画紙の中から
これ、どうでしょうか?と持って行ったプリントが
気に入ってもらえて、いざ本番プリントと思ったら
現像ムラがひどく出てとても納品できない。
日によって、時間によって現像液の
濃さや温度の状態が微妙に変わる会社の現像機では
プリントにムラが出来るのだった。
テストの時はたまたま上手くはまってたらしい。
それを伝えに行くと
どうしてもこれでやって欲しい、何とかならないか?
と仰るので、自宅に持って帰って自分のうちで
現像バットでやらせてもらうことにしたのだ。

会社は痛し痒しだったろうけれど
自分としては面白い仕事をさせてもらったと満足していた。
が、直後に胃潰瘍で倒れて入院してしまったので
写真展は見に行けなかった。
病院のベッドでは、退院したら
テッサー付きのスーパーイコンタを
手に入れる事ばかり考えていた。


こちらはこちらで完成。
恥ずかしいので控え目に。

レンズ考8

2021-02-09 00:22:11 | 写真


思い出した事。
ある日、お得意様の広告代理店の写真室のカメラマンが
自身の作品用のプリントを頼みに来た時だった。
6cmx6cmの正方形のフォーマットで撮られている
その写真は、いつもその方が仕事で使っている
ハッセルブラッドとは違って
横にフイルムが送られている。
多分古い蛇腹のスプリングカメラで撮られたのではないかと推測した。

で、プリントを始めたのだけれど
頼まれたカットの中に、多分自宅用の、
小学生にはまだ上がらないかな?
ぐらいのお嬢さんが写っていて
スプリングカメラによくある事だけれど
隣のコマとちょっと画面が重なっちゃってたりして
その女の子のほっぺたやお手手や
そのぼやけた背景がとても1枚の写真として
素敵で、可愛くて
今までに見たことのないまろやかなトーンになるので
テストプリントを持って行った時に
どんなカメラで撮っているのかと聞いてみた。
あ、気になる?とか言って笑ったその人が教えてくれたのは
「スーパーイコンタなんだよ。レンズがテッサーのやつ。
ああ、良いねぇ、すごく良いねぇ、プリント。
蛇腹が少し破れてて光線引きもしてるから
上手くトリミングしてプリントして。」

ガン見

2021-02-06 21:05:10 | 写真


閑話休題

ザラザラの写真。
浅草の猥雑な感じを写真に撮ろうと思って
何度か通っていた頃の写真。
その後、アサヒカメラの持ち込みページに
応募して掲載してもらった事がある。
これはその時に使っていないが
街頭でのスナップショットの面白さが
分かり易い1枚かも知れない。

多分自分は
あー、アダルトビデオ屋さんね、と
冷やかし気分で撮ったのだろうけれど
後から見ると色々な事が写っていて興味深い。
街中でのスナップ写真ではシャッターを切る瞬間に
画面の隅から隅まで何を捉えてるかなんて
分かっていないことの方が多く
だからこそ、面白かったりもする。

子供は興味があるけれど見ないようにしてるのか
つまんないよ〜早く花やしき行こうよ〜なのか。

お母ちゃんなのかばあちゃんなのか微妙な感じの
女の人が誰よりもガン見である。
その頃、ガン見なんて言葉なかったけれど
ガン見と打ち込むとちゃんと変換されて出るんだね。

首からぶら下げたコンパクトカメラは CHINON
AUTO GLというらしい。
コンパクトカメラは皆こんな形してたなあとか。
後ろの男は通りがかっただけかも知れないが
お店の写真をさりげなく見てなくもないようだ。
まあ、いいや。
どうあれ写真はやっぱり面白い。


レンズ考7

2021-02-06 19:05:51 | 写真


今、人が手作業でする現像プリント作業というのは
世からほとんど無くなって
私の食べるための仕事は撮影業に限られている。
仕事を受けるということは
仕事を出してくれる人に使ってもらえる写真を
提供する事なので
ザラザラの荒れ荒れではダメなんだけど
かつての色々な経験の選択肢の中から
今度の仕事にはこんな事も出来るんじゃないか、とか
考えはするのだ。



全然レンズの話じゃなくなってるじゃん。
過去にもここで私が使っているカメラを
紹介した事があった。
その中には一生ものだと言い切った
テッサー(レンズ)付きのローライフレックス、
その後、カラーネガフィルムを詰めて
あちこち旅をしたMakina67、
それらは、もう手元に無い。
どうしても感材の製造中止や
安定して供給されない事態になっているので
出番が無くなってしまうのだ。
ローライフレックスはそのテッサーが
付いていたから使っていたようなもので
もっと上級機種には違うレンズも付いていたけれど
テッサーの素朴な感じの撮れ方が好きだった。
写真は子供が水疱瘡にかかり
熱もあるんだか少し元気もなく
ぼやーんとした日の写真。