鼻息の荒いカメラ小僧(学生?)がやってきて道端でバチャバチャやっている。君がすごいのはわかったし、やる気も十分、前向きに取り組んでいるのもよくわかったが、そこの道を我が物顔で塞ぐのはちょっとやめた方がいいな。気配りが出来ないとカメラマンは大成しないぞ。大成しなかったカメラマンが、昨日今日と朝早くからお台場近辺で仕事をしている。体調は相変わらずはっきりしないが、やる事はやらなきゃならない。唇に出来た熱の花(水ぶくれのぶつぶつ)朝、顔を洗う時に裁縫箱から木綿針を出して来て鏡を見ながらつぶす。これが腫れぼったく唇にあるのが喋るにも食べるにもうっとうしくて仕様がない。破いたあとに塗るのはVGでよかったかね?みってぃよ。クスリがなくなったら来なさいといわれた医者にも明日になれば行けるか。肺炎をやってもう済んじゃってるね。といわれてレントゲンを見たが、いまだにうすら咳が出て、キリッと胸が痛むのは明日またレントゲンを撮らなくてもどの程度になっているかわからないでもない。お昼前に段取りは終わってしまい、あと夕方の本番までブラブラしているしか無く、青海と台場の間を行ったり来たりでウロウロしている。TV局の前でファンがタレントの出待ちをして人だかりが出来ている。それを撮ってみようかと思ったけれどやめた。ミーとかハーとか昔は否定的だったが今、僕はそういう世界の中で仕事をするようになっている。そして最近やっとエンターテイメントというものも理解出来て来たので、行列も無下になじったりはしない。それを見ていて、日頃僕が撮っている写真をたとえばそういう社会現象ともごちゃごちゃに混ぜ合わせて写真展をやったら結構面白いものが見せられるかな、とちょっと思った。でもやめる。一番やりたいことではない。だいたいその写真を使う為にとる許可からして考えただけでも面倒くさい。写真展、なんて言い出したのはブラブラしてる最中、本屋で立ち読みしていたカメラ雑誌に尾仲浩二さんの記事が出ていたからで、相変わらずの尾仲ぶりにちょっと嫉妬したからだ。言わないと踏み出さないから、来年はどこかで写真展をします、とここで言っておこうか。言った以上はやるかも知れないし。どんな写真になるのか分かんないけど。お金にはならない、何の役にもたたない大事なものを飾らなくちゃ。そのためには、まず体調と気力を戻さないといけないのだけれど。
遅くに帰って来て早く納品作業に入りたいが、何件かメールのやり取りもあり、今日はこのケーキもどうしてもアップしたくもあり、なかなか仕事にたどりつかない。珍しく忙しかったようだけどあれ以来喉の調子が悪く、夜中に咳き込んで眠れなかったりそれ故早く寝床に入ってみたり。体調が万全ではなかったので忙しいような、しんどいような気になっていたのかな。明日からはまたいつも通り。何週間か前に誕生日を迎えたお兄ちゃんのケーキを思い出した。この間の試合の日、一年生の下の子は野球練習が無く、お兄ちゃんたちが試合をやっている球場まで30分かけて自転車で母親と一緒に応援に来た。30分一年生が自転車を漕ぐというのも結構大変だろうなと思った。自分も子供の頃たまに練習試合に行くチームのグラウンドがあって、そこは結構時間がかかった。そこへ行く時だけは途中の雑貨屋で皆が自転車を止めて休み、監督が一人一本づつジュースを飲ませてくれた。まだ缶じゃなかった。ビンのコーラとかファンタとか。今のように親が車で移動させるなんてことはなかった。道中、ゴム工場のにおいをかいだり、なし畑の捨てられて酸っぱくなった梨のにおいを感じたりしながらそのグラウンドへ行った。僕がそのグラウンドをよく憶えているのは外野に生えている草ににおいがあったから。暑い日射しの下でシリシリと虫が鳴いてそのにおいがムッとしていた。嫌なにおいではなかった。レモンのようなにおいだったか。そうするとレモングラスっていう草があったかな?と今になって思うが、その草について調べた訳でもないので分からない。当たり前だが、もう住宅地になって家が建っているのだろうな。今行ってみようったって場所も定かではない。待ち時間にケーキを見ながらボーッと考えていたのはそんなことだったよ。