-凸凹帖-

写真 奥野和彦

差しさわり

2016-01-27 22:06:49 | 写真


午前中の仕事と、夕方の仕事で間が何時間も空くので
いつものように本屋さんで立ち読みをして
今はスターバックスで時間を潰している。
本当はこういう時にちょっと郊外の町に写真を撮りに行けば良いのだと思う。
私の引きずっている機材の入ったカートは通常10キロほどの物が
入っているのでこれをどこかのロッカーにでも入れて行かなければならない。
ただ、時間はあっても仕事が控えている以上
ちゃんと都内に戻って来なければならない。
あまり遠くまで行ってしまって、交通にトラブルがあったりして
帰って来れなくなるとまずい。
それでいつも決行に至らないのだけれど。

こういうお店には
差し障りなく、コーヒーの写真だとか
豆が運ばれてくる過程の白黒写真だとかが壁に
飾られているが、店の外側から看板を見ずに
店内に目をやってもそのなんとなくの柄で
ああ、スターバックスなのだなとわかる。

ここに自分の撮った写真がかかっていたらどうだろうか。
誰もが自分の時を思い出してみる、水ぼうそうの子供のアップだったり
たらいで人肌に温めている哺乳瓶が立っていたり
バスがただ、駅前の角を出て行くところだったり。
…やっぱダメか。

スターバックスを出たら、もう夕方になっていて
ここは新橋の繁華街だけれど、カレーの匂いがする。
夕方とカレー。これは最高の組み合わせだ。

知らない街の夕方もいい。こんな夕方はいい。

気持ちが良いのでそばの和菓子屋で、お土産に桜餅を買った。
もう一つ、しっかり仕事をやって家に帰ろう。

後楽橋

2016-01-26 20:49:09 | 写真


空が青くて途方にくれる。

今年だとRuiとけいたとこうき。自分が6年生の時に
友達10人ぐらいで、大人の付き添いは無しで
まだ東京ドームでは無かった後楽園球場へナイターを見に行った。

野球が終わった後、大人しく帰ればいいものを
駅までの歩道の脇にこうらくえん遊園地の仮設ステージの様なものが置いてあって
そこへ登って学芸会の様なことをみんなでやり出した。
きっと、楽しくてハイになっていて
それを観戦帰りの大人たちが面白がって、おう、もっとやれ
なんてはやし立ててちょっとした輪が出来たりしたから
ますます調子に乗って選手のマネをしたり動物のマネをしたり。
だいぶ、人もいなくなった頃にやってきたのは
おまわりさんだった。

お前たちはどこから来たのかと聞かれ、
先生にいつも言われている通り、胸を張って元気に住所や学校を答えると
それじゃ急いで電車に乗らないと帰り着けないぞと言われた。
本当は交番に連れて行かれるところだったのが
終電間際だったことで免れた。自分はことをそんなに重大に考えていず
みんな、水道橋の駅でそれぞれこれから急いで電車に乗るからと家に
公衆電話をかけて、それから電車の中で急に黙りこくる子もいた。

船橋から乗る電車は終電の一つか二つ前で
わが町の駅に降り立った時には恐ろしい顔をした親たちが待ち構えていた。
駅に置いてあった自転車で帰ることは許されず
家の車か、親が来ていない子はよその車で送られた。
母には少し怒られたかもしれないが、父親は笑っていたように思う。

一緒に行った仲間の中にその年のPTA会長の子がいて
次の日に学校に行ったら大騒ぎになっていた。
おまわりさんからも連絡が入っていたようだ。
首謀者は誰なのかという、くだらない話になって
PTAは一緒に行った息子を連れて行かれた事にして私たちと親に抗議した。

ちょっと太っていたそいつは
特設ステージの上で、ブーブーとブタのまねをしてはしゃいでいたのに。
オレたちはブーブー言いながら
歩いて駅まで自転車を取りに行った。


この仲間の何人かでまた
高校時代に今度は歌舞伎町に繰り出して
そこでもちょっとした思い出を作ったけれど、それはまたいつか。











初心者になろう。今年こそ。

2016-01-25 22:01:21 | 写真


断捨離話のつづき。
生活を彩るものに囲まれていたいから、物が増えてしまうんだよね…
という気持ちがあるものの
だんだん歳をとってバイタリティーは低下するし
あれもこれも出来なくなる。
残りの寿命がどの程度あるかによって
もう使える時間もお小遣いもだいたい見えてくる。

与えれられた範囲で、
それでも何かをし続けていたいし
もちろん、ルーティンワークとしてのカメラマンを
もう来なくていいですよ、と言われるまではしているとして
あとは何をしていこうかなぁと考える。
仕事ではない部分の「写真」は、もうどうだろうか?
と考えるぐらい世の中において私の思うものとは変貌してしまい
現実の鏡として何かを訴えたり、見せたりするものではなく
個人において好きなように楽しんで完結するホビーになったのではないか。
ファッション的に目新しいものはデジタルでいくらでも
出てくるけれど、心を打たない。
自撮りが一番なんだろ。

じゃ、写真はやめてしまうかと思ってもそうはならない。
それはもう、昔に入門した時に死ぬまでやるって決めたから、それだけの話で。
オレはオレのやることだけは勝手にやる。あ、自撮りみたいなもんか。



今年に入って、一つやり始めた事がある。
すぐに飽きるかもしれないからまだ手探りだけれど
いつか写真の仕事も終わって、趣味で撮るのもしんどくなっても
ぼちぼち、やっていられそうなこと。

それにしてもなんて君たちのこれからは希望にあふれていることか。
体力と知恵と勇気と正義を備えて
時代は難しくなるだろうけれど果敢に立ち向かって行ってください。
カントクもお前たちみたいにヘッドスライディングしたいよ。
手、届いてねえじゃねーか。
危ないから、よせって言ってるのにやっちゃうなんてすごくカッコいいよ。
ずっとこの笑顔といたいけれど、もう数年だろうね。
それも断捨離?
そんな簡単な言葉ではすまないよ。






ダイジョウブ

2016-01-16 23:04:14 | 写真


土日はお昼から、あるいは朝から野球があるので
その時間にグラウンドに行く。
平日の自分の毎日から野球の時間に変わっていく。
体や頭や声が子供達のアップに合わせてその中に染み込んで行く。
バラバラに過ごしてきた一週間が一つに溶け合って回転し始める。
回転して一つの塊になって力になっていく。

冬休みにしっかり練習してきてね、と言ったら
本当にみんなちゃんとやってきたようで
お正月明けの皆がたくましく見える。バットにボールがよく当たる。
ケガをしてしまった子、ウィルス性の病気が長引いてしまった子、
辛い冬休みになってしまったけれど春はもうすぐ。

もう少しの間、冬のトレーニングは続けるよ。
低学年には厳しい時があるかもしれないけれど
みんなも厳しくて同じように頑張って乗り越えているんだ。
土まみれのユニホームがその証拠。
お父さん、お母さん、ハラハラしてるかも知れないけれど
頑張って乗り越えて見せて、そのハラハラをビックリに変えてやれ。
大丈夫、大丈夫。


無い物ねだり

2016-01-16 00:20:52 | 写真


自分の今している仕事は仕事場が決まっていない。
ここでやります、と言われれば北でも南でも行って写真を撮る。
それは楽しいと思っているけれど

反面、いつも自分の家にいて
1日ラジオが流れていて、
いつも同じ空気と時間が流れていて、
同じ時間に起き、食事をし、
コツコツと手作業を続けるような仕事にも憧れる時がある。