-凸凹帖-

写真 奥野和彦

ニュース

2019-09-26 23:55:37 | 写真


うれしいニュースとしては
今度の土曜日、双子ちゃんの体験入部いいですか?
みたいな事、
淋しいニュースとしては
一緒に働いて来たお世話になった人が
辞めますので、みたいな事とか
現場に出ればスケジュールの話
今日の進行の話。

カミさんからはあんたは自分の周りの事しか
目にも耳にも入らんのよね
と言われても仕方無し。
国連で地球温暖化の事を訴える女の子の
足元にも及ばない。



「よくもそんな事を。あなた達を許さない。」
と言われても仕方ない。
あの子のスピーチの映像が
強く、率直であればあるほど
結局、格好の「おいしいネタ」として
マスコミに扱われてしまっているように見える。
ペットのおもしろ動画と並べられている。
流している人たちに
違和感がもはやないのだろうという事。
マヒしている。

さあ、早速その温暖化対策として…
というニュースはなかなか出てこないだろう。
着目点が女の子がこんな事を言っている
という点であるから。
その後がどうなるかなんて事には
目も気も向かない。

さて、あの子の強い主張はその通り受け止める。
許さないと言われてしまった大人の一人として
その件についてでは無くて
何かむず痒いような、ちょっと納得いかないような
気持ちが残るのはどうしてか。

あの子の両親も、私たちも
決して未来の子供達に生きられない地球を
残そうと思ったことなど一度もないはず。
私たちが子供だった頃に、もちろん大人に、
世界に向けて、怒りたいことは沢山あったし
私たちの親、祖父母の時代には
未来どころか明日の自分の命を国に取られたり
人種差別によってガス室に送られて殺されたり
正しいと思う事を言う事さえ出来なかった。

そういう時代を何とか
世界の人々がまともにしようとして来て
一生懸命に働いて来て、
あなた方が言いたい事を言える世の中に
その事があっという間に世界に伝わる、
そんな風にもして来たのです。
この時代はそういう役割を担って来たのです。

世界中の子供達が
あなたのように賢く育って
地球を元に戻してくれる。
その事があなた方の世代に託された
役割なのかもしれませんよ。
私たちがやり切れなかったことは認めるとして
でもあなた方がきちんと大人に
なれるように私たちは育てています。
アメリカ大統領を睨みつけるのでは無く
学校には金曜日もちゃんと行って
勉強を出来るチャンス、人と関われる時間は
フルに使って
ダメな大人たちを糾弾するのでは無く
あなた達が肩を組んで、自分達の知恵と行動力と
誰からも愛される子供らしい笑顔で
地球を取り戻していって下さい。

たまたま私にも小さな役目を頂いているので
子供達が正しくルールに乗っ取って
丈夫な体に育つ事、
他者との関わりを持てるようにする事、
困難に立ち向かえる事、
私に出来ることはそれぐらいなので
ノックをします。


秋の入り口

2019-09-13 23:49:27 | 写真


私の住むマンションも線路の脇であり
建物を挟んで反対側は旧国道である。
なんとなく福手さんの仕事場と
環境が似ていなくも無い。
釣って来たアマゴを唐揚げにしてもらった。



リビングの椅子に座って
仕事をしたり
工作をしたり
向かいには奥さんが座って
テレビを見ている。
自分の道具も大体座っている椅子から
手の届く所にあって
筆記具、工具、充電器、PC、
福手さんの足元にはムヒがあったが
自分の傍にはキンカンが置いてある。



毎日、電車の音が普通に聞こえて
トラックの音が聞こえて
それで健康な社会が始まる。
騒音と考えればそうかもしれないが
世の中が動いている安定の音だ。



郡上八幡にも弓削にも越谷にも
今日がやって来てまた一日を刻む。
仕事が出来て、野球が出来て
魚が釣れて、真面目に生きる。



線路ぎわの作業場

2019-09-12 23:59:49 | 写真


長良川の強い流れの中から
鮎やアマゴを引き抜く
強さと粘りを持った郡上竿は
江戸の、粋でお洒落な遊びの為の
江戸和竿とは違って
実用本位の漁のための道具であった。
カーボンの竿が出来て、竹竿よりずっと軽くなり
魚は養殖技術が上がって安く安定して
供給されるようになったから
川の漁師も、古来からの竹竿も、無くなっていき
郡上でその竿を作る人はもう1人しかいない。



私達が昼過ぎて1時前に
開け放した作業場に着いた時
福手さんは
多分そんな風なんじゃ無いかと思った通りの姿で
リクライニング椅子に横になっていた。
車が着いても特に立ち上がるでもなく
ちらっとこちらを見てちょっと座り直したぐらい。
作業場の目の前に線路と国道があり
その向こうには長良川が流れる。



こんにちは、昨日お電話しました。
アマゴの塗り竿を見せてもらいに来ました。
5m前後のものはありますか?
てな感じで話が始まる。

おー、そうか、エサ釣りのでええかな。
ここにこれぐらいあるが、気にいる物があるかな。
と言って、何本か継ぎ始めて
持たせてくれる。



どんな所で釣りをするのかと
郡上弁で聞かれて
土地の事だと思って、埼玉の川です。と
うっかり答えた。
それは、広い川なのか、狭い川なのか
開けた場所なのか、生い茂った場所なのか
それを聞かれたのだとあとで分かった。
それで、薦める竿を判断してくれるのだろう。
しかも、埼玉じゃなくて栃木の川だし。



土間から座敷に上がるカマチに
5mとマジックで線が引いてあり
そこに竿を置いて
「ほい、ここが5mや。ちょっと越すぐらいやな」
と竿の長さの説明。
一本一本しなりも、バランスも違うので
やはり実際に手に取ってみないと分からない。
そして、それはそれで迷ってしまう。
みんな、いい。
施された簡単な装飾も少しずつ違う。

次男も持たせてくれと振ってみたかと思うと
車の中からいつものカーボン竿を出して来て
それと比べてみたりしている。

ほほう、どや、違うか?
とおじいさんはニコニコしている。

最初に継いでもらった竿が
しっくり来たのでそれに決めると
穂先を2種類付けてくれる。さらに、
この竿にしか合わない穂先があった筈と
もう一本、束の中から見つけ出して
それをその場で余っていた竹に桐棒で栓を付けて
穂先ケースにして添えてくれる。



遠い所からお出でてくれて
ワシも85や。
いつまで出来るか分からんし
まぁ大事に使うてよ。
調子悪くなったらパイプに入れて
送ってくれたら見るから。

思い入れて物語的に考えれば
そこで何か託された様な気がしたし
そこに自分の息子が立ち合った事も
何かの縁のような気もするし。
したかった一つの事が叶えられた。

この季節、釣竿作りはせず
福手さんは天然鮎を釣り人から買い取って
料亭や全国に出荷する仕事をメインにしているので
埼玉へのお土産に鮎を買って帰ろうとお願いしたら
鮎が集まって来る(持ち込まれる)のは夕方で
翌朝までに出荷してしまうので日中は無いそうだ
鮎も、電話した時に頼んでおけば良かったが。



秋になったら値も下がるから
注文してくれたら送るよと
名刺をくれた。
そして工房を後に車を出す時には
継ぎを抜いてバラバラになった竿を片付けながら
軽く手を振ってくれた。
お元気でまだまだ頑張って下さい。

さあ、もうワンチャン。
あと一時間ほど郡上竿で
郡上の川を釣って
本当の郡上釣りをして帰ろう。



那比川

2019 郡上八幡

2019-09-11 22:43:49 | 写真


長良川の支流吉田川は
郡上八幡町内では夏の間、鮎の友釣りの
専用釣り場となっていて
私たちが釣りをしたのは20分ぐらい走った
上流のアマゴの釣り区域である。



しつこいようだが
この土地に職漁師がいた歴史と技術は
渓流釣り師、アユ釣り師の模範となっているので
ここを訪れる事、ここで釣りをする事
ここの道具を知る事に
憧れを持つ釣り人は大変多い。
そして町そのものも、可愛らしく
美しく懐かしい。





釣りをしている足元を流れて下った川は
郡上八幡町内で鮎釣りを楽しませ、
美しい景観で人々を楽しませ、
地元の子供達に橋から飛び込ませたりしながら
八幡町の終わった所で
長良川に合流する。



長良川本流では、また鮎釣りの猛者たちが
さらに強い流れに胸まで川に浸かって鮎を引き抜いている。
長良川鉄道の観光列車が
その夏の風物詩を見せようと
渡る鉄橋をゆっくりと進んでいる。



10時まで釣りをして満足して次の目的へ。
22年振りの郡上八幡市街を歩く。



あの時一緒にいた奥さんでも
お腹にいた長男でも無く
次男がお供である。
素朴なのんびりした田舎の町だと
思っていた郡上八幡は
シャッターの閉まった店も増えたかと想像していたが
外国人観光客も多く
郡上踊りグッズといにしえよりの景観を
全面に打ち出して盛業中である。







旅館吉田屋も杉錠鮮魚店も綺麗に改装してあり
前に来た時に
手網を買った すぎのやさん 郡上ビクを買ったダイタさん
店構えも品揃えも大体変わらず
職漁師達と共にあった釣具店も皆健在だった。









ここに

2019-09-09 22:55:59 | 写真


秋に釣れるのは新仔のアマゴばかりで
これはリリース、
これはキープと選別しながら唐揚げサイズを
家族で食べられるぐらい釣り上げた。
この時期、新仔のヤマメがミミズ餌で良く釣れる。
なぜか知らないが粕尾川でも同じだ。
朝になって川に下りても時期の問題なのか
水温の問題なのか、川虫がいないので採れない。
そうだった場合に、と買って来てあった餌が
ミミズだったので、結果的には良かった。
他に粕尾川で使い残しのブドウ虫を持っていたが
これにはアタリが来なかった。



小さいアマゴなのにお腹はパンパンなので
何を食っているのだろうか
家に帰ってから調理用に腹を開いたら
黒い体にオレンジ色の線が頭から尻にかけて
入っている毛虫ばかりを沢山食っていて
そういえば河原に生えている木に
葉っぱを糸で丸めてその中にうじゃうじゃ虫がいるのを見た。
風や雨でそれが落ちてくるのを食っているのだろう。

ヤマメじゃ無いのかと言う人に。
日本の伊豆半島から東に棲んでいるのがヤマメ。
美しいヤマメの体に
さらに小さな赤い点をちりばめたのが
伊豆半島から西に棲んでいるアマゴである。
極めて近い種だがその違いがある。



小さいとは言え素人が来て簡単に釣れるぐらい
だからやはり魚影は濃い。
大きなアマゴは居場所もエサも違うのだろう。
息子が上手になったなと思う。
以前は気が付かなかった魚信に
きちんと合わせをくれるようになっている。

本を読んで憧れたあの人達も
ここに立って釣りをしただろうか。

聖地へ

2019-09-09 12:03:47 | 写真


9月になって渓流釣りはもうすぐ禁漁。
仕事が無い日に
船橋の銀行に古い通帳の解約に
電車で行こうと思っていたら
奥さんが郡上に行ってくれば?と急に言う。
渓流釣りに一緒に行くようになった次男も
6月以来その話には同行のつもりでいる。
禁漁が近い事、2人の休みがここしか揃わない事
それで奥さんがそう言って
お金の都合など案ずるヒマもなく
出かける事になった。
長男は残念ながら大学の研修だか合宿だかで。
郡上竿を作っているおじさんに
明日行くので竿を見せて欲しいと連絡をして
はい、居るからいらっしゃいと言われる。



船橋の銀行は後日でもいいのに
済ませて行きゃいいじゃんと
若葉マーク中の息子は運転する気満々で
船橋に寄り道して行ったら
忘れ物をして
結局、用は足りないわ
息子は狭い駐車場で車こするわで
陽のある内に
郡上八幡に着いて
釣りは無理でも餌の川虫採りぐらい出来ればと
話をしながら走ったが
やっぱりちょうど船橋にかかった時間の分が
間に合わなかった。



親父と息子の思い立っての旅なので
素泊りの宿に泊まるでもなく
明け方から釣りをする事を思えば
釣り場に近い道の駅で車中泊でちょうど良い。
深夜まで地元の若者がたむろしてうるさく、
雨が降ったり止んだりしていたが
明け方近くに雲は切れて
空にはこんなに星があったのかと言うぐらい
貼り付いていた。



そして夜が明けて
私達は郡上八幡に来て、
吉田川で釣りをしている。



1997 郡上八幡

2019-09-07 23:25:48 | 写真


1997年の郡上行きの写真を
←フォトチャンネルにアップしました。

6月、10日頃から
郡上の話を書いて数日後、勇気を出して
郡上の竿の購入の事を
奥さんに話してみた。
はあ?ってな感じだったけど

昔、行った時のこと
その時には若僧で物の価値も分からず
竿を誂えてもらえる
経済力でも無かったこと。
購入まで考えもしなかったこと。
でも、もうすぐ無くなってしまうかもしれない
人の技の結晶を
今、出来るものなら手にしてみたいと。

その気持ちは概ね理解されて
どんな竿が欲しいのかを電話で伝えて
在庫があれば送ってもらう
無ければ作ってもらうらしい。
でも本当は、
自分で行って、見て
そのおじさん(おじいさん)とお話して
買うのが一番素敵だけどねえ。
さすがに行けっこないからなぁ…。
と話の流れで呟いたら



行ってくればいいんじゃないの?
あんたの小遣いで。
車乗って。
頑張って貯めるんでしょ。

そうかあ。
行けばいいのかあ。
釣りも出来るなあ、聖地で。