-凸凹帖-

写真 奥野和彦

入場券140円

2017-02-25 23:22:24 | 写真


烏山駅は烏山線の終着駅で
車で着いた時間にちょうど乗客が改札口からワラワラと
出てくるところだった。
唯一の人々を撮るチャンスだったけれど
車を停めてカメラを持っておりた時には少ない乗客が
もう散り散りにばらけた後だった。
それはそれで、ここの いつもの普通の本当のことなのだけれど。

折り返し列車になるキハ40を見に行く。
構内に入ると ありがとうキハ40の寄せ書きがあって
あれあれ、近々引退になるのだということを知る。
発車までに15分ほどあって
ちょっと危なっかしい鉄ちゃんが改札を出たり入ったり
車内に入ったりホームへ出てきてまた写真を撮り始めたりと
忙しくしている。
おじさんが一人やってきて
「記念切符はありますか?」と駅員に聞いたら
駅員が答える前にその鉄が「もう売り切れました。宇都宮には
まだあるかもしれませんよ、情報によると。」と答えた。
駅員とおじさん苦笑い。
苦笑いの意味をわかるようになるといいね。

自分の好きだった昭和のディーゼルカーがどんどん引退して
行くのは残念、たまたま立ち寄ってそばで見ておくことが出来たのは良かった。
ミヤコタナゴとキハ40。
駅前のほんの200mぐらいのシャッター商店街を長男がウロウロして戻ってきた。
「列車の出発時間に合わせて最後の駆け込んでくる乗客
がいるだろ。それを絡めて写真を撮ろうと思う。」と言うと
「じゃ入場券買って入ればいいじゃん」と、せがれ。
ま、それもいいか。切符を記念にもらってくればいいや。

そんな風な写真を5、6枚撮れて
キハ40は出発して行った。鉄ちゃんは乗って行くのかと思ったら
勝手に改札を出てどこかへ去って行った。

家に戻って、烏山線について調べたら
自分たちの寄った昨日、引退の記念切符が発売で
それが500部、売り切れたのだと言うこと。
引退はもう、一週間後の3月3日で
そのあとはもうディーゼルカーではなく、架線のある区域では
架線から電気を引き、非電化区間では蓄電池で走行する
ハイブリッドカーのみが運行されると言うことが分かった。

タナゴもディーゼルカーも希少になり
手の届かないところへ遠ざかってゆく。


入場料600円

2017-02-24 22:05:22 | 写真


ミヤコタナゴを見に行きたくなった。
可愛いので飼って見たいけれど
ミヤコタナゴは天然記念物で、釣ることも
売り買いすることも、譲り受けることも出来ない。
見たいと思えばそれのいる水族館などに行くしかない。

ミヤコタナゴを見る。
家で飼っている二枚貝の餌を採ってくる。
シーズンに入ったら行くべき
在来タナゴがいそうな用水路を発見してくる。
出来れば試し釣りをしてみる。
町場の写真を撮ってくる。
免許を取った長男の運転の練習をさせる。

これらをまとめてこなして来るには
栃木の那珂川沿いにある水族館が良い。
海の水族館と違って川の生態をよく見せてくれる。
かわいいミヤコタナゴが大きな水槽に
たくさん泳いでいて、他の魚の水槽も含めて飼育の
勉強にもなって満足であった。入場料は600円。
近くの川で餌も採ったし、シーズンになれば
タナゴが溜まりそうないい場所も見つけた。
只今春休み中の長男も田舎道でのびのび運転出来たらしい。



写真を撮る事だけが
後回しになって、町場に行っても寒くて人もいなくて
夕暮れ間近で なんとなく
帰り道に烏山駅があるのを思い出して
運転していた息子に駅前通りに入って行ってもらう。


いつか高級ホテルにも

2017-02-16 20:46:59 | 写真


ライトを作って3分間1本勝負。
今日もよく頑張った。
撮られるのが苦手な人、嫌いな人もいて
時間も短くて、場所も限られて
それでも、必要で頼まれればそれを撮るのが仕事で
出来れば思ったより苦でなかった、
思ったより沢山いいのが撮れた。
で終わるのが理想であり、幸せである。
今日は、そうだったかな。



こういった高級ホテルに良く置いてある
日本の伝統や美術や工芸や風景を紹介する本(写真集)。
被写体が来るまでの間、眺めている。
美しい写真でいつも憧れるのだけれど

取る(撮る)に足らない 市中の在り様の一瞬一瞬にも
日本とはこうである、
日本の普通とはこんなにも美しい
という時間があると思っていて、ブツ撮りとはまた違って
それを集めてこんな風に見せられたら、と思っている。

少し前に書いたけれど
ある映画配給会社さんの社内に
社員が休憩したり、映画業界関係者が打ち合わせをしたり
するカフェがあって
そこに自分のポートフォリオを置いてもらうことを
思いついて、許可を得た。
自分の写真の売り込みをするというよりは
皆さんの休憩の合間に、
宣伝会議の合間のひと時に少しでも息抜きになれば
と置いたもので、今の所、そういう意味で好評だと聞いて
とても嬉しい。
本立てに閉じて置いてあるものを
日々、誰かがページを変えて開いて行ってくれるらしい。
夏までに、カラーで第二弾を置いてもらうべく準備中。




おじさん

2017-02-15 23:22:21 | 写真


これがシロヒレタビラ、男子。
こんなのが用水路の水の中からヒラヒラっと
釣り上がってきたら、どんなに嬉しいか。
ブルーメタリックのボディに白い縁取りの黒いヒレ。
岡山の方にいる魚なのでいつか弓削に行く途中に立ち寄って
釣り上げてみたいと思っているが
昨夏のヤリタナゴのように居場所に当たるかどうか。

今、水槽にはこの2種のタナゴがいるが
最近、二枚貝用の土と一緒に連れてきた魚。
水槽に入れてから、家族に
「おじさん連れて来たんだけど」と言ってみたら
皆が「本当だ。」と納得したおじさん面。



本名は「ツチフキ」で
水底の泥ごと口に吸い込んで
餌を探して土はまた吹き出すからツチフキ。
水槽の中でも掃除の役目をしてもらおうと思って
連れて来た。

ここに貝を入れると
ヤリもシロヒレも縄張り争いを始めて
さらに派手な色になって貝とお嫁さんの取り合い。
さあ、春の水槽どうなることやら。

ヒトの考えること 3

2017-02-12 21:19:12 | 写真


泥で濁っていた水も
大体一晩も経つと落ち着いてこんな感じに。
ブクブクを入れてもいいけどそれでまた濁ると観察できないので
ラムネ菓子のような酸素を出す薬を入れてある。
基本的には土の中に潜ろうとするので
潜った貝には魚は産卵できない。
この水槽では元気に貝を生かすことを目的として
産卵期にはまたタナゴ水槽に戻して頑張ってもらおうと思う。
さて、うまくいくかな。



フカフカのベルベットのようで
なんだか居心地が良さそうである。
泳いでいた微生物は瞬く間に魚やエビに食われてしまったのか
もういなくなって、今度は彼らのためにまた微生物入りの水を
すくって来なければならない。



タナゴ水槽では砂の量の浅い皿に貝を置くので
完全に潜ることは出来ず、産卵が可能になる。
うちのヤリタナゴ。
緑がかった体に赤く染まったヒレ。大変美しい。

ヒトの考えること 2

2017-02-11 20:08:48 | 写真


タナゴが生きているイタチくんの水路に行って、
そこから泥と水ごと汲んで来て、二枚貝飼育用の小さな別水槽を用意する。
少なくとも、その場所には二枚貝もいるのだから生きて行ける条件はある筈だ。
冬は水が少ない。



そこがほぼ丸見えでも魚はいる。
例えば、ほらここには「おじさん」が写ってる。
「おじさん」については後で述べるとして
水槽に貝が潜り込んで餌を採ったりするために砂(泥)を少し入れたい。
石やゴミが入らないようにザルでふるいにかける。





ほら、ザルに残ったものの中にこんなのや



こんなのが。貝の水槽に入れて一緒に育ててみよう。



ここの川は土に鉄分が混じっていて少し赤い。
水の匂いも少し鉄の匂いがする。
川の流れも早いのでプランクトン類は少なそうで
家に帰るまでの途中でもう一つ別の用水路で水だけすくう。
こちらは1すくいするとミジンコみたいな微生物もたくさん入る。
ヤゴの餌にもエビの餌にもなるだろう。
その分、泥をすくってしまうと線虫のような寄生虫のような
ウニョウニョも入るので水槽で同居するには貝やタナゴに良くないと思う。


ヒトの考えること

2017-02-10 19:29:40 | 写真


さて、先日修理に出した釣竿が戻って来た。
どんな修理をするのかと思っていたが、
少々短くなった一節が、裂けたりひどく損傷していなければ、
短いまますげ口を整えて漆も綺麗に塗って使う、という方法であった。
それで、税込2160円である。

本物の漆をいじってみると分かるが、
その手間を考えてみても適正な料金かと思う。
例えば、折れてしまった一本を丸々
調子が変わらない様に竹の素材から職人の目で吟味し、
曲がりを直して中をくり抜いて刺さる側と差し込む側を作って
糸を巻いて漆を塗って、となるともっと高額になる。

もう直ぐ春なので、性懲りもなく
タナゴの産卵用に入れるべく二枚貝を買って来た。
未だにうまくいったことがないので哀川翔氏のように、まだ途中なのでやって見るだけだ。
上手くいかない理由として貝の餌が無くて先に死んでしまうことが挙げられる。
植物性の有機物だかプランクトンを摂るらしいが水槽の中にそれが必要量あるかどうかも分からない。
で、考えた。 (つづく)