-写真の部屋-

奥野和彦

レンズ考6

2021-02-06 00:09:21 | 写真


テッサーだの何だのとまた知ったかぶりが始まっている。
そんなに詳しい訳じゃ無い。
他人ばかり不勉強だと責めてちゃいけないな。
仕事上、いろいろなネガやポジを見てきたから
少しだけ違いが判る。
もっと高価なレンズを取っ替え引っ替え使える
大家に言わせれば
テッサーは人を撮るには向いていないよ
というだろう。
カリカリでカミソリ見たいな切れ味と
書かれているのを見たこともあったし
重厚な発色と書いてあったこともあった気がする。
付いていたカメラのボディ、カメラの性格によって
撮れ方も違ったのだろう。

70年代のある時期に
ラインナップされていたレンズの中では
安価で、オールマイティで、かさばらなくて、
という位置にあったようで
鏡胴に入っているレンズの枚数も少ないし
贅を尽くしたポートレート専用レンズとは違う。

このレンズ考を書き始めて
思い出した事があって
その経験の中では
テッサーはまろやかなレンズだったのだ。

レンズ考5

2021-02-05 01:31:00 | 写真


レンズ考5「写真家」

私は芸術的な自分の創作だけで勝負する写真家には
ならなかった。
なれなかった、と言ってもいいけど
そもそも写真家という言葉が小っ恥ずかしい。
カメラマンであるか、暗室マンではあった。

24歳で入った写真の仕事をする会社で
たまたま出会った人とのつながりの中で
海外の写真家が日本でする写真展のために
暗室作業もさせてもらったし
2大広告代理店から来る、新聞広告用の商品撮影の
写真のプリントを日々眠れずにした事もあった。
その中で写真家や広告カメラマンが求める
この撮影に使ったこの「レンズ」の味を出して欲しいのだとか
白バックだけど
悲しい表情の白にしてくれだとか
引き伸ばし機に使うレンズを変えられないかとか
今日、ポスター用の写真撮るから
現場に来て、全部を見て
その雰囲気のまま現像プリントしてくれ、とか
そういう注文に応えているうちに
ザラザラの自分の写真とは違う
様々なトーンを教えてもらったし
何より鍛えられたし、感謝の言葉も頂いた。
別に、無理やりそうであろうとする気はないが
でも最近思うのだ。
これを「写真家」と言わずして何を写真家と呼ぶか。

写真家と自分が名乗れば、成れるようになって
まあ、どうぞご自由に とは思うけれど
取材現場でYoutuber兼写真家です、と名刺を渡される。
そして今日初めて使うんです、と言って
私に「フラッシュ」の使い方を聞く。

レンズ考4

2021-02-03 18:59:58 | 写真


写真を始めて以来
レンズの画角は35mmで、
開放f値は2.8であれば十分で、
レンズのボケ具合だとか色の出方だとかは
どうせ白黒で粒子は荒れ荒れなのだから関係ない人だった。
それ以上にスペックが高く
図体が大きくなるような35mmレンズは要らず
ボディもレンズも極めてコンパクトが良かったし
それは傾倒していた森山大道さんの
ハゲチョロケのアサヒペンタックスに35mmレンズ一丁
の影響でもあるのだが。
それでも、時々ちょっと気分を変えてみたくもなって
オリンパスのセットにしてみたら
全然それまでの荒れ荒れ写真とも違ってしまって
これじゃぁダメだ になった事もある。

一般的な整った写真とは逆行していても
それなりに拘った画質を求めてはいたのだろう。
どうせ作るなら、私はそういう所を
写真を志す人たちには分かって欲しく、勉強して欲しいと思う。
それをさらに突き詰めて
新しい物を、見た事もないような映像を
作り上げて欲しい。
先生でも何でもないが、
野球でも写真でもその道に足を踏み入れたなら
より高い所を目指して、楽しまないと
一度きりの人生は面白くならないよ。

レンズ考3

2021-02-01 19:56:11 | 写真


その、大体50mmのレンズとなると
選択肢が沢山あって嬉しいけれど
出資は1万円以下に抑えたいな、と思っていて
その中で、人を撮るに適した良いレンズを見つけたい。
オークションで50mmに絞って見ていたら
テッサー(レンズの名前です)が選択肢の中にある事が判明。
ただ、1970年代の製品なので、程度の当たり外れはありそうで
オークションの写真でレンズ自体はキレイに見えても
ピントリングが固くて回りにくかったり
絞り羽根が油でくっ付いてこれまた動作が鈍かったり
古いレンズをオークションで買うのは難しい。

20m歩いた中古カメラ屋で
それを思い出して、テッサーを探す。
他にもそそるものはあるのだけれど
今日はテッサーだけ見よう。
そしたら何個か発見。
予算の1万円は超える13000円。
ただ、先ほどの店の買い物が安く済んでいるので
気が大きくなって、もう買う気でいる。
キレイそうなのを2個選んで店員さんに出してもらい
見比べると片方に若干曇りが見られるから
曇りのない方を買うことに決めて
ソニーのボディに付けるアダプターも買った。
仕事で使うカメラは主にニコンだけど
ニコン用が無かったので、ソニー用で良しとする。
こういうのは、この選択が後々吉と出たりする事もあるものだ。
肝心の70−300mm用のフィルターは
もしかしたらウチのジャンク箱に転がってるような気もして来て
買わない事にした。
で、帰ってみたらやっぱりあったし。

仕事道具とは言え
レンズを2個も一度に買って
帰り道に赤信号で止まると
紙袋から出して眺めてみたりするのは
とても嬉しい。