カンボジア経済

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カンボジア中央銀行年次報告書2023

2024年05月27日 | 経済
 5月10日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia: NBC)は、年次報告書2023を発表しました。
 内容は、世界経済見通し、カンボジアのマクロ経済動向、金融政策、カンボジアの銀行システム、中央銀行活動、マネーロンダリング対策、国際協力、中央銀行の内部管理、広報活動、2024年の見通しと目標等です。経済状況や金融システムを概観するにはとても有益な報告書です。
 2023年のマクロ経済については、観光の回復と非縫製品製造業の成長に支えられて、GDP成長率は5.5%にまで回復しました。観光については、海外からの訪問者数は550万人まで回復し、19.8%の成長を達成しました。第2次産業は、電子機器(1.3倍増)、自動車部品(3.2倍増)等の非縫製品製造業の成長に支えられて7.4%の成長となりました。第1次産業は、コメ、ゴム、漁業等の好調に支えられて1.1%の成長となりました。なお、建設業は1.1%、不動産業は0.5%の成長に留まりました。
 物価上昇率は、石油製品価格の下落や食料品等価格上昇の低下等により、2022年の5.4%から2023年は2.1%にまで低下しました。リエルの対ドル為替レートは、1億3910万ドルの為替介入もあって、4110リエル/ドルと安定的でした。対外収支は、経常収支が黒字に転換したこともあり、堅調でした。外貨準備は2023年末で約200億ドルと十分なレベルにあります。
 銀行セクターは、経済に重要な役割を果たしており、引き続き強靭性を示したとしています。貸付は4.8%増と伸び悩んだものの、預金は13.1%増となりました。新型コロナ対策の貸付条件緩和が終了したこともあり不良債権は増加し、不良債権比率は銀行5.4%、マイクロファイナンス6.7%へと悪化しました。
 カンボジアでは、中央銀行デジタル通貨バコンや統一QRコードKHQRの導入と活用により、電子支払の浸透が進み、2023年の電子支払総額は大幅に増加したとしています。また、周辺諸国とのシステム統合も進められています。
 2024年の見通しについては、観光回復、縫製業輸出の回復、非縫製品製造業の成長等に支えられて、GDP成長率は6.4%に達するとしています。リスクとしては、主要輸出先の経済停滞、地政学的緊張を挙げています。国内リスクとしては、不動産不況に懸念を示しています。
 カンボジアの金融・通貨制度は、整備の途上にありますが、地道な努力が継続されており、安定的な発展が期待されます。

中央銀行年次報告書のサイト(英文です)
https://www.nbc.org.kh/english/publications/annual_reports.php


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2024年05月27日 | 一般
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