カンボジア経済

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ムーディーズ カンボジアの格付けB2を維持 見通しは安定的に

2024年05月29日 | 経済
 5月16日、国際的格付機関のムーディーズは、カンボジアのソブリン発行者格付けを今回も「B2」で変わらずと発表しました。今後の見通しにつては、これまでの「ネガティブ」から「安定的」に引き上げました。見通し引上げの理由として、貿易赤字の縮小傾向、観光の回復、海外直接投資の堅調を挙げています。カンボジアの対外ポジションの改善は、下振れリスクに対する強靭性を高めると見ています。
 B2格付けの基礎は、力強い成長見通し・良好な対外公的債務状況に支えられています。他方、脆弱な制度的枠組み、低所得水準、政治的リスクと言ったマイナス要因に加え、不動産セクターの低迷に起因する金融安定性と銀行システムに対する下振れリスクもあると指摘しています。
 経常収支は、10四半期連続で赤字を記録した後、2023年第2四半期から黒字に転じており、短中期的に赤字がGDP比4〜5%になると予想しています。輸出については、先進国からの需要が鈍化する中、衣料品部門の輸出は低調ですが、2019年の5%から2023年には総輸出の約13%を占めるに至っている電気部品や自動車部品など、非衣料品部門の輸出が徐々に拡大し続けると予想しています。
 カンボジアの外貨準備は、2022年11月に140億ドルを下回った後、貿易収支改善と安定的な海外直接投資を背景に、2023年9月時点で150億ドル(輸入の7.4か月分)に回復しています。外貨準備は概ね安定しており、2024年末には外貨準備高が約170億ドルに達すると予想しています。
 カンボジアの一般政府債務負担は、2025年までGDPの27~30%前後で安定し、B格の中央値であるGDP比55%を大きく下回っています。一般政府歳入に占める政府の利払いの割合(2023年~2025年)は、B格の中央値である約10%に対し、1.0%から1.5%程度にとどまる見込みです。カンボジアの対外公的債務は、低利・長期の譲許的融資の割合が大きいため、大きな問題はないとしています。
 なお、リスクとしては、不動産価格の緊張が重大または長期化すれば、下押し圧力が生じ、銀行システムにおける流動性とソルベンシーの懸念につながり、マクロ安定性リスクが高まる可能性があると指摘しました。
 なお、ムーディーズの格付けでは、AaaからBaaまでの10段階は「投資適格」、Ba以下は「投機的」と分類されています。カンボジアの「B2」は、「投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け」と定義される「B」のうち中位にあることを示しています。
(写真は、発展が続くプノンペン市内)

ムーディーズのサイト
https://www.moodys.com/research/Moodys-Ratings-changes-outlook-on-Cambodia-to-stable-from-negative-Rating-Action--PR_487281?cy=emea&lang=en


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