カンボジア経済

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EU カンボジア産のコメにセーフガード関税賦課決定

2019年01月22日 | 経済
 1月16日、現在無税となっているカンボジアとミャンマーからEU向けのコメの輸出について、EUがセーフガード条項を発動して関税を賦課することを決定したと発表しました。EUは、カンボジアを含む後発途上国(LDC)に対して、関税を免除する特恵関税制度「EBA」を適用しています。カンボジアは、この制度を活用して、EU向けに縫製品やコメを無税で輸出してきました。これに対し、イタリア・スペイン等のコメ生産者が、自国のコメ生産に影響を及ぼすとして、以前から不満を表明していました。カンボジアとミャンマーからのEUへのコメ輸出は、過去5年間で89%増加し、EU内のコメ価格は大幅に下落したとしています。このため、EU域内産米が占める割合は61%から29%に低下しました。
 イタリアは、2018年2月に、カンボジアからのコメ輸入に対してセーフガード条項の発動を求める要請をEUに提出し、EUのコメ生産国全て(スペイン、フランス、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア)から支持を受けていました。セーフガードとは、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うものです。セーフガード条項が発動されると、追加的関税が賦課されることとなります。今回は、1年目175ユーロ/トン(約2万2000円)、2年目150ユーロ/トン、3年目125ユーロ/トンの関税が1月18日以降賦課されるとしています。カンボジア産のコメの価格は、900ドル/トン(約10万3000円)程度であり、非常に大きな金額の課税となります。
 EUでは、カンボジアの強権的な政治状況に関連して、特恵関税制度EBAの停止を検討している状況ですが、それに先んじてセーフガード条項の発動が検討されることとなり、カンボジアのコメ産業への影響が懸念される状況となっています。

EUの新聞発表(英文です)
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-19-427_en.htm


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