世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

転落人生

2016年02月03日 | 100の力
サンフランシスコで清原にバッタリ会ったことがある。

あら、清原さん、と声をかけたら、

必要以上にびっくりされてしまった。

彼は一人だった。

そして、ボクを避けるように恐怖の表情を浮かべて足早に立ち去っていった。

大柄な彼は、アメリカにおいてもどこかオーラを放っているようで目立っていた。


なぜ、こんなところに彼は一人でいるのかと訝(いぶか)しく思ったものだ。

いま思えば、売人を待っていたのかもしれない。


関係者は言う。

「彼の本当の性格は、とても臆病で弱い人間なんです。

子どものころから、ずっと臆病だから

『ちょっとでも手を抜いて休むと野球が下手になって、他人に抜かれてしまう』という思いが消えなかった。

だから臆病な自分を打ち消す為に常に努力を怠らず、

人一倍のトレーニングを積んで野球のうまい人間になっていった。

彼は努力によって『臆病』をいつしか『自信』に変えていったんです。

 プロに入ってからも、それはしばらく変わらなかった。

でも人気球団の巨人へ入って以降の彼には、だんだんと『慢心』が生まれていった。

そこで“自分は人気者でファンも多いんだ”というような錯覚を覚えてしまったのでしょう。


どちからかというとこれまで「コワモテ」のイメージが強かった同容疑者が

「実は臆病だった」という指摘はかなり意外な感もある。

しかしながら、結局その臆病な性格を捨て切れず逃避したくなったからこそ禁断の薬物に手を染めてしまったのかもしれない。


彼はストイックになってがんばっていた時期は本当に輝いていた。

それがなくなってラクをしようという思いが強まったところに、

昔の臆病な自分が蘇ってきた。

クスリに手を出したのはどうしようもなく弱いからですよ。



過去の栄光が忘れられず、

いつまでも浸っていられる時代ではない。

時代はまさに矢のごとく進んで移り変わっている。

Time flies like an arrow;


そうした移ろいやすい時代にあっては、

常にストイックさを保ち、謙虚であらねばならない。

それには、

自ら厳しい道を選び、周りの誘惑に負けない強い意志を持たなければならない。


時に、易きに流れようとする弱い自分がいる。

冷たい視線にさらされて、もうどうでもいいや、と投げやりになりそうになる自分がいる。


その都度、ハッと気づかされる。

愛する人の顔が浮かぶ。

愛してくれる人がいる。


ここで潰れるわけにはいかない。

自分を失うことなく、信じた道を進む勇気を持たなければならない、と。

楽に流され、困難から逃げてはいけない。


清原君の、大柄な体躯に似合わない恐怖に満ちた目を今でも忘れない。

他山の石としよう。

Let this be an object lesson to myself.