書名「情報生産者になる」
著者 上野千鶴子 出版社 筑摩書房(ちくま新書) 出版年 2018
大学時代にこういうことを教えてもらいたかった、妻が読み終えたあとつくづく言っていたので、ぱらぱらとページをめくると、確かにそうだなと思いつつ、大学生の間では大変な支持を集めているというが、いまさら自分が読んでも仕方がないとは思った。それでも妻がいやいやそんなことはない、もっと前に行けると強く言うので、読むことにしたが、確かにいまさらながらではあるが、読んで良かったと思う。上野さんの分野は社会学ということで、それといま自分がやっていることとは例えばKJ法を発展させた上野方式が利用できるかというとそうではない。情報をつくる側にあると思っている自分にとっては学ぶことは多々あった。それもゼミでの経験がベースにあるので、具体的な指摘に満ちているのが、とても説得力をもってくる。自分は大学のころゼミの経験がない、これは自分のひとりよがりの学習法にとってかなり影響があるのではとも思ったが、いまさらしかたのないことである。それより最後の方で、出版を依頼するときの最低限の礼儀のようなことが出てくるが、これを読んで恥ずかしくなっ、穴があったら入りたくなった。いままでなんどか(何度もでもないとは思うが・・・)いきなり自分の書いたものを出版社に送りつけたことがある。上野さんが書いているようにこれは最低。もう遅いかも知れないが、出版社にお願いすることはこれからもあるかと思うので、ここで教えてもらったようにしよう。その意味では遅くはなかったか・・・
そんな小手先のことではなく、なによりこの書は、学習のテクニックを身につけることをよびかけたものではない。情報をつくる側になるための啓蒙の書なのである。知識を得るためではなく、いかにして知識を生産するかというメタ知識を得よう、これが一番のメッセージである。知識がスクラップになっても、メタ知識を得ることによって新たな知識をつくることができる、それこそいつでも生き抜いて行ける知恵となるというこのメッセージが、しっかりと伝わる書であった。
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