デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

日露交流都市物語

2014-03-27 14:16:20 | 買った本・読んだ本
書名「日露交流都市物語」
著者 沢田和彦 出版社 成文社  出版年 2014

日露交流研究の第一人者である著者がいままで発表した論考を一冊にまとめた大著。ひとつの味噌は都市物語にすることで、都市をひとつの切り口にしたこと。整理の仕方としていいアイディアだったと思う。小樽でネフスキイを語り、大阪で大阪外語大で教えた学者のことを語り、長崎で志賀浦太郎を語るという具合に、日露のさまざまなつながりをさまざまな切り口で見せることになった。著者の丁寧な資料の読み、精緻な調査については小さな論文のひとつひとつに反映されているが、こうしてこれらをまとめて読むことによって、さらにそのひとつひとつが連関を持ってくる。それにより一冊の本として実に読みごたえのあるものになった。知らないことをたくさん教えてもらい、また調査の方法についてもいろいろ学ぶことにもなった。日露交流史に関心があるものにとっては、必読の書と言っていいだろう。初心者にとっては案内書としての価値も十分にもっている。巻末に出ている参考文献を見るだけでもたいへんな資料となっている。
自分にとって気になったこと、さらに知りたくなったことをメモ風に書いていく。
仙台が幕末のロシア語学習にとっては中心となっていた。なぜ幕末から明治にかけて仙台藩士がロシア語を学ぶことになったのか、気になるところである。
新潟出身のジャーナリスト内藤民治、トロツキーとスターリンと三人で写真を撮っているというのもすごいが、171頁にある写真にはまさにびっくり仰天。パステルナーク、エイゼンシュタイン、マヤコフスキー、ブリークと一緒に写っている・・・
敦賀とウラジオの航路をめぐる歴史。その時々の社会情勢のなかで敦賀の街の盛衰が運命づけられていた。これを新聞記事でたどる。この調査方法はたいへん参考になった。
大阪外大は長谷川濬が勉強したところ。ここに出てくる稲田という人は、長谷川の戦後の日記によくでてきた。ここで教鞭をとった松永信成については、冷静な著者にしては珍しく熱く語られている。
小さなディテールを積み重ねることによって、日露交流のさまざま局面、そこで生きた人々の運命が浮かび上がってきた。<iframe src="http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=deracinetuush-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4865200037" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 開花宣言 | トップ | 桜咲く »

コメントを投稿

買った本・読んだ本」カテゴリの最新記事

カレンダー

2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

バックナンバー