書名 「エノケンと<東京喜劇>の黄金時代」
編 東京喜劇研究会 出版社 論創社 出版年 2003
いま執筆していることに関係して、エノケンのことが気になり、映画を見たりしていたのだが、ちょうど古本屋で買っておいてそのままにしていたこの本を本棚で見つけ読んだ。いろいろな視点から喜劇役者としてのエノケンとその映画と演劇について分析していて、エノケンのいろいろな側面(本当に多彩な人だった!)がわかってたいへん役立った。彼の映画の中では「近藤勇」のボレロの使い方と、そのあとの立ち回りでの音楽の使いに驚いたのだが、あのシーンが象徴するように、ストーリーで笑わせるというよりは、ギャグで笑わせたいという明確な方針をもっていて喜劇を組み立てていったような気がする。それとやはり身体性を生かそうという意志を感じる。有名なバーでの立ち回りでの彼の身体性の高さには驚かされる。「近藤勇」もそうだが、昭和初期の映画かと思うぐらい豪華な人の使い方(一座は150人近くもいたという)にも感心する。かつて国立劇場、文楽劇場で仕事でお世話になった平島高文さんがエノケンの弟子だったというのにもびっくり、ここでは菊谷栄について序ということで書いている。知っていたらもう少しいろいろなことを聞けば良かった・・・